1月23日に北参道のワインバーで開催されたMARO Winesメーカーズディナーに参加しました。
MARO Winesについて
MARO Winesは、麿(まろ)直之さんが、北海道で2022年に立ち上げたワイナリーで、翌年2023年に新千歳空港から車で20分ほどのところに位置する空知地方の長沼町に日本初のシェアワイナリー(醸造設備やブドウ畑を複数の生産者で共有・共同利用するワイナリー)”Hokkaido SPACE Winery”を立ち上げて本格的に醸造を開始しています。
麿さんは、2014~2021年に余市仁木町の”NIKI Hills Winery”で醸造責任者を務めており、さらに2015年からドイツやニュージーランドのコヤマ・ワインズ、オーストラリアの名門バス・フィリップ、さらに南アフリカのワイナリーで研修を積まれた経験をお持ちのようです。
↓ MARO Winesのホームページから引用させていただきました

日本ワインSoiréeについて
今回の会場は、北参道のワインバー「日本ワインSoirée(ソワレ)」です。
名前の通り日本ワインに特化したバー・ビストロで、名前は聞いたことはありましたが、訪れるのは今回初めてです。
店長の志田 歩さんは、J.W.E.C.日本ワインマスターの資格を有する日本ワインのオーソリティです。
↓志田 渉さん(左)と麿 直之さん(右)

店内には、巨大なワインセラーが….。全部日本ワインです!4000本あるようです。

MARO Winesのワイン造り
2024年に自社畑にシャルドネ、ピノ・ノワールを主体に6品種6000本を植樹しているようですが、現在は主に信頼できる余市町の農家さんからブドウを購入し、ワイン造りを行ってます。
北海道のブドウ樹は冬のダメージで25年ほどで植え替えを行っているようですが、自社畑では100年の樹齢を目指す栽培に挑戦しているとのこと。
試飲の途中で、下記のスライドでMARO Winesのワイン造りのコンセプトについての説明がありました。

ニュージーランドでのワイン造りを含めて、冷涼産地の透明感を生かし、できるだけ人の手を介さない(ハンズフリー)醸造を行い、食卓に寄り添うワインを造るという理念をお持ちのようです。
テースティング
試飲アイテムについて
今回の試飲アイテムです(試飲順)何と16種類です!
01.The TABLE Pet Nat, Blanc 2024
02.The TABLE Pet Nat, Rosé 2024
03.The TABLE Blanc 2024
04.The TABLE Rouge 2024
05.MARO Wines NZ Riesling 2024
06.MARO Wines NZ Pinot Noir 2023
07.The SIGNATURE Chardonnay 2024
08.Chardonnay 2023
09.Pinot Noir Blanc de Noirs 2022
10.Pinot Noir Rose 2022
11.The SIGNATURE Pinot Noir 2024
12.Zweigeltrebe+Pinot noir 2022
13.Zweigeltrebe 2022
14.The SIGNATURE Zweigeltrebe 2024
15.The SIGNATURE Zweigeltrebe 2023
16.The BOTTLE Zweigeltrebe 2023
ラインナップに付いている「The TABLE」は敢えて品種名を記載せず、カジュアルなスタイル肩肘張らず飲めるワイン、「The SIGNATURE」は品種の特性や土地の個性を追求する定番ライン、「The BOTTLE」は、ブドウの出来、醸造の完成が完璧に一致したワインのみに冠される特別キュベのワインだそうです。

The TABLE Pet Nat Blanc / Rose
まず、Pet Natで乾杯。The TABLE Pet Nat, BlancとRoseの 2024年です。白はミュラー・トゥルガウ、ロゼは、ツヴァイゲルトのようです。酸は柔らかく、素直な果実味が感じられる微発泡の優しい泡でした。


The TABLE Blanc / Rouge
続けて、同じカジュアルラインのスティルワイン、The TABLE Blanc 2024とThe TABLE Rouge 2024です。白は、熟した柑橘果実や青りんごやレモンバームの爽やかな香り、味わいは、やや低めで柔らかな酸とジューシーな果実味。赤は、紫を残す中程度のルビーレッド。ラズベリーやレッドプラム等の赤系果実。酸は中程度。タンニンは円やか。フレッシュでチャーミングな果実味。そこそこの凝縮度も感じますが、飲み口は軽やかで造り手の狙いどおり、口当たりよくカジュアルな雰囲気でぐいぐい飲めそうなワインです。ちなみに白は、ミュラー・トゥルガウ、赤は、ドルンフェルダー(ドイツ原産の品種)とのこと。もっともカジュアルなラインナップに関しては、品種は気にせず、気軽に飲んで欲しいということで、公開していないようです。まあ、ツヴァイゲルドかドロンフェルダーなどと気にせずに楽しく飲むワインだと思います。


