シャンパーニュにおけるビオディナミ先駆者~ド・スーザ訪問

5月18日アヴィーズ村のレコルタン・マニピュラン、ド・スーザ(De Sousa)を訪問しました。
ド・スーザは、シャンパーニュ地方としては、極めて早くからビオディナミを導入したメゾンと知られており、チョーク質の土壌からミネラル豊かなシャンパンを生産しています。卵型の木樽によるリザーブワインの保存や土壌微生物との共生をテーマにしたキュヴェ等、ユニークな取り組みを見聞することができました。

目次

メゾンの歴史は、1950年代にポルトガルからアヴィーズに移住した家族から始まります。
「ド・スーザ」はポルトガル語圏で非常に古い歴史を持つ姓で、地名にも由来しており、Sousanoの地から来た者という意味を持っているようです。
創業者のエマニュエル・ド・スーザは移住後、妻のボンビルさんが所有していた畑の農作業に従事しながら、少しづつ畑を買い足して、ブドウを大手メゾンに販売していました。その後、2代目を継承したエリック・ド・スーザが1980年代に本格的に元詰めを開始しています。
ドメーヌは、区画ごとの醸造・古木の保護・完熟熟成を重視し、大量生産のシャンパーニュでなく、テロワールを意識した少量生産のシャンパーニュの生産にこだわりました。
エリックの逝去後、シャロット、ジュリー、ヴァワンタンの3兄妹が継承し、エリオットの妻ミシェルとともにメゾンを運営しています。長女のシャロットさんは、マーケッティングを担当、次女のジュリーさんが、畑担当で、特に馬で耕す古木の4haの畑を中心に受け持っているとのこと。弟のヴァランタインさんはカーヴ担当で、ビオディナミ液(プレパラシオン)は彼が調合しているようです。
↓エリック(写真中央)在りし日の家族写真が飾られていました。

ドメーヌの所有畑は、104区画で計14ha。7つのグランクリュに畑を所有しています。70%がアヴィーズを中心としたコート・デ・ブランのチョーク質土壌の畑ですが、ヴァレ・ド・ラ・マルヌのアイ村・モンターニュ・ド・ランスのアンボネ村にも畑を所有しています(後述のキュヴェ3Aで使用)。ムニエは、ヴァレ・ド・ラ・マルヌのマルドゥイ(ムニエの主要産地)の畑からとのこと。

先代のエリックは、2000年にシャンパーニュではいち早くビオディナミ農法を導入。2013年にはデメテール認証を取得しており、シャンパーニュのビオディナミの象徴として評価されています。
ビオディナミ農法の効果は、畑の活力を生み出し、病気の防除、ブドウの樹のトリートメントで、牛の角にフンを詰めて土地の活力を高める農法も実践しているようです。
セラードアのカウンターやテースティングルームには、ビオディナミ調剤(プレパラシオン)に使用する素材のサンプルがありました。左から、Ortie(イラクサ)、Prêle des champs(スギナ)、Osier(柳)、Bouse de corne(角の牛糞)とあります。

ちなみに、シャンパーニュで同様なビオディナミ農法を実践している生産者は、僅か1%で、人件費がかかることが、ネックになっているようです。特に、雨が降るとビオディナミ液が流れてしまうため、頻繁に散布が必要ななるため人件費がかさむとのこと。
エリック・ド・スーザは、ビオディナミ農法だけでなく、当時はステンレスタンクが主流だった醸造(発酵)に樽を使うこともいち早く始めています。現在は、ステンレスタンクが3つ、樽が9つとのこと。
できるだけ収穫を待って糖度を上げ、酵母は天然酵母を使用し、MLFは自発的に起こさせ、フィルター未使用、清澄もしないというできるだけ人手を加えない(ハンズオフの)醸造方針のようです。
ロゼのみがBrutで他は、Extra Brutとのこと。

今回、ランスに、5月16日~19日に滞在し、5月18日午前にアイ村にあるメゾンを訪ねました。

メゾンに到着すると3匹の犬が歓迎してくれました。そのうち2匹は、何と秋田犬と柴犬でした。
↓人懐こい秋田犬(まだ子犬?)

