5月27日、ミシェル・グロに続いて、同じヴォーヌ・ロマネ村のドメーヌ・グリヴォーを訪問しました。
ジャン・グリヴォーは、ヴォーヌ・ロマネの古典と改革を両立させた名門ドメーヌで、ヴォーヌ・ロマネのエレガンスを反映したワインは、世界中で高い評価を得ています。
↓ドメーヌは、ドメーヌ・ロマネ・コンティのすぐ近くにあります。

ジャン・グリヴォーについて
グリヴォー家は17世紀中期にオート・コートでブドウ栽培を開始し、18世紀末にジョセフ・グリヴォーがオート・コートの畑を売却し、ヴォーヌ・ロマネへ移住したところからドメーヌの歴史が始まります。
ジャン・グリヴォーの父、ガストン・グリヴァーが、ディジョン大学で醸造学の学位を取得し、科学的なアプローチをブルゴーニュに持ち込みます。その後、息子のジャン・グリヴォーをドメーヌを継承し、元詰めを始め、ドメーヌの基礎を確立します。また、1994年にフラッグシップのリシュブールの畑を取得しています。
1982年にジャンの息子で現当主であるエティエンヌがドメーヌに参画します。
ジャン・グリヴォーは、ドメーヌに参画してまもなく、レバノン出身のギィ・アカを醸造コンサルタントとして招き入れます。ギィ・アカの主な醸造手法は、極端に長い低温浸漬を行うことで、色の濃い凝縮感の強いワインを生み出すというもので、当初はロバート・パーカー等に高く評価されましたが、後にテロワールの個性が失われるという否定的な批判が高まり、やがてギィ・アカはコンサルトの職を追われることになります。そのような経緯から、ギィ・アミヨは、「ブルゴーニュの黒歴史」とも評されています。
(これは、当時、私がブルゴーニュ・ワインに興味を持ち始めたときに話題となっていた出来事で、その当時、この手法を導入した代表的なドメーヌとして、名前を知ることになりました)
エティアンヌは、1992年にアカと決別し、低温浸漬を見直し、テロワール表現を回復し、現在の精密でエレガントなグリヴォーのスタイルを確立しました。
現在、ドメーヌの実務は、エティアンヌの娘のマチルダと息子のユベールに引き継がれおり、10人ほどのスタッフと運営されているようです。

ドメーヌが、所有するは畑は、トータル15ha。下記のキュヴェをリリースしています。

知りませんでしたが、シャルドネとアリゴテからの白ワインも造っているようです。
いずれも見たことはありませんが、アリゴテは、自家用のワイン用として作っているとのこと。
カーヴの見学
地下のカーヴを見学させていただきました。実際には、半地下のようで、冷房を入れているとのこと。
醸造のスタイルは、できるだけ余計な力をくわえないという哲学で、天然酵母を使用し、ピジャージュは殆ど行わず、ルモンタージュを行うとのこと。マロラクティック発酵(MLF)は自然に任せ、乳酸菌は加えていない。
ブドウは、完全除梗。皮自体に含まれるエレガントさやエネルギーをワインに出し、茎は要らない。良い年には、茎を入れ、悪い年には除梗するという考えもあるが、ドメーヌでは毎年同じスタイルでのワイン造りをするというポリシーのようです。
栽培は、基本的にビオディナミ農法を採用。但し、調合剤(プレパラシオン)は使っていないとのこと。また(デメター等の)認証は取っていないとのことでした。
ブルゴーニュ(レジョナル)からリシュブールまで同じ樽を使い、30%新樽、15ヶ月熟成という点も同じとのこと。グラン・クリュ等の上級キュヴェほど新樽率を上げるのが通常の考えなので、これは、ちょっと意外でした。樽は、4つのメーカー、シャサン・カヴァン・ベルトネとエルミタージュ?(聞いたことがありません)から仕入れているとのこと。
2024年のワインは去年年末に樽から出して、3月に瓶詰めして空になっており、現在は他の樽に2025年のワインが入っているようです。未だMLFは終わっていませんが、(自然に任せるので)長く時間がかかることもあるようですが、樽の数は充分にあるので、あまり気にしないとのこと。

↓瓶詰された2024年ヴィンテージのワイン。秋以降に出荷されるとのこと。ちなみに、2024年の生産量は75%減だそうです。

カーヴで、当主のエティエンヌさんとお会いできました。
日本もしばしば訪れているようで、最初は仕事だけだったが、最近はバケーションも楽しんでいるとのこと。日本の観光スポットは、シモン・ビーズの千砂さんからもアドバイスを受けているようです。

カーヴを後にして、屋上のテラスに。
ここからは、ヴォーヌ・ロマネの珠玉の畑が見渡せます。すぐ手前には、ロマネ・サン=ヴィヴァン、その向こうにリシュブールの畑が広がります。

