長野県東御市にあるヴィラデスト・ガーデンファーム&ワイナリーにて、ブドウの枝の誘引作業をお手伝いする機会に恵まれました。貴重な体験に加えて、ランチとワイナリー自慢のワインを堪能することでき、とても楽しい1日を過ごすことができました。
ヴィラデストワイナリーは、エッセイストで画家もある玉村豊雄さんが2003年に長野県東御市に開設されたワイナリーです。冷涼な気候を活かして、周辺の自社畑で欧州系品種を栽培し、醸造から販売までを一貫で行っています。
今回のイベントは、同ワイナリーのコンサルタントを務められているエクセレンス同期の岩本朗さんが企画されたもので、畑作業(枝の誘引)の体験とワイン付きランチをセットで楽しめるという内容でした。今回の企画はトライアル的な位置づけで開催され、エクセレンス仲間6人が参加しました。
↓ワイナリーに隣接する手入れの行き届いた庭園では、様々な花が咲き乱れ、目を楽しませてくれます。↓ワイナリーの前の畑。シャルドネやピノ・グリ、ピノノワールなどが植えられています。後述しますが、ピノノワールの畑には、雨除けのビニールシートが見られます。
遠くに北アルプスの山々と東御の街が見下ろせる素晴らしいロケ―ションです。ワイナリー内部には、玉村豊雄さんのギャラリーが設けられており、展示されている絵画は、販売もされています。畑作業に先立ち、社長の小西さんの案内で、セラー内の醸造設備を見学させていただきました。
小西さんは、大学卒業後、宝酒造で勤務していた時に、ワイン業界へ参入することになり、この地を訪れ玉村さんと出会ったそうです。結局会社のワイン業界への参入計画は中止になりますが、この地でワインを造りをしたいという思いで、会社を離れ、ワイン造りを始めたとのこと。
清潔なセラー内には、白ワイン用の4000Lのステンレスタンクと赤ワイン用の発酵用のオーク樽(2000L)が並んでおり、奥にはバリックが並んでいます。クロ―ジャーには、スクリューキャップを使用しています。STELVINの酸素透過性のあるスクリューキャップで2種類の異なる酸化透過性のものを使用しているとのこと。この後、畑に向かい誘引作業のお手伝いです。
場所は、標高850mほどのところにあるワイナリーの白のフラッグシップであるリザーブシャルドネのブドウ畑です。
ちょうどブドウの花が咲いていました。ブドウの花は写真では見たことがありますが、実物は初めてです。匂いを嗅ぐと石鹸のような芳香が感じられます。房が上を向いていますが、実が成長すると、その重みで本来の下向きに垂れ下がるとのこと。↓欧州系品種で一般的な垣根仕立てです。このシャルドネの畑では、長梢剪定のギヨ・サンプルが採用されています。これは、冬の剪定で、主幹に近い前年度の結果枝を水平に誘引し、そこから数本のシュートを伸ばして結実させる仕立て方です。このワイナリーでは、短梢剪定のコルドン・ロワイヤもメルロー種で採用されているようです。一定間隔の支柱の間を4段のワイヤが張られており、最下段を除き、ワイヤは2本ずつ張られておりこの同じ高さの2本のワイヤの間に暴れた枝を誘引するのが今回の作業でした。ワイナリーの従業員の方にサポートしていただき、端から順に誘引を行っていきます。ワイヤーにステープル等を使用して固定することを想定していましたが、今回は、2本のワイヤで挟み込むことで枝を誘引する方法が採られていました。枝には柔軟性がありますが、強く曲げすぎると根元から折れてしまうリスクもあるので、少々緊張しながらの作業でしたが、なんとか1本の枝も折ることなしに無事作業を終えることができました。↓こちらは、ピノノワールの畑です。
下半分にビニールがかけられていますが、これが、下に成る実を雨から守るためのシートです。ピノノワールの果皮は薄い為に、雨が続くと果皮が破れてしまう為、このようなカバーで果実を守っているようです。↓こちらも花が咲いていましたが、見た目はシャルドネの花と変わりません。匂いも同じような石鹸のような香りでした。