↓こちらは、ちょっと塩対応(笑)の柴犬「YUZU」です。

↓セラーの入り口です。

↓ボトルと木箱がディスプレイされた、洒落たセラードアです。

↓ちなみにアンモナイトのロゴマーク入りの木箱は、我が家の廊下にも並んでいます(物入れになっています)

あまり、一般観光客の受け入れは行っていないメゾンのようですが、色々なグッツを販売しています。なかなか商売上手なようです。ちなみに緑のフリースが気に入ったので購入しました。
壁には、先代のエリックと愛犬の写真が掲げられています。

↓アンモナイトの化石もディスプレイされています。

↓スティルワイン(コトー・シャンプノワ)も造っています。日本にも輸出されているようです。

試飲は、奥のテースティングルームにて行いました。

まずは、スタンダードのブリュット・トラディショナルから。

DE SOUSA Brut Tradition

シャルドネ+ピノ・ノワールに10%のマルドゥイ村のムニエを使用。ステンレスタンク使用。2022年産がベースで、2020年と2021年のリザーブワインを20%使用。ドサージュは5g/l。
ムニエの効果か、比較的フレッシュな酸にフルーツ感を感じるふくよかなテーストで飲みやすい。アペリフィ(食前酒)に向くとのこと

DE SOUSA Brut Reserve Blanc De Blancs Grand Cru

アヴィーズ主体の古木(樹齢60~70年)のシャルドネ100%。木樽熟成。2022産のベースワイン50%にリザーブワイン50%をブレンド。ドサージュは5g/l。
石灰からの豊かなミネラルが感じられるブラン・ド・ブラン。塩味が魚料理、寿司に合うとのこと。

↓3種類ともアヴィーズの土壌のサンプルです。
上部が粘土、下部の白い部分が石灰です。同じアヴィーズですが、比率が違うようです。根が深くまで張っているのがわかります。

続いて、ド・スーザの特徴的な2つのNVキュヴェです。

DE SOUSA Cuvee 3A Grand Cru

アヴィーズのシャルドネ50%、アイのピノノワール25%、アンボネのピノノワール25%。アッサンブラージュではなく、混醸(ブドウの状態で混ぜてプレス)とのこと。混醸により、よりハーモニーを出せるとのこと。
今年のベースワイン70%に30%のリザーブワインと加えていますが、面白いのは、卵型の木樽に10年分のリザーブワインをソレラ方式に継ぎ足して保存してるようです(後述)ベースワインの30%は、この木樽に加えられます。
卵型の樽を使用するメリットは、自然な対流によるバトナージュ(攪拌)が起こせるということのようです。この樽を使用しているのは、ド・スーサのほかに、ボランジェとドラピエのみとのこと。
いきいきとした酸に、厚みのある果実味により、より奥行感を感じる味わい。ブリオッシュ香もしっかり。余韻も長い。鶏肉等白身の肉のクリーム煮によく合うとのこと。
ちなみに、我が家のセラーにも1本ありました。

DE SOUSA Cuve Mycorhize

アヴィーズのシャルドネ100%。50%の古木。2020年産のベースワイン50%に1995年~2019年のリザーブワインを50%アッサンブラージュ。ドサージュは、5g/l。デゴルジュマンは2025年、6ヶ月ほど休ませて出荷とのこと。
このキュヴェの特徴的な点は、馬で柔らかく耕すことで、キノコ(といっても笠のあるものではなく菌糸)が生息する畑のブドウを使用しているとのこと。トラクターを使用すると重みで土がつぶされる為、このようなキノコは生えないとのこと。ミコリーズというのは、キノコの菌根の意味ようです。
透明感と豊かなミネラル感、3Aと異なり、縦に伸びる印象。

