Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

2023年3月に飲んだワインのレビュー

2023年3月に飲んだワインのレビューです。
フランス、イタリア、日本、ニューワールドと色々です。ニュージーランド セントラルオタゴのリッポンによるブルゴーニュ的なピノノワールは、なかなか印象的でした。

スターク・コンデ ザ・フィールド・ブレンド  2019
Stark Condé The Filed Blend

フィールド・ブレンドは、同じ畑に植えられた色々な品種を果実や果汁の状態でブレンドしたワイン、いわゆる混植混醸のワインです。特に南アフリカのフィールドブレンドワインは、赤は、ピノタージュ、白はシェナ・ブランを主体としており「Cape Blend」と呼ばれています。
スターク・コンデ(Stark-Conde)は、ソムリエ教本にも名前が載っているステレンボッシュの有名生産者で、カベルネ・ソーヴィニヨンで有名ですが、シェナブランやソーヴィニョンブランといった単体品種の白に加えて、今回の白のフィールド・ブレンドを生産しています。ちなみにシラー主体の赤のブレンドワインは、リンゲン(Lingen)という名前でリリースされています(フィールドブレンドではないと思います)。
ちなみにスターク・コンデの奥様は日本人です。

このフィールド・ブレンドは、数か月前に初めて飲み、お気に入りのデイリーワインになっています。
シュナン ブラン 42%/ ルーサンヌ 30%/ ベルデホ 17%/ ヴィオニエ 11%

輝きのあるレモンイエロー。香りは良く開いており、洋ナシや黄桃、花梨のストーンフルーツや熟した柑橘果実のアロマ、アカシアや菩提樹の黄色い花、甘いハーブ、アップルミントに強いミネラル、滓由来のイースト、クリーム、バター、トースト。樽熟成由来の香ばしさを伴うバニラやトーストが感じられる。
味わいのアタックには、熟した黄色い果実味とやや甘みを伴う酸が広がり、やや塩気のあるたっぷりのミネラルを感じる余韻はやや長い。

(3.2)
シェナブラン単体だとやや酸が強すぎ、飲みにくさを感じることもありますが、ルーサンヌやベルデホのブレンドが円やかさを加えているように思います。お気に入りです。

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リッポン マチュア・ヴァイン ピノ・ノワール 2017
Rippon Mature Vine Pinot Noir


ニュージーランドのセントラル・オタゴのサブリージョン、ワナカにワイナリーがあるリッポン(Rippon)のピノワインです。ワナカは、海外スキーに嵌っていた30年以上も前に注目していたスキー場(結局訪れることはありませんでした)があることで良く知っていましたが、このワイナリーの現当主のニック・ミルズ氏は、元世界的なスキーヤだったようです。怪我により、スキーヤーの道を断念したのち、フランスに渡り、J.J.コンフュロンやDRCで修業を積んだという異色の経歴をもつ人物のようです。

マチュア・ヴァイン ピノ・ノワールは、リッポンを代表するキュヴェのようで、この2017年は、ジェームス・サックリングが99点を付けたことが売り文句になっていました。

やや暗めのラズベリーレッド。ブルーベリー、ダークチェリーのやや黒系の果実やドライフルーツ。スミレの花、シナモンやリコリス、ドライハーブ、アニス等、オーク香はそれほど強くなく(新樽24%)、やや冷涼さを感じる香り。時間が経つとスーボワや腐葉土の熟成ブーケも。味わいは、アタックに比較的豊かな酸と凝縮した果実味を感じ、収斂性はないもののタンニンもそこそこ感じられ、余韻もやや長い。

(3.4)

