Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

氷見のワイナリー "SAYS FARM"

富山県の西の端、能登半島の根元に位置する氷見の小高い丘に佇むセイズ・ファーム(SAYS FARM)ワイナリーです。富山への出張の前日に立ち寄りました。このワイナリーとここで購入したワインの印象について紹介したいと思います。

新たな日本のワイン産地のひとつとして注目されているのが、日本海沿いに位置する「新潟ワインコースト」です。ここは、カーブドッチに代表される5軒のワイナリーが日本海を望む新潟県の角田山で個性的なワインを生み出しています。今回のセイズ・ファームは、そのお隣りの富山県の氷見に2007年に設立されたワイナリーです。
ワイナリーとしてのオープンは2011年ですが、母体は地元・氷見市で江戸時代から続く「釣屋」という魚問屋で、その次男にあたる釣 誠二さんという方の農業やものづくりに対する情熱から誕生したワイナリーです。残念ながら、ご本人はワイナリーがオープンする数か月前に病気で他界されたようですが、その意志を兄の釣 吉範さんが継ぎ、今に至っているようです。

↓ワイナリーは、富山湾を見渡せる丘の上にあります。

↓ワイナリーのシンボルマークのようです。

↓ワイナリーのすぐ下に、こじんまりとしたブドウ畑が広がっています。

畑の横に山羊小屋があります。けっこう人懐っこいようで、近くに寄ってきます。

ワイナリーにはショップとレストランが併設されています。さらに1日1組限りで、宿泊もできるようです。当日も宿泊予約していたお客さん(外人さんでした)がちょうど宿泊の手続きをしていました。
当初は、ここでのランチを考えていましたが、当日指定された時間に到着する自信がなかったので断念して、ショップ内でワインを試飲しました。
当日販売していたのは、シャルドネ・プライベート・リザーブ(7000円)、メルロー(4700円)とYOKAWA BLANC(余川はワイナリーのある地名です)というブレンド白ワインでした(7000円)
実は、ここのワイナリーに興味をもったきっかけが、日本では未だ珍しいアルバリーニョ種を栽培しているというのを知ったことで、当日は、アルバリーニョ種100%のワインを期待していました。残念ながら、最近リリースされた2020年は、アルバリーニョの収穫が少なかったため、一般には販売されなかったようです。辛うじて、YOKAWA BLANCに少量ブレンドされています。

販売しているワインは、いずれも1杯350円で試飲でき、今回は、シャルドネ・プライベート・リザーブと余川ブラン、そしてシードル(こちらは250円くらいだった思います)を試飲しました。

↓PRIVATE RESERVE CHARDONNAY 2020

淡いクリームイエロー。香りは控えめながら、僅かに青リンゴ、洋ナシの香り。酸は円やかでやや甘みのアタック。オークはそれほど感じられず、余韻には僅かな苦みと塩味を感じます。尖った要素があまりなく、優しくエレガントなシャルドネ
試飲を担当している方に上記の印象を伝えましたが、2020年は暑い年で、ややその特徴がワインに顕れているとのことでした。
正直、試飲が極めて少量だったのと、劣化という訳ではありませんが、抜栓後少し時間が経っている印象もあり、特徴を十分摑みみきれなかったので、このワインは、購入してじっくりと味わうことにしました。

↓YOKAWA BLANC 2020
シャルドネとソーヴィニョンブランが各43.1%、アルバリーニョが13.8%のブレンド
シャルドネの香りや味わいが円やかな分、ソーヴィニョンブランの柑橘系の香りがやや目立ちます。こちらも残念ながら少量だったので、アルバリーニョはあまり感じられませんでした。ブレンド特有の複雑さは感じられますが、個人的には、シャルドネとSBのブレンドはあまり好みではないので、購入は断念しました。

↓MERLO 2020
今回は、試飲・購入しませんでしたが、比較的軽口のフルーティなメルローワインのようです。

↓CIDRE
富山県産の「ふじ」100%のシードルです。試飲しましたが、思ったよりドライで、これは、十分食中酒としても使えそうです。

帰りは、ワイナリのある丘の上から麓まで徒歩で下りましたが、途中に垣根仕立てのぶどう畑がいくつか見られました。いずれもそれほど大きな畑ではありません。最初にブドウが植えられたのが2008年ということで、樹齢は、それほど高くはないようですが、今後、樹齢があがるにつれ、より深みのあるワインを生み出してくれるものと思います。

以下は、ワイナリーで購入しハンドキャリーした1本、
SAYS FARM CHARDONNAY PRIVATE RESERVE 2020
を家でじっくりと味わった印象です。

輝きのあるクリームイエロー。香りは抜栓後はやや控えめながら、徐々にシトラスやライム等の柑橘系果実と青リンゴ、洋梨の香りと綺麗なミネラルの香りが広がり、さらに樽熟成からのバニラ香がワインに複雑さを与えています。試飲時にはやや弱く感じられた酸も、今回はそこそこ豊かに感じられますが、やはり質感は円やかで、エレガントな印象です。さらに優しい甘みとほんのりと感じられる塩味がこのワインの特徴づけています。

(3.2)

このワインには、やはり、和の食材が合うと思います。
ということで、前日に伊東の竹林で採ってきた筍と山菜(こごみ)にあわせました。

焼いた新鮮なタケノコと椎茸の香ばしさと旨味が、この優しいながら複雑な味わいの氷見シャルドネにベストマッチでした。

試飲では、あまりピンとこなかったのですが、やはり日本のワインは、和の食材に合わせると素晴らしいマリアージュを感じさせてくれることを改めて実感しました。
その意味で、ここのランチや宿泊は、機会があればぜひ体験してみたいと思います。

<了>