イタリア赤古酒を愉しむ

イタリアの1993年/1994年/2000年の古酒を味わいます。ドゥーカ・エンリコの1993年、レ・クーポレ・ディ・トリノーロの2000年、そして目玉のガヤ・バローロ・スプレスの1994年、さらにマーチェス・ディ・ヴィラマリーナの1993年です。

ドゥーカ・エンリコ(Duca Enrico)1993年

ドゥーカ・エンリコは、シチリアの名門ドゥーカ・ディ・サラパルータのフラッグシップ・ワインです。シチリア中南部の内陸、ジェーラ湾に位置する海抜100~200mの畑からの、完熟したネーロ・ダーヴォラ種(100%)から作られるワインです。6本入り木箱で購入しましたが、これが最後の1本になります。

 ドゥーカ・ディ・サラパルータという作り手のワインは飲んだことはありませんでしたが、ケースの中にあるテクニカル・シートによると、1980年~1992年にかけて錚々たる受賞歴をもっているようです。直前の1992年ヴィンテージでもトレ・ビッキエリを獲得しているようです。

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 早速テースティングしてみます。

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結構濃いダークチェリーレッド。乾燥いちじく、プラム、甘めの乾燥レーズン、土っぽい香り、僅かに火薬っぽい香りも感じます。アタックは酸が弱めで、少し甘く感じます。タンニンもほとんど感じられなくなっています。フィニッシュは短めで、色の濃さとは対照的に、少しメリハリのないぼやっとした味わいです。老香(ひねか)は感じず、果実味の残ってはいますが、熱が入ったのか、あまり良い熟成ではなかったような気がします。ネーロ・ダーヴォラ種のワインを25年熟成させるとどうなるか試したかったのですが、このボトルでの評価は控えたいと思います。

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レ・クーポレ・ディ・トリノーロ(Le Cupole Di Trinoro Tenuta Di Trinoro) 2000年

トスカーナの名もない荒地にすぎなかった「サルテアーノ」の地で、「テヌータ ディ トリノーロ」という素晴らしいワインを生み出したイタリアワイン界の鬼才、アンドレア フランケッティ氏が作るワインです。このワインは、テヌータ・ディ・トリノーロのセカンドワインに位置付けられています。

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こちらもケースで購入しました。
ちなみに、現在のラベルは、真っ赤なラベルに変わっています。

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右は、現在のレ・クポーレのラベル
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濃いガーネット。レッグはやや長めです。ブラックベリー、ダークチェリー、煮詰めたプルーン、カシス、黒系果実の甘い香りです。樽熟由来のバニラ、トースト、クローヴ、ナツメグ、グリーンペッパーにドライハーブっぽい香りも強く感じられます。時間とともにタバコや腐葉土、シガー、キノコのアロマが感じられるようになります。酸はやや控えめ故か、比較的甘みを感じます。良く熟した果実、タンニンは滑らかに溶け込んでいます。

2000年ヴィンテージは、カベルネ・フラン78%、メルロ11%、チェザネーゼ6%、トロイア5%というセパージュです。ちなみに2016年のセパージュは、カベルネ・フラン 66%、メルロー 20%、カベルネ・ソーヴィニヨン 7%、プティ・ヴェルド 7%となっており、カベルネ・フランが減り、メルローが増えています。それ以外の副原料のブドウの構成とかなり変わっており、ボルドー寄りになっているようです。

いずれにせよ、この造り手のメインの品種はカベルネ・フランであることに変わりありません。カベルネ・フランと言えば、青っぽいピーマンの香り(メトキシ・ピラジンという物質が起因しています)が特徴ですが、完熟したカベルネ・フランではこの香りは弱くなります。このワインにも確かにこの香りはありますが、青っぽいというよりハーブ・ミントっぽい清涼感のあるハーブやグリーンペッパの香りが甘みを強く感じるこのワインの良い意味でのアクセントになっています。ただ、欲を言えば、もう少し酸が欲しい気がします。