最近、オーストラリアのピノを飲む機会が多くなっていますが、ニューワールドらしい甘みやジャミーさが感じられたり、(ナチュラル系の)淡く、キャンディ香のあるワインであったり、ブルゴーニュ好きにとっては、やや違和感を感じることも多いのですが、このニュージーランドのワインは、それらとは一線を画す、ブルゴーニュ的な冷涼さを感じさせてくれる1本です。もっとも、最近のブルゴーニュも暑い気候のせいか、甘く濃厚なワインが多くなっていますので、セントラルオタゴの冷涼な気候を反映しているこのワインは、クラシカルなブルゴーニュに似ているという表現がより近いのかもしれません。
割としっかりしたタンニンと酸から飲み頃のピークは、もう少し先のように感じました。
最近購入した2017年の単一畑からのティンカーズ・フィールド マチュア・ヴァイン ピノ・ノワールと2019年の マチュア・ヴァイン ピノ・ノワールについては、少し熟成させて飲んでみたいと思います。

4K円台で購入(この2017年は4.2K円)でき、ブルゴーニュの村名に匹敵する味わいのこのワインは、結構お買い得かと思います。

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マーレ マンニュム クルード ビアンコ 2021
Mare Magnum Crudo Bianco

南イタリアのプーリア州のオーガニックワインです。蛸がデザインされたインパクトのあるエチケットです。キャップシールにも蛸の足がデザインされています。
カタラット75%、ズィビッボ25%というシチリアブレンドです。ジビッポは、マスカット・オブ・アレクサンドリアシチリアでの呼称です。

輝きのある淡いクリームイエロー(麦わら色)。
熟した洋梨、桃、パイナップル、アプリコット、マンゴーなどのアロマティックなフルーツの香りに、白い花、ハーブ、さらに石灰からのミネラルが加わる。
味わいは、フレッシュで柔らかい酸と熟した果実の蜜の甘みが感じられ、やや苦みのあるアフターに続く。欲を言えば、もう少し酸が欲しいが、円やかな味わいから和食にも合いそう。

(3.0)

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カンティーエウロパ ロチェーノ グリッロ 2021
Cantine Europa Roceno Grillo Sicilia D.O.C.

知りませんでしたけど、シチリアで最大規模の生産者なようです。
シチリアの代表品種、グリッロ100%のワインです。

色合いは、上記のクルード ビアンコに似たクリームイエロー。
柑橘系果実や黄桃、トロピカルフィルーツ、フレッシュハーブの混ざるアロマティックノート。フレッシュな味わいだが、やや柔らかい酸。果実からのナチュラルな甘みと塩味。余韻はやや短め。

(2.9)

↓(左)アッペンツェラー、(右上)ボーフォールエテ、(右下)コンテ36M、このアロマティックな白ワインには3種の中でもっと優しいアッペンツェラーが合いました。

このワイン、1000円を切る価格でした。複雑さを求めるのは酷ですか、デイリーワインとしては十分で、コスパはかなり高いと思います。

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アントヒル・ファームズ ピノ・ノワール コンプチ・リッジ・ヴィンヤード 2017
[2017] Anthill Farms Pinot Noir Comptche Ridge A.V.A. Mendocino County

世界屈指のピノノワール生産者ウィリアムズ セリエム出身の若手醸造家3人により2004年に設立されたワイナリ。Anthillは「蟻塚」を意味しており、昼夜問わず懸命に働く姿や、醸造タンクに彼らが集う様子は「まるでブドウに群がる蟻のようだ」と形容され、ワイナリーのシンボルとなっているようです。エチケットにも蟻が描かれています。

カリフォルニア州ノースコーストでも最も北に位置するメンドシーノ・カウンティの中にあるアンダーソン・ヴァレーに近いところにある畑です。アンダーソン・ヴァレーは、冷涼な気候を生かしたリースリングやゲヴェルツ・トラミネール等のアルザス品種で成功している地ですが、ピノノワールシャルドネの産地でもあります。

やや淡いラズベリーレッド。完熟ブルーベリーやアメリカンチェリー、プルーンの甘やかな赤黒系果実の香りに、甘草、リコリス、シナモンの甘苦スパイス、僅かにアニス。
味わいは、(決してジャミーではない)甘みを感じるベリー系果実味、酸は円やか。タンニンも滑らかで柔らかい。良く言えば、ふくよかで柔らかなワインだが、酸やタンニンがやや円やかな分、余韻まで甘みが目立ち、少しメリハリに欠ける印象。