試飲はしていませんが、UMAMIというミレジメのキュヴェがあります。日本の旨味にインスパイアされたキュヴェのようで、旨味を引き出すために、60%のシャルドネと40%のピノノワールを10年寝かせたもののようです。
良年のみの生産で、過去2009年と2012年に出荷(いずれも売り切れ)され、今後2018年が登場するとのこと。

主な輸出先は、オランダ、ドイツ、イタリア、スイス、日本とのこと。

↓テースティングルームに古いボトルがディスプレイされています。

↓1965年ヴィンテージもあります。古いボトルには、アンモナイトのロゴは使用されていないようです。

↓先代エリック・ド・スーザの奥様、ミシェル・ド・スーザさんです。

テースティング後、道を挟んだところにあるカーヴを見学させていただきました。

↓途中、こんな広告が目につきました。

コーダリー(Caudalie)というボルドー生まれの化粧水で、ブドウ由来成分のポリフェノールやレスペラトロールにより抗酸化の効果があるようです。
この化粧水にこのあたりの3番絞りのブドウの皮が使用されており、どれだけ口の中に味わいが残るか(1秒で1コーダリー、12秒で12コーダリーというように)で買い付け値段が変わるとのこと。

↓カーヴ内に並んでいるイノックス(ステンレスタンク)が、まず目に入ります。

↓熟成用のバリック。新樽は未使用で、古い樽は最長23年使用しているとのこと。
樽詰め後、1ヶ月モーツアルトを聞かせているとのこと。432Hzの振動が熟成に良い効果を与えるようで、これもビオディナミ的な考え方と思われます。
ちなみに、日本酒でも同様なことを行っている蔵があるといった話をしたとこと、ド・スーザさんの2人の娘さんは、2017年からフランスで実施されている日本酒のコンクール「Kura Master(クラマスター)」の審査員だそうです。

↓前述のキュヴェ3Aのみに使われている2200リットルの卵型木樽です。2010年にコニャックの樽を作っている会社に頼んで作ったものとのことですが、製法は企業秘密のようです。

↓2014年から2024年までのリザーブワインが保存されています。

↓ミコリーズのリザーブワインを格納しているオーバル(楕円形)樽です。

↓カーヴにディスプレイされていた大きな水晶の塊です。水晶の粉は、ビオディナミ農法の調剤に使用されます。太陽の光を反射することで光合成を促し、畑を活性化したり、酸化を防ぐ効果もあるようです。

メゾンの生産量は、年間トータルで10~14万本で、カーヴには40万本分のシャンパンが眠っているようです。

↓セラードアに戻るとバイヤーが試飲していました。ベルギー?から来られた方々で、帰りにキュヴェ・ミコリーズを何箱も車に積んでいました。

2時間半ほどの滞在になりましたが、ミシェル・ド・スーザさんを含め、とても暖かい歓迎をしていただきました。
秋田犬に柴犬の飼犬、UMAMIというキュヴェ、更に娘さんの蔵マスター等々と日本への深い愛が感じられたことは、ちょっと驚きでした(コロナ前には結構日本に行っていたそうです)
ビオディナミへの真摯な取り組みが、とても印象的なメゾンでした。

メゾンを後にして、アヴィーズ村の中にあるル・ルコマミデ(Le Recommandé – Bar à dégustation)というレストランで軽いランチをとりました。

昼食後、同じコート・デ・ブランにあるピエール・ジモネに向かいました。

楽天市場でド・スーザを探す

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

1958年東京生まれです。
昨年、仕事をリタイアして大好きなブルゴーニュワインとグルメや旅行を楽しんでいます。
主な資格(Foods&Drinks):
JSA ワインエキスパートエクセレンス(2022)
JSA SAKE Dioploma(2018)
WSET Level3(2025)
CPA チーズプロフェッショナル(2017)
SSI 唎酒師(2018)
日本テキーラ協会 テキーラマエストロ(2017)

コメント

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

目次