誘引のお手伝い後、遅めのランチです。使用する野菜は自家農園や地元で収穫されたものを、主菜の料理も、地元長野県産の食材を中心に組み立てているとのこと。
ランチコースは、前菜と主菜が選べますが、この日は、前菜に「サラダ菜のヴィシソワーズ、天使のエビを添えて」、主菜に「牛肉とチキンのポリートミストサルサヴェルデ添え」を選択。デザートは「メロンと白ワインのチーズムースバニラアイス添え」です。
窓の外に北アルプスの雄大な山々を眺めながら、ワイナリーに付随するレストランとは思えないような素晴らしい料理を楽しめます。ワインは、スパーリング、白、ロゼ、赤、さらに蒸留酒のフルコース!でした。
右端が、シャルドネ100%(ブラン・ド・ブラン)のスパークリング。このスパーリングは、ヴィラデストのグループワイナリー、アルカンヴィーニュのもののようです。瓶内二次発酵12ケ月のスパークリングワインは、柑橘や青リンゴを感じる爽やかな酸に瓶内二次発酵からのブリオッシュの複雑なアロマが加わる美味しい泡でした。
↓ソーヴィニヨン・ブラン。柑橘系果実に心地よいフレッシュハーブ。パッションフルーツや青っぽいハーヴァルな香りは抑えられており、ロワールのSBに近い、食事に合わせやすいソーヴィニヨン・ブランの印象。2021年は、当初は涼しかったが、最後は雨が少なく結果的に糖度があがったとのこと。↓ピノ・グリ。少し標高の高い900mの畑から。一晩スキンコンタクトを行っているとのこと。グリらしい少し灰色がかった外観。酸はやや柔らかく、旨味が感じられる印象的な1本。2022年は、暑かったものの雨が多い年とのこと。ヴィニュロンズ・リザーブ・シャルドネ。今回、枝の誘引作業を手伝ったブドウからのリザーブ・ワインです。2004年の植えられた樹齢20年のシャルドネから。樽香が心地よく、美しい酸としっかりとしたボディーながら今飲んでも美味しい。滓と共に樽熟(シュール・リー)しるようで、旨味も感じられます。さすがのフラッグシップワインです。続いてはロゼです。赤みを帯びたローズ色で結構濃いめの色調です。
フランボワーズやラズベリー、甘い香りですが、味わいはしっかりとした辛口。↓このメインディシュとは、このピノ・ノワールのロゼがぴったりです。↓続いてピノ・ノワールの赤。意外に淡いラズベリーレッド。フレッシュな赤い果実に、若いながらもドライハーブ、僅かにスーボア等の熟成のアロマも感じられる薄旨ピノでした。10%の全房発酵、1年熟成とのこと。↓ヴィニュロンズ・リザーブ・メルロー。ワイナリーの赤のフラッグシップです。樽熟1年半とのこと。柔らかさの中に、果実の厚みも感じられるとてもエレガントな赤です。デザートには、5年熟成のカルヴァドスも。なんと、6人で7本を空けてしましました+カルヴァドス笑
玉村豊雄オーナーも加わって記念撮影。
素晴らしいランチとワインをありがとうございました!
今回、梅雨入り近くで、雨も心配されましたが、幸運にも素晴らしい晴天のもと、畑での誘引作業という貴重な体験をさせていただきました。畑作業は1時間ほどだった為、お手伝いのつもりでしたが、体験イベントというような形になり、欲を言えば、もう少し長く作業に関わらせていただければと感じました。
ヴィラデスト・ワイナリーのワインは、これまで単発で何回か飲んでいましたが、今回、まとまって味わう機会に恵まれ、改めて、どのワインも洗練され、エレガントで素晴らしことを実感することができました。個人的には、ピノ・グリ、リザーブ・シャルドネ、そしてピノ・ノワールのロゼは、特に印象的なワインでした。
最後に、丁寧にレクチャー頂いた小西社長。畑作業をサポート頂いた従業員の方々、素晴らしいランチとワインをサーブ頂いたスタッフの方々、そして、今回の貴重なイベントを企画していただいた岩本様に深く感謝いたします。
了