(3.1)

ここのワイン、海外の評論家の評価は極めて高いようですが、個人的には、美味しいとは思うのですが、カリ・ピノらしい甘み寄りなテーストがちょっと引っかかってしまいます。スタンダードのピノや数年前に何回か飲んだケイネズ・ワイナリー(設立者のひとりであるアンソニー・フィリベルティが醸造責任者だったアントヒル・ファームズの前身ともいえるワイナリー)も同じ様な印象でした。

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ワールズ・アパート・ワインズ マウンテン・トップス 2021
[2021] Worlds Apart Wines Mountain Tops

南オーストラリア州アデレードヒルズのワインです。昨年、メルボルンのワインショップで購入しました(4K円くらい)。おそらく日本には輸出されていないと思います。
アデレードヒルズの標高の高いピカデリー・ヴァレーという場所のブドウ園で収穫されたブドウから作られているようで、このブドウ園のある裏斜面にある南オーストラリア州の最高峰マウント・ロフティの電波塔が描かれています。

ノンフィルターの影響と思われるやや濁りのある明るく淡いラズベリーレッド。
開戦直後は、還元香があります。クランベリーラズベリー、サワーチェリー、しそ梅の赤系果実やローズヒップのアロマ。しそ梅の典型的なビオ香。味わいの酸は柔らかく、タンニンは円やかで繊細。フレッシュさの余韻は短め。

(2.9)

購入時にショップの店員に伝えた希望とおり、典型的なオーストラリアのナチュラルワインでした。ちなみに、ジェームス・サックリンは、このワインに93点!を付けています。

ドメーヌ・ベルトー・ジェルベ フィサン レ・クロ 2019
Domaine Berthaut-Gerbet Fixin Les Clos

フィサンを本拠地とするドメーヌです。現当主は、アメリー・ベルト女史ですが、母方のヴォーヌ ロマネのドメーヌ・フランソワ ・ジェルベ(DRCのすぐ近くです)の一部の畑を継いでいます。

紫の残る艶のある濃いめのラズベリーレッド。カシス、ブルーベリー、ダークチェリーのコンポート、スミレやシナモン、甘草、リコリス等の甘苦スパイスの香り。紅茶やややアーシーな香りも。
味わいは、甘みを感じる完熟赤黒系果実。酸は、そこそこしっかり存在しているが、果実味に隠れている印象。タンニンは滑らか。ヴィンテージの特徴か、熟度の高い果実味が主体で甘く外向的なワインで、今でも美味しく飲めるが、各要素が落ち着くのにもう少し時間がかかりそう。

(3.2)

ヴォーヌ・ロマネやジュヴレ・シャンベルタンのワインもリリースしていますが、やはりフィサンの村名のコスパの高さが魅力的かと思います。ちなみに、ここのフィサン プルミエ・クリュ レ ザルヴレの2017年を以前に飲みましたが、香り・味わいとも素晴らしいワインでした。ただ、村名とは結構価格差があるので、リピートは迷います。 

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ドミニク・ローラン ボーヌ ヴィエーユ・ヴィーニュ キュヴェ No11  2018
[2018] Dominique Laurent Beaune 1er Cru Vieilles Vignes

ドミニク・ローランの黒ラベル(ドミニク・ローランが、長い付き合いのある信頼する生産者から買い付けたブドウを使用しているワイン)です。
高騰するブルゴーニュワインのなかで、良心的な価格の造り手で、更にあまり人気がない?ボーヌ村名ということも加わり、比較的手ごろな価格で入手できました。 

上記のベルトー・ジェルベ同様、濃い目のラズベリーレッド。
抜栓直後から香りは良く開いており、ブルーベリー、ダークチェリー、煮詰めたプルーンのような黒系果実やグローブや黒砂糖、オークのやや甘い香り。
味わいも完熟凝縮した果実の甘みが感じられ、酸やタンニンは、円やか。2018年ヴィンテージらしい熱量高めのワインだが、やや過熟気味の印象。

