すごく俗っぽく大げさなタイトルですが、カリフォルニアのロマネコンティと称され、伝説的なピノ・ノワールを生み出したカレラの単一畑ライアンの2012年です。数十年来のカレラの大ファンですが、2017年のワイナリー売却のニュースを知って、暫く温存していたうちの1本です。
カレラのオーナのジョシュ・ジェンセン氏は、大学卒業後、渡仏し、DRCやデュジャックで働き、 優れたブルゴーニュワインが、石灰岩の肥沃な土壌から生まれることを知ります。母国アメリカに帰国後、衛星まで駆使し、豊富な石灰の土壌、冷涼な土地を探し、たどり着いたのが、ソノマ・コーストのギャラヴィン山脈にあるマウント・ハーランです。この地に石灰岩の砕石場の跡地に土地を購入し、ロマネ・コンティのクローンを植えたのがカレラのスタートになります。
ちなみに「カレラ」はスペイン語で「石灰岩でできた焼き壺」の意味で、ラベルやキャップシールのマークは、この焼き壺がモチーフになっています。
1970年代当時カルフォルニアは、赤ワインと言えばカベルネ・ソーヴィニヨンであり、ピノ・ノワールの栽培には向かないと言われていましたが、マウント・ハーランの地で改良を重ねて、ロマネ・コンティに比肩するとまで言われるワインを生みだします。1990年には、カレラしか存在しないこの地が「マウント・ハーランAVA」という原産地呼称(アメリカ政府承認ブドウ栽培地域)に指定され、その品質に政府のお墨付きを得ています。さらにロバート・パーカが、2003年に「カリフォルニアのロマネコンティ」という記事を発表し、大絶賛してことで、大きな注目を浴びることになります。
そんなカレラですが、子供が跡を継がず、2017年にワイナリーをカリフォルア・メルローワインで有名なダックホルンに売却しています。
カレラのワインは、30年近く前から飲んでいますが、ブルゴーニュワインに魅かれるようになった最近も、しばしば思い出したように飲んでいます。ただ、ワイナリー売却もあり、ここ2,3年で単一畑のワインは高騰してしまい、なかなか手頃な価格で入手できなくなっています。
カレラ同様に、以前良く飲んでいたカリフォルニアのピノノワールが、Au Bon Clima(ABC)のワインですが、樽香の強いオー・ボン・クリマは、年とともに次第に敬遠するようになり、よりブルゴーニュに近い性格のカレラは、唯一のお気に入りのカリフォルニア・ピノノワールになっています。甘くジャミーなピノノワールワインが多い「カリピノ」とは一線を画し、やはり、ブルゴーニュワインを知り尽くしたカレラは別格に感じます。
カレラ ライアン 2012年
Calera [2012] RYAN Mt.Harlan
マウント・ハーランで固有名のついて畑は、全部で6つ。ロマネコンティに比肩すると言われるジャンセン(JENSEN)を筆頭に、ミルズ(MILLS)、リード(REED)、セレック(SELLECK)、DE VILLIERS(ド・ヴィリエ)、そしてライアン(RYAN)です。
ライアンは、所有する畑の中で最も標高の高い約762mに位置する石灰岩土壌を備えた面積13.1haの畑です。
Calera's Mt.Harlan Vineyards
少し紫の残る濃い目の色調。色表現としては、ピノのラズベリーレッドよりもダークチェリーレッドに近い。レッグはやや長め。
熟したラズベリー、カシス、ダークチェリーのコンポート。シナモン、甘草、ドライハーブ、微かなミントやオリエンタルスパイス。スーボワ、なめし皮、バニラ等オークのトースト香と熟成アロマ。タンニンは力強いものの滑らか。樽香もそこそこ強いが、凝縮した果実味が前面に出ているため、過剰には感じられない。甘酸、タンニンのバランスが取れている。時間が経つと甘露さも出てきて、美味しい。飲み頃には入っているものの、あと5年くらいで、更に良くなりそう。
(4.0)
▼チーズは、フルムダンベールとグルイエール。ワインの力強さに負けることなく、相性はGoodです。
久しぶりのカレラですが、やはり盤石の美味しさです。
過去に訪れていたハワイのレストランで食事をする際に、カレラのワインを見つけると必ずオーダしていました。割と手が届く価格で、絶対に外さないことがわかっているのが、理由です。今では、あまたの高評価のカリフォルニアのピノノワールワインが存在していますが、自身にとっては、やはり唯一無二のカリフォルニア・ピノという存在です。
このワインを飲んだ後に、セラーを確認したら、残ったカレラは、2010年のミルズと2007年のセレックの2本だけでした。飲む順番を間違えたような気がしますが、大切にに飲みたいと思います。
<了>