2025年5月に飲んだワインの記録です。
家のみワインですので、特に脈絡はなく、料理と気分次第で選んでいます。
濃い系は、コヤムとギガルのジコンダス、ブルゴーニュは、盤石のデュガ・ピィと掘り出し物のポール・ガローデのモンテリー2017年が印象的でした。
ドメーヌ・ド・クロヴァロン ピノ・ノワール /
Domaine de Clovallon Pinot Noir 2019
南仏ラングドックのピノ・ノワールのパイオニア(ラングドックで初めてピノ・ノワールを植樹した造り手)、1985年創設のドメーヌ・ド・クロヴァロンのスタンダードキュベです。3K円前後で購入できるフランスのピノ・ノワールということで、数年前からデイリーワインとして、結構購入しています。
標高250~400m の高地にある北向きの畑で、冷涼なミクロクリマとドロマイト石灰岩土壌の恩恵を受けたピノ・ノワールに適したテロワール。
ビオディナミ、全房発酵、自然酵母、最小限のSO₂、無濾過、無清澄といったハンズオフに徹したワイン造りを行っているようです。
テースティングメモ
外観は中程度の濃さのガーネット。縁に僅かな熟成感も見られますが、まだ若々しさも残す色調。ブルーベリー、アメリカンチェリー、レッドプラムの果実香に、スミレやタイム、オールスパイスのちょっと複雑なスパイスの香り。味わいのアタックには、豊かながら強すぎない酸、滑らかなタンニンが果実の甘さと絶妙なバランスととれており、スムーズな飲み口です。
調べると2年前にも同じヴィンテージを飲んでいました。当時のメモでは、「エレガントなピノだがやや果実の甘みの優勢が南仏のワインを思わせる」と書いていましたが、2年を経て、酸も甘みも落ち着いて、よりバランスが取れた味わいになっています。
なかなか、コスパの高さを感じさせてくれるワインだと思います。
(3.2)
楽天市場で、ドメーヌ・ド・クレヴァロンのピノ・ノワールを探す
ブライダ イル・バチャレ /
Braida Il Bacialé Monferrato Rosso 2019
ピエモンテのワインで、バルベーラ主体で、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルローといった国際品種を少量ブレンドしています。「バチャレ」はピエモンテ方言で「結婚の仲介人」を意味しており、土着品種のバルベーラと国際品種の結婚(調和)を意図しているようです。
鉛筆の芯のような黒みがった濃いガーネットの外観ですが、香りには、やや違和感が....湿った段ボールの香りが引っ掛かります。残念ながら、中程度のブショネのようです。ブラックベリーやブラックプラム、プルーンの果実香や果実味は未だ失せてはいませんが、残念ながら香りの違和感は最後まで抜けませんでした。
果実味に本来の素性の良さは感じられ、バルベーラは好きな品種なので、機会があれば、リベンジしてみたいと思います。
シャントレーヴ ポマール /
Chanterêves Pommard 2019
サヴィニー・レ・ボーヌを拠点とする日本人醸造家の栗山朋子さんとシモン・ビーズで醸造長を務めているギヨーム・ボット氏の共同経営によるワイナリーです。冒頭のド・クロヴァロン同様、介入を最小限に抑えたナチュラルワインの造り手として人気があります。一部自社畑も所有しているようですが、このワインは買いブドウによるものです。
テースティングメモ
やや淡いラズベリー・レッドの外観。クランベリー、レッドチェリー、梅紫蘇の赤系果実の香り。僅かに揮発酸を感じます。
味わいは、強めの酸のアタック、タンニンは少なく滑らか、チャーミングで柔らかな果実味ですが、ポマールらしい力強さは感じられません。今回感じられた揮発酸に関しては保存上の問題かもしれません。ナチュラルワイン好きには、嵌るワインとも思われます。
(3.1)
ベルナール・デュガ・ピィ ジュヴレ・シャンベルタン V.V. /
Bernard Dugat Py Gevrey Chambertin Vieilles Vignes 2014
デュガ・ピィのスタンダードな村名ワインながら、樹齢70年の畑の区画のブドウも使用されているワインです。新樽比率は25%。昔のラベルです。
テースティングメモ
濃いガーネットの色調。抜栓直後は、半開きながら、カシス、ブラックベリー、ダークチェリー、ブラックプルーンの黒系寄りの果実香。バラ、調理したプルーン、クローブやナツメグのスパイス香、トースト、なめし革、土や林床のアーシな香り。適度な酸ときめ細かいが多めのタンニン。凝縮した果実味、少し鉄っぽさを感じる余韻からジュヴレらしいストラクチャーを感じられます。
この造り手らしい強めの抽出は相変わらずで、開けるのは未だ少し早いかなと思いましたが、少し時間が経つと、タンニンは丸く感じられ、果実の甘みも出てきて、全体的にバランスが良くなり。やっぱり、美味しい。
(3.5)
ルー・デュモン レア・セレクション コトー・ブルギニョン ルージュ /
Lou Dumont Léa Sélection Coteaux Bourguignon Rouge 1996
仲田晃司さんが、クルティエが持ち込んだ中から厳選した古酒です。
29年を経ているコトー・ド・ブルギニヨン。2K円台ということで、正直、果たして飲めるのか半分疑心暗鬼で購入したワインです。
テースティングメモ
かなり枯れた色合いを想像していましたが、縁にレンガ色が混ざる程度で、意外にしっかりとしたガーネット色。香りに華やかさはないものの健全な香り。ドライフィグや乾燥させたレッドプラムやブラックベリーが僅かに香り、グローブ、マッシュルーム、土。若いガメイ(比率不明)に感じられるようなバナナやキャンディの香りは全くありません。
酸は柔らかく、タンニンは液体に溶け込んでおり、ドライな果実味で余韻はやや短かめ。ブルゴーニュの古酒に期待する腐葉土や妖艶な化粧香はあまり感じられませんが、意外に楽しめる?印象。
2千円台の古酒ということで、あまり期待せずに飲むと、良い意味でちょっと意外な印象を受けます。
(3.0)