(3.0)

ドミニク・ローラン+2018年ということで、濃厚さは、予測していましたが、依然価格が抑えれているこの作り手の2018年のワインを結構購入しているので、同じような傾向なのでしょうか?外向的で今飲んでも美味しいですが、果実の甘さに対して、ちょっと酸が足りない気がします。

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ヴィエ・ディ・ロマンス  ディス・クミエリス・マルヴァジーア 2017
[2017] Vie di Romans Dis Cumieris Malvasia Istriana

北イタリアの白ワインの巨匠、ヴィエ・ディ・ロマンスのマルヴァージア種からのワインです。ここのワイン、結構お気に入りで、良く買っていましたが、最近のヴィンテージは、5千円近くになってしまい。ディリーワインとしては、なかなか手がでません。

輝きのある淡いレモンイエロー。
完熟柑橘系果実とアプリコットや黄桃などのストーンフルーツ、アカシアの黄色い花、カルダモン、ホワイトペッパー、石灰からのミネラル。
味わいは、熟した柑橘系果実と滑らかで豊かな酸。アフターにグレープフルーツの皮の苦みのフレーバの余韻。やや甘いイメージのマルヴァジアですが、甘みは抑えられており、結構ドライ。

(3.5)

白のどの品種も共通して美しい酸がここのワインの特徴だと思います。
お気に入りです。

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最後は、日本ワインです。

ドメーヌ・エーデル ツヴァイゲルトレーベ
Domaine Edel Zwigeltrebe

ツヴァイゲルトは、オーストリア原産の赤ワイン用ブドウ品種で、ブラウフレンキッシュと並ぶオーストリアの代表的な黒ブドウです。
寒冷地向けの品種で、日本では、主に北海道で栽培されていますが、今回は、岩手県花巻市のエーデルワインの地元産ブドウによるツヴァイゲルトレーベです。
ツヴァイゲルトレーベは、ツヴァイゲルトのチェコでの呼び名のようですが、何故か、日本のツヴァイゲルトは、「ツヴァイゲルトレーベ」で呼ばれています。

↓田町の日本ワインの店「かくはち」にて、2種の飲み比べです。

ツヴァイゲルトレーベ2016天神ヶ丘畑とツヴァイゲルトレーベ樽熟成2019

かなり濃い色調ですが、実際味わうと重々しいワインではなく、意外にエレガントな印象です。2016年の方が、やや濃く見えます。

ツヴァイゲルトレーベ2016天神ヶ丘畑

ブラックカラント(カシス)やブラックチェリーの黒系果実の香り、リコリス、甘草の甘苦スパイス。コンポートまではいかないが、甘みのある果実味と円やかなタンニン。
ツヴァイゲルトは、良く飲んでいるわけではなく、時々オーストリアの「ランドハウス・ポール」というワイナリーのデイリークラスのワインを飲みますが、このまろやかな味わいは、よく似ています。

(3.0)

 ゼーレ・オオハザマ ツヴァイゲルトレーベ2019樽熟成

岩手県花巻市大迫町の葡萄栽培者とエーデルワインが地元産ブドウにこだわり、よりよいワインづくりへの情熱と魂(ゼーレ)を込めた特別醸造限定品シリーズ」とあります。
カシスやブラックベリーの黒系果実の香りは共通ですが、味わいはかなり違います。こちらは、甘みよりもタイトなタンニンを感じます。なめし皮やカカオ等樽由来の風味も強く、スパイシーな印象ですが、味わいにより深みがあります。

(3.2)

同じ生産者のツヴァイゲルトレーベですが、ヴィンテージの違いはあるものの、かなり違った味わいで、なかなか興味深い比較テースティングでした。
料理は、ワインと楽しめるワンプレート、白ワインは、余市のケルナーです。