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どちらも少し甘さを感じるワインなので、ローストポークと相反効果を狙ってゴーヤと合わせました。

マルケーゼ・ディ・ヴィッラマリーナ(Marchese di Villamarina) 1993年

サルデーニャ島のワインです。ガンベロ・ロッソ誌で2003年から7年連続でトレ・ビッキエーリを獲得している評価の高い造り手のようです。カベルネ・ソーヴィニヨン100%をトロンセ産オークの小樽で18ヶ月熟成後、伝統的な大樽で12ヶ月熟成。瓶詰後最低18ヶ月以上熟成を経て初めて蔵出しされる“贅”を尽くしたワインとのこと。購入時に当初販売されていた価格のラベルがついていましたが、7980円と当時から高価なワインだったようです。

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このワインは、3ヶ月ほど前にのんだもので、当時のテースティングメモが見つかりませんでした。印象は、きれいに熟成したボルドーワインという感じで、黒系の豊かな果実味を残しながら、滑らかなタンニンと、大好きな熟成のアロマがきれいに出た素晴らしいワインだったと記憶しています。自身にとっては、未知のワインで、面白みのない(?)ラベルとあって、あまり期待していませんでしたが、良い意味で期待を裏切ってくれるワインでした。残念ながら1本のみの購入でした。

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ガヤ・バローロ・スペルス(Gaja BaroloSPERS) 1994年

目玉は、イタリアワインの帝王ガヤのバローロです。スペルスはバローロの中でも最も良いと言われる「セッラルンガ」の最上の区画にある畑で、最高峰のネッビオーロを産出すると言われています。

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▲かなり濃い色調に見えますが、当初コラヴァンを使用したところ、注入されたガスの勢いで滓が舞った状態になったものです。滓のあるワインにこのツールは要注意のようです。

▼滓が混入しない状態では、縁に少しオレンジが入っている中程度のラズベリーレッドです。プラム、煮詰めたプルーンにすぐに古酒のもつ心地よい腐葉土の香り。ネッビオーロ特有の収斂性のあるタンニンは、甘く滑らかなタンニンに変わっています。コルクに軽い液漏れ跡があり、少し熱が入っているようにも思えますが、バランスはそれほど崩れておらず許容範囲です。酸もタンニンも完全にこなれているという感じです。

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やはりバローロには肉が合います。ネッビオーロは、本来であれば、ステーキよりも煮込み料理の方が相性は良いのですが、家のみでは、簡単なこの手のパターンが多いです。

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ちなみにこのワインは、1ケース分(12本)購入し、残りは数本ですが、半数はコルクが抜栓途中で折れました。かなりコルクが柔らかくなっている印象です。

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購入した時の保存状態は必ずしもベストではなかったようですが、劣化は殆ど感じませんでした。ただ、ベストな保存を経たものに比べると5年ほど熟成が早いかもしれません。とはいえ、やはり、25年を経過した帝王のバローロは、何度飲んでも素晴らしいです。1994年のピエモンテはあまり良い作柄ではなかったようですが、最良のヴィンテージのGAJAのバローロやバルバレスコを飲んだことがないので比較はできません。最近は、あまり見かけることもなくなったGAJAですが、久しぶりに新しいヴィンテージも飲んでみたい気になりました。

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以上のイタリア古酒は、同じ店舗で1年ほど前に安く購入しました。コルクの状態から若干、保存状態が?のものもありましたが、デューカ・エンリコ以外は、特に問題は感じませんでした。イタリア古酒を飲む機会はそれほど多くありませんが、なかなか魅力的なものでした。ただ、瓶に残った滓の多さには驚かされました。

<了>

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この記事を書いた人

1958年東京生まれです。
昨年、仕事をリタイアして大好きなブルゴーニュワインとグルメや旅行を楽しんでいます。
主な資格(Foods&Drinks):
JSA ワインエキスパートエクセレンス
JSA SAKE Dioploma
WSET Level3
CPA チーズプロフェッショナル
唎酒師

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