楽天市場で、ルー・デュモン レア・セレクション コトー・ブルギニョンを探す
カッシーナ・キッコ バローロ ロッケ・ディ・カステッレット /
Cascina Chicco Barolo Rocche di Castelletto 2017
カッシーナ・キッコ(Caschina Chicco)はピエモンテ州ロエロDOCGの中心地カナーレにあるワイナリーです。ロエロといえば、白ワインのロエロ・アルネイスが有名ですが、こちらは、モンフォルテ・ダルバのカステッレット地区、Rocche di Castellettoのワインです。40日間のマセラシオンののち、大樽とステンレスタンクで48ヶ月熟成させています。
テースティングメモ
淡いルビーカラー。ラズベリー、レッドチェリーの赤系果実、スミレ、フェンネル、リコリスの甘い香り。味わいのアタックは、甘い果実味と高い酸、タンニンはネッビオーロにしては、穏やかでしなやか。飲み頃は、あと2,3年先と思って抜栓しましたが、意外にも甘やかで柔らかな親しみやすいバローロ。正直、バローロのイメージとはちょっと違いましたが、早くから飲めるバローロとしてが、これはこれでありかも。
(3.2)

エミリアーナ コヤム / Emiliana Coyam 2021
チリ ラペル・ヴァレーの西側の小地区コルチャグア・ヴァレーのエミリアーナ・ヴィンヤードという造り手によるオーガニック栽培のブドウからのワインです。
ブレンド比率は、シラー48%、カルメネール24%、メルロー11%、カベルネ・ソーヴィニヨン10%、ムールヴェードル3%、マルベック3%、プティ・ヴェルド1%。天然酵母による発酵後、80%のフレンチオークと20%のアメリカンオーク樽で13ヶ月熟成とブレンド・造り共に結構凝ったワインのようですが、価格は3k円台半ばです。
初めて飲みますが、ネットでちょっと話題になっていたので、トライしてみました。
テースティングメモ
予想通りの濃いダークチェリーレッド。やや紫色も残しています。やや高い粘性。
カシス、ダークチェリー、レッドブラム、牡丹の花、僅かにグリーンノート(おそらくカルメネールから?)、ブラックペッパー、バニラ、グローブ、ナツメグ、皮革。
味わいは、中程度の酸と凝縮した果実からの甘み、ただ、甘過ぎず、酸と滑らかなタンニンのバランスが絶妙で、色調や香りの割にエレガントに感じる。時間が経つと、最初に少し感じた青さは無くなり、心地よいテーストに。
思ったより、重さは感じず、飲み疲れしない。これはデイリーワインとしても秀逸。
(3.3)

ギガル ジゴンダス / E.Guigal Gigondas 2019
久々に飲んだギガルのジコンダスです。
グルナッシュ70%、シラー20%、ムールヴェードル10%のセパージュ。
テースティングメモ
濃いガーネット。粘性は高い(alc15%)
ブルーベリー。ダークチェリー、プラム、バイオレットローズ、甘草、ナツメグの甘やかなスパイスの香り。オーク香はそれほど強くない。
味わいは、適度な酸と凝縮した赤黒果実、豊かだが甘やかで滑らかなタンニン。高いアルコールの熱さは感じない。甘過ぎない凝縮した果実味が魅力で引っ掛かりなくスルスル飲める。余韻もやや長く、コスパを考えると、デイリーワインとしてはとても秀逸。
素直にステーキに合わせたいワイン。
(3.3)
ガデ・ペール・エ・フィス ミュスカデ・セーブル・エ・メーヌ シュール・リー /
Gadais Père & Fils Muscadet Sèvre et Maine Sur Lie La Grande Réserve 2023
1948年 創業のミュスカデに拠点を置く家族経営の生産者です。48haの畑から年30万を生産する結構大きなドメーヌのようです。
特に季節のワインということでもありませんが、夏が近づくと飲みたくなるミュスカデです。