リシュブールのドメーヌの所有区画は横長の畑のほぼ中央部、2台の車の間の上部にあります。

テースティング
↓カーヴ見学含めて、今回対応して頂いたスタッフのミアさんです。

こちらのテースティングは、有料で、99€からリシュブールを含む330€!まで。
今回は、一番下のコースですが、グランクリュも含まれます。
↓今回の試飲アイテム
2007 Bourgogne Pinot Noir
2016 Vosne-Romanee
2006 Vosne-Romanee 1er Cru Aux Regnos
2007 Echezaux Grand Cru
全てバックヴィンテージです。時折、バックビンテージを出してくれるドメーヌもありますが、大抵は現行か、これから出荷するビンテージ(今であれば2023年か2024年)ですが、このドメーヌは、飲み頃のヴィンテージをテースティングしてもらうといのがポリシーのようです。
もちろん輸出向け(全体の75%を占めるとのこと)には、最新ヴィンテージを出すとのことですが、レストラン等には、2017、2018、2019年あたりを出しているとのこと。

2007 Bourgogne Pinot Noir
90%がレ・リュトニエール(Les Lutenieres)の区画から。レ・リュトニエールは、ヴォーヌ・ロマネAOCに組み入れられていない国道D974の東側の畑です。AOCが制定される前は、ヴォーヌ・ロマネ村名格だったようで、良いテロワールを有する畑のようです。ミュニュレ・ジブールが大部分を所有しているとのことですが、他にオーディフレッド等も所有しているようです。

熟成感を感じるカーネットの色あいですが、枯れた印象はありません。
オフヴィンテージのイメージが強い2007年のレジョナルということで、疑心暗鬼でしたが、華やかな香りと角の取れた柔らかい果実味が感じられ、とてもきれいに熟成したブルゴーニュでした。

2016 Vosne-Romanee
Aux Réas、 Basses Maizieres、Les Chalandins、Vigneux、Aux Ormes、Le Pré de la Folieの区画から。
何故か、Bossièresのみ区画名付きのVosne-Romaneeとして、リリーズされています。

2016年は、霜の被害が多く、70%減の生産量になったとのこと。
香りやタンニンは落ち着いていますが、このヴィンテージらしい骨格がしっかりと感じられます。カーヴ内にずっと保存されていたこともあり、だまだ熟成しそうなワインです。

2006 Vosne-Romanee 1er Cru Aux Reignots
プルミエ・クリュ1種類ということでしたが、まさかこの希少なワインが出てくるとは!
畑の説明中に、盛んにこの畑の話をしていたこともあり、特別に出してくれたようです。
オー・レーニョは、ロマネ・コンティの上部に接するラ・ロマネの上部に位置するプルミエ・クリュです。所有者は限られており、リジェ・ベレール、アルヌー・ラショー、シルヴァン・カティアール、オーディフレッド等がこの小さな畑を分け合っています。実際に飲んだことがあるのは、ドミニク・ローラン(スタッフが所有)とオーディ・フレッドのみで、ジャン・グリヴォのこのワインを飲むのは初めてです。
シャン・グリヴォーが所有しているのは、下部、すなわちラ・ロマネに接している僅かな区画のようで、1樽300本程度の生産量とのこと。土壌は少しピンクがかったコンプランシアンの石灰岩で、ヴォーヌ・ロマネでは、あまり見られない土壌のようです。

ヴォーヌ・ロマネらしい華やかな香りは、良く開いています。味わいには、意外に少し固さのある骨格を感じました。
レーニョの特徴としては、ふんわりとしたボリューム感ではなく、まっすぐ尖った感じで、縦に伸びるというコメントがありましたが、まさに縦に伸びるというニュアンスがぴったりでした。
2006年というヴィンテージの特徴もあってか、更にもう少し熟成させた方が面白いかなと思われる印象でした。

2007 Echezaux Grand Cru
最後は、2007年のエシェゾーです。
横長のエシェゾーですが、ジャン・グリヴォーの所有畑は、レ・スショの近い南側にあります。上の方には谷があり、涼しい風の通り道になるため、よりみずみずしく、エレガントな味わいのワインになるとのこと。

赤い果実に、腐葉土を感じる熟成香も混ざる華やかで複雑な香り。果実味も未だしっかりしていて、ふくよかで丸みのある味わい。前銘柄に比べても、非常に分かり易い古酒です。素晴らしい👍

テースティングを終えて、ブティックに戻ります。
販売用のワインがずらりと並んでいます。テースティング同様、全てバックヴィンテージです。瓶に価格が書いてありますが、さすがに高い!

カラフルにペイントされた瓶が目を惹きます。もちろん空き瓶ですが、きちんと栓がしてあります。スタッフの方の作品のようですが、値段(40€)が書いてあります。なかなか商売上手なようです。


最近は、すっかり高くなってしまい、なかなか買えませんが、ここの古酒を飲めたのは、とても貴重な体験でした。
セラーには、わずかに、クロ・ヴージョ2015年や2016年があるので、飲み頃を判断し、じっくりと味わいたいと思います。
了

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