続いての試飲は、麿さんが2023年からニュージーランドのノース・カンタベリーで造られているワインです。
生産されているのは、リーズリングとピノ・ノワールの2種。
MARO Wines North Canterbury Riesling 2024
レモン、ライムの柑橘系果実や青リンゴの緑色果実香や白い花の香りにわずかなペトロ香が心地よく感じられます。溌剌とした酸とミネラル。基本ドライな飲み口ながら仄かな甘みも。酸と果実味のバランスが取れており、エレガントなリースリングです。

MARO Wines Isolated Hill Pinot Noir 2023
やや泡いラズベリーレッド。香りは、良く開いており、クランベリー、ラズベリー、レッドチェリーの赤系果実香に少しフリンティな香りが感じられ、一瞬、還元香と思われましたが、柔らかく、これはミネラル由来の香り。僅かに林床の香りも。味わいは、ミディアムボディで豊かな酸のアタックからまさにニュージーランドのピノらしいチャーミングな果実味が広がります。飲み口は冷涼さを感じるドライながら、やや高めのアルコール(13.9%)からの丸みも少し感じます。僅かな苦みを感じる心地よい余韻。個人的に好みのピノ・ノワールワインです。

ちなみに、ニュージーランドの定番品種のソーヴィニヨン・ブランのワインは造っていないようです。理由は、この地のソーヴィニヨンブランのワインがだれが造っても同じような味わいになってしまう傾向がある為とのこと。確かにマールボロのソーヴィニヨンブランは、飲んですぐわかる特徴のソーヴィニヨンブランですが、作り手の個性はあまり感じられないかもしれません。
Chardonnay 2024 / The SIGNATURE Chardonnay 2024
続いてシャルドネです。
ヴィンテージ違いですが、裏ラベルを見ればわかりますが、ブドウの産地が違います。2023年は、余市町の農家からの買いブドウでステンレスタンク100%で熟成。フレッシュさを残し、南国系の果実の香り。
一方、2024年は、余市町産のブドウの収穫が少なかった為、仁木町産のブドウを使用したが、発酵を進めていくうえで、少しもの足りなさを感じたため、ステンレスタンクで仕上げた後、30%の古樽で熟成。よりシャープで高い酸をもちながら、わずかに樽熟成からの複雑さも感じます。


Pinot Noir Blanc de Noirs 2022 / Pinot Noir Rose 2022
ピノ・ノワールからの白とロゼです。2022年はMARO Winesとして初リリースとのことで、この年は、自社設備ではなく、東川町の雪川醸造さんの設備を使用して醸造したようです。
白は、ピノノワールをプレスしていますが、淡くオレンジがかった色合いです。これはプレス機の故障もあり、結果的に想定以上(強めのプレス?)に果皮の色素が含まれたようです。柑橘系果実味にわずかなタンニン。アタックには未だしっかりとした酸が感じられます。早め(9月末)に収穫を行い、意図的に酸を残しているとのこと。
ロゼは、サーモンピンクの美しい色合い。こちらは果皮とスキンコンタクト(浸漬)を行って、その後、古樽で18ヶ月熟成しています。赤系果実の香りと果実味。

The SIGNATURE Pinot Noir 2024 / Zweigeltrebe+Pinot noir 2022
何故かこの2本は写真を撮り忘れました。
余市町産のピノ・ノワールから。The SIGNATURE Pinot Noir 2024は、前出のNZ産のピノに比べると淡い色調です。
2週間ほどの(野生酵母での)自然発酵、極力手を加えず抽出を行い、やさしくプレス、新樽25%で熟成。
ラズベリー、レッドチェリーの赤系果実の香り。味わいは、いきいきとした酸。色は淡いながら、とても旨味を感じるワインです!NZ産とはまた違った違った旨味に魅力のあるピノノワールでした。
Zweigeltrebe+Pinot noir 2022は、ツヴァイゲルト70%、ピノ・ノワール30%のブレンドとのこと。果実味はより濃厚で僅かにジャミーさも。
Zweigeltrebe 2022 / The SIGNATURE Zweigeltrebe 2024
ここからの4本は、ツヴァイゲルト100%のワインです。

