ピュリニーの至宝であり、世界最高峰の白ワインの造り手であるドメーヌ・ルフレーヴのビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ2000年です。ルフレーヴの中でもル・モンラッシェに次ぐレア・アイテムです。20年の熟成を経て、エレガントさに複雑性が加わった素晴らしいビアンヴニュ・バタール・モンラッシェでした。
200年の歴史を持っているピュリニー・モンラッシェの名門ドメーヌ・ルフレーヴは、クリオ・バタール・モンラッシェ以外の4つの特級畑を所有しています。ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ(Bienvenues-Bâtard-Montrachet)は、バタールの北東の角に位置する僅か3.7haの畑。ルフレーヴは1.15haと、この特級畑最大の面積を所有していますが、非常に狭い区画の為、他のグラン・クリュに比べ相対的に低い生産量になっています。ちなみに、ドメーヌ・ルフレーヴのル・モンラッシェは、0.08haと更にレアなワインです(見たことがありません)
ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェは、バタール・モンラッシェと比べるとデリケートな香りとソフトでしなやかな味わいといわれています。
▼バタール・モンラッシェの一角のように見えました。平坦な畑です。
ドメーヌ・ルフレーヴ ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ 2000年
2000年のフランスワインの評価ほど地域差が出た年は珍しいかと思います。ボルドー赤の評価は、素晴らしいミレニアム・ヴィンテージになった一方、ブルゴーニュ赤、特にコート・ド・ボーヌ地方については、冷夏の影響で不安定なヴィンテージであったことが知られています。ただ、白については、思いがけず良い年になったようです。
ルフレーヴのグランクリュについては、バタール・モンラッシェもこのビアンヴニュ・バタール・モンラッシェも価格高騰の一途にあり、最新ヴィンテージは7万円を越えているようです。今回のワインについては、近所の酒屋で2年ほど前に見つけたもので、一応セラーに入っていたものの状態が不明ということもあり、安く購入することができました。
熟成した白で使用する大きめの白ワイン用グラスでいただきました。
濃いめのイエロー、山吹色に近い。購入前の保存状況からか、ヴィンテージの割に熟成は進んでいるように感じます。
花梨、黄桃、(甘みの弱い)アプリコットの黄色果実。ヘーゼルナッツ、マッシュルーム、バニラ、白胡椒。フィニュシュに綺麗な酸が口中に広がり、余韻は長い。
ノワゼットの熟成香は出ていますが、味わうと酸は未だ未だ健全です。
時間の経過とともに複雑さをどんどん増していきます。優しいながら奥行き感が感じられる素晴らしいグラン・クリュです。20年の熟成を経て、時間を掛けて愉しむワインだと思います。
(4.0)
▼ 合わせたのは、レモンバターソースの白身魚フライです。主張し過ぎないオイリーな風味が、この熟成白には良く合います。
▼左)アッペンツェラー、右奥)コンテ18M、右手前)ヴァリー・ルージュです。
リキュールやワインの風味を持つやや濃厚なアッペンツェラーやヴァリー・ルージュとの相性は、それほど良くは感じません。万能なコンテは無難な感じで、チーズの旨味が繊細なワインの風味を圧倒するようなことはありません、
▼ブリの照り焼き。相性は悪くはないですが、これは、やはり、日本酒が飲みたくなります。ルフレーヴのグランクリュと燗酒というのは、いかにも邪道な組み合わせかも知れませんが、家のみだからこそできる楽しみです。
なかなか飲む機会のないルフレーヴのグランクリュ白の古酒ですが、保存状態に一抹の不安があり、レストラン持ち込みではなく、家飲みにしましたが、状態は問題ありませんでした。
テロワールと造り手の力量が感じられるグラン・クリュでした。
<了>