テースティングメモ
輝きのある意外にもやや濃い目のレモンイエロー。
レモン、ライムの柑橘果実、青リンゴ、メロン、スイカズラなどの白い花やフレッシュハーブの香り。ミネラル香はそれほど感じない。味わいは、フレッシュな酸のアタック、とてもフルーティだが、決してシンプルなワインではなく、シュー・ル・リー由来と思われるやや厚みのあると旨味による複雑性も感じられる。レモンピールの心地よい苦みの余韻。和食を含め、幅広い料理に合いそう。
‘La Grande Réserve’の名は伊達ではなくワンランク上を感じさせる秀逸なミュスカデワインでした。
(3.1)
ポール・ガローデ モンテリー キュヴェ・ポール /
Paul Garaudet Monthélie Cuvée Paul 2017
モンテリーに拠を置き、モンテリーのほか、隣接するヴォルネイとムルソー、さらにピュイニー・モンラッシェに畑を所有するドメーヌ。当主は、四半世紀以上もモンテリーの生産者組合会長務めるモンテリー村の重鎮のようです。
Cuvée Paulは、モンテリーの各クリマから樹齢の古い上質な葡萄を選りすぐって造る特別キュヴェのようです。
テースティングメモ
熟成の色合いが感じられるやや淡いガーネットの外観。
抜栓直後にスモーキーな還元香を感じます。
このドメーヌのワイン、過去にポマールの2016年、ヴォルネイの2018年を飲んでいますが、当時のメモを見るといずれも、この還元香に触れていました。還元香が出やすい造り(酵母との接触期間がながい、SO₂少ない等)なのかもしれません。
ラズベリーやレッドチェリー、ブルーベリーの赤青系の果実香、ドライレーズン、ドライハーブ、ナツメグやシナモンのスパイス香。味わいは、やや高めの酸のアック、タンニンは中程度で滑らか、ドライだが熟度の高い果実味もあり、バランスの良さが感じられる。2018年以降のワインとは異なる冷涼なニュアンスを持つクラシカルなブルゴーニュの味わい。時間とともに腐葉土の香りを混ざり、より複雑に。
ややマイナーな印象のモンテリーですが、この2017年ヴィンテージは、ちょうど飲み頃のなかなか印象的なワインでした。
(3.4)

シャトー・オー・カルル /
Chateau Haut Carles 2005
フロンサックの造り手で、20年ほど前に、結構はまったボルドーワインです。
セパージュは、メルロ85%/カベルネフラン10%/マルベック5%。
テースティングメモ
未だ紫っぽさも残る深みのあるダークチェリーレッドの外観。
カシスやブラックベリー、ブラックチェリー、煮詰めたプラム。ブラックペッパー、バニラ、焦がした木、レザー、カカオ、クローブやナツメグのスパイス香。
アタックは中程度の酸、やや、粉っぽいタンニン。ヴィンテージの恩恵か、凝縮した果実味からの甘さ。長い余韻。ここまで書くと素晴らしいワインのようなのですが、僅かに香りに違和感があります。湿った木質の香りで、弱いブショネのようにも感じますが、果実味は失せてはおらず、ちょっと判断が付きかねます。良いワインであることは間違いないのですが...
(3.1?)

ウベルティ フランチェスコ1 フランチャコルタ・ブリュット /
Uberti Francesco 1 Franciacorta Brut
ロンバルディア州のフランチャコルタの代表的産地のエルブスコの造り手です。
シャルドネ75%、ピノ・ビランコ15%、ピノ・ネロ10%。
最近、試飲会等で飲む機会のあるフランチャコルタですが、ボトルでじっくりと飲む機会は殆どなく、経験値は低いのですが、やはり、スプマンテやプロセコとは一線を画す味わいです。まあ、瓶内二次熟成なのであたりまえですが..
テースティングメモ
輝きのある黄金色の外観。小~中程度の泡。
レモン、青リンゴ、黄桃、アカシア、レモンバーム、オートリシスからのブリオッシュやナッツ。
アタックは活き活きとした豊かな酸、ドライながら、適度な甘みを感じる心地よい飲み口。フレッシュな果実味に瓶内二次発酵(オートリシス)による旨味と複雑さが加わり、美味しい。
(3.2)
構成品種に少し違いはあるものの、正直、ブラインドで飲めば、シャンパンと答えるかと思います。価格的にも6千円台で、NVの安シャンパン並みですが、品質を考えるとコスパは結構高いと思います。
了
コメント