ニュイ・サン・ジョルジュ村の南側に位置するサン=ジョルジュ地区にあり、特に力強いワインを産出することで知られる1級畑のレ・プリュリエです。ヴィンテージ違いですが、ジャン・グリヴォーの2005年とレシュノーの2009年を飲み比べました。
ニュイ・サンジョルジュは、村の中心から北側のヴォーヌ側地区と南側サン・ジョルジュ地区(Zone de Saint-Georges)、さらにその南に位置するプレモー=プリセ地区の3つの地区に分かれますが、レ・プリュリエの畑は、サン・ジョルジュ地区の標高250m~270mの斜面中腹にあります。面積は、7.24ha。真東を向いており、土壌は、茶褐色の粘土質~珪酸質土壌。ブドウが植えられる前は、プラムの木(プリュリエ)が自生していたことが名前の由来になっているようです。力強いワインを産出するニュイ・サン・ジョルジュの中でも、特に深くて、強く、寿命が長いワインを産出するといわれています。
そんな前知識を持って、ドメーヌ・ジャン・グリヴォの2005年とドメーヌ・レシュノーの2009年を飲みました。どちらも2000年代のブルゴーニュを代表する傑出したヴィンテージです。
ドメーヌ・ジャン・グリヴォ ニュイ・サン・ジョルジュ・1級・レ・プリュリエ 2005年
[2005] Domaine Jean Grivot Nuit-Saint-George 1er Cru Les Pruliers
ヴォーヌ・ロマネの名門ジャン・グリヴォ。グランクリュのリシュブールやクロ・ヴージョ、エシェゾーにレ・ボーモンやレ・ルージュといった1級畑をヴォーヌ・ロマネに所有し、さらにニュイ・サン・ジョルジュに畑を持ち、評価も高いドメーヌです。
直近で飲んだのは、2003年のヴォーヌ・ロマネのレ・ボーモンでしたが、非常にエレガントで華やかな果実味に溢れる素晴らしく印象的なワインでした。
深みのあるやや濃いめの色調のラズベリーレッド。
ベリー系果実、ダークチェリーの熟した果実香。ドライハーブ、ブラックペッパー、甘草のスパイス香。樽熟からのロースト、なめし皮、やや土っぽい香り。味わいのアタックに豊かな酸、やや収斂性を伴うタンニン。余韻はそこそこ長い。
最近飲んで当たりの多い2005年ヴィンテージと過去飲んで印象の良かったジャン・グリヴォということで、期待感を持っていましたが、このヴィンテージのブルゴーニュ赤によく見られる甘露さや妖艶な熟成アロマはあまり感じられず、やや粗いタンニンの印象が少し気になりました。とはいえ凝縮した果実味と豊富な酸から想像すると、あと数年の熟成で良くなる可能性を持つワインだと思いました。
(3.3)
ドメーヌ・レシュノー・ ニュイ・サン・ジョルジュ・1級・レ・プリュリエ 2009年
[2009] Domaine Lecheneaut Grivot Nuit-Saint-George 1er Cru Les Pruliers
ニュイ・サン・ジョルジュに本拠を置くドメーヌで、レシュノー兄弟で運営されています。フラッグシップは、グランクリュのクロ・ド・ラッシュですが、やはりニュイ・サン・ジョルジュのワインのイメージが強いドメーヌです。
個人的には、20年以上も昔、良く飲んでいました。現在とは全く異なるやや垢抜けないデザインのラベルでしたが、特にレ・ダモード(1級でなく村名のレ・ダモード)が大のお気に入りでした。
中庸だが深みのある色調のラズベリーレッド。ラズベリー、ブルーベリーのベリー香、牡丹(ゼラニウム)、薔薇の花、シナモンや甘草のスパイス香。酸は豊かでアタックか中盤に伸びやか広がる。タンニンはこなれており滑らかな印象で、甘みも感じる。ニュイ・サン・ジョルジュらしい土っぽさやスーボワ(下草)も感じるが、腐葉土的な熟成のアロマはまだ、それほど感じられない。力強さの中にエレガントさを感じるワインであるが、やや酸味が優勢であるのが唯一気になるところですが、もう少し寝かせれば落ち着くと思われます。
(3.5)
▼鶏肉とガーリック以外の野菜は、すべて自家栽培です。
南北に長く広がるニュイ・サン・ジョルジュですが、ヴォーヌ・ロマネ的な華やかさを感じるヴォーヌ・ロマネ側地区のワインに比べると、サン・ジョルジュ地区を代表するレ・プリュリエのワインは、やはり(良い意味での)アーシな香りと力強さを感じるニュイ・サン・ジョルジュらしいワインだと思います。どちらも良年らしく、印象的には、飲み頃というには少し早い印象でしたが、より若いヴィンテージのレシュノーの方が、近づきやすいワインでした。ジャン・グリヴォは、意外にもタニックな印象で、結果的にはもう数年熟成させても良かった感じです。いずれも、更なる熟成ポテンシャルを感じさせるワインだと思います。
<了>