上の写真左ですが、色が淡く、どうも上述のピノ・ノワールと撮り間違えたのかもしれません。
↓実際は、こんな感じです(左端が、Zweigeltrebe 2022です)濃く見えますが、アルコール度数は12度です。

ツヴァイゲルトは、オーストリア原産の黒ブドウですが、冷涼産地に強く、北海道でも最も成功している黒ブドウのひとつです。行きつけのショップ(信濃屋)で、オーストリア産ツヴァイゲルトのカジュアルワインを時々買っており、濃厚過ぎず、食事にも合わせやすいワインということで、しばしばデイリーワインとして飲んでいましたが、飲み慣れているというほどではありません。
カジュアルラインのZweigeltrebeはステンレスタンク熟成主体、The SIGNATURE Zweigeltrebeは、樽熟成だったと記憶しています。ただ、後者も樽香は強くなく、より凝縮した果実味ながら、とてもエレガントなツヴァイゲルドワインです。
The SIGNATURE Zweigeltrebe 2023 / The BOTTLE Zweigeltrebe 2023
最後は、The SIGNATURE Zweigeltrebeのヴィンテージ違いのワインとスペシャルキュヴェのThe BOTTLE Zweigeltrebeです。
レッドカラント、ダークチェリーやプラムの赤黒果実、リコリス、ナツメグのベーキングスパイス。酸は中程度で、凝縮した果実味を感じますが、タンニンは円やかで、重すぎない柔らかな味わい。

↓今回のワイン会で最も感銘を受けたのが、このThe BOTTLE Zweigeltrebe 2023です。珍しい布製のラベルです。
色調こそ、シグネチャーラインとあまり変わりませんが、味わいにより複雑で深みのある奥行感を感じさせます。
過去に飲んだツヴァイゲルトワインの中でも最高の1本です👍👍👍

ディナーで提供された料理
当日、テースティングに合わせて、提供された料理です。
今回のディナーでは、料理研究家の下条美緒さんがご担当されておりました。

↓カブとムースと柚子ジュレ 里芋のから揚げ 漬物タルタルソース

↓白子と豆苗と大葉のゆかりの春巻き

↓実山椒入り白麻婆豆腐
優しいワインには合わせにくいと感じている麻婆豆腐ですが、これはマイルドで、絶妙な旨味が感じられる麻婆豆腐でした。絶品👍

いちごのバルサミコマリネ 赤玉ねぎのコンフィチュール ヨーグルトクリームチーズのサラダ

ローストビーフ 麴赤ワインソース 酒粕マッシュポテト/新ごぼうのバルサミコ煮

鴨と根菜の豆鼓炊き込みごはん

各ワインに合わせて提供していただきました。
テースティングが主体だったので、そちらに気がとられ気味でじっくりとは味わえませんでしたが、それぞれのワインの個性を邪魔せず、ワインを引き立てる料理、まさに料理とワインが寄り添えるマリアージュでした。
最後に
今回のメーカーズディナーは、エクセレンス仲間の方から誘われたもので、正直、MAROさんのワインは、その方がワイン会で持参されるものしか飲んだことがありませんでしたが、今回、じっくりと味わうことができました。
濃厚なワインはやや苦手なうえに、ナチュラル系のワインも揮発酸が感じられるものはちょっと抵抗があるのですが、MARO Winesさんのワインは、どれも揮発酸や酸化のニュアンスは全く感じられず、非常に透明感のあるピュアな果実味を生かしたワインという印象を持ちました。特にエレガントなツヴァイゲルトのワインに関しては、驚きでした。
今後、出てくるであろう自社畑で植樹されたシャルドネやピノノワールにも大きく期待したいと思います。
また、素晴らしいワインとともに北海道とニュージーランドで1年をとおして熱心にワイン造りに取り組む麿さんの姿勢に感銘を受けました。機会があれば、ぜひワイナリーも訪ねてみたいと思います。
最後に素晴らしい料理を提供いただいた下条美緒さんと素晴らしい会場を提供していただいた志田 渉さんに深く感謝申し上げます。
了

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