まだ早いかなと思いつつ、グレート・ヴィンテージとの評価が高い2015年のモレ・サンドニのプルミエ・クリュを開けてみました。ドメーヌ・デュブレールのレ・ブランシャールとドメーヌ・アルローのオー・シェゾーです。
ジュヴレ・ジャンベルタンとシャンボール・ミュジニーの間に挟まれたモレ・サンドニ村。そのワインは、ジュヴレほどタニックではなく、シャンボールほどエレガンスではないと言われます。5つもののグラン・クリュの畑を抱えている割には、なんとなく地味なイメージがありますが、そのせいか、デュジャックやポンソといったドメーヌを別格とすれば、プルミエ・クリュ以下のワインに関しては、比較的入手しやすく、価格もシャンボール・ミュジニーやヴォーヌ・ロマネに比べるとリーズナブルな価格で購入できます。その代表格が、今回のアルローやユベール・リニエかと思います。
▼モレ・サンドニ村の中央。ジュヴレ・シャンベルタンやシャンボール・ミュジニーに比べるとやや地味な街並みです。ちなみに正面のドメーヌは、ルイ・レミーです。
今回、まず、ドメーヌ・デュブレールのプルミエ・クリュ、レ・ブランシャールを飲んでみましたが、意外にも開いていたことから、数日後に、同じ2015年のドメーヌ・アルローのプルミエ・クリュ、オー・シェゾーを開けてみました。
前者は、モレ・サン=ドニ村のほぼ中央部、後者は、北部のジュヴレ・シャンベルタン村に接する位置する一級畑です。
▼グラン・クリュ街道のジュヴレ・シャンベルタンの村境あたりです。「グランクリュ街道」を挟んで右側が主に1級畑、左側が主に村名畑になります。写真右手の畑は、
1級畑 のLes Mochampsと思われます。
ドメーヌ・デュブレール モレ・サンドニ 1級 レ・ブランシャール 2015年
[2015] Domaine Dublére Morey-Saints-Denis 1erCru Les Blanchards
縁にややオレンジが見られる艶のあるラズベリーレッド。スワリングするとレッグが結構長いことに気づき、ラベルを見るとアルコール度数は、14.5度!赤黒のベリー系果実香。少し土っぽさとヨード香、ドライハーブ、紅茶のニュアンス。酸は、中庸だが尖っておらず円やか。滑らかなテクスチャーをもつが、アルコールの高さからくる粘性、揮発性感とアルコールと果実味の両方から感じるようなややボリュームのある甘味。タンニンも滑らかで甘く感じる。2日目は、やや酸度を高く感じるが、腐葉土や動物的なブーケも顕れてくる。もともと早熟な造りなのか、ヴィンテージの特徴なのわからないが、終始外交的なワイン。アルコールは浮いた感じはなく、ぎりぎり許容度。ただ、気のせいか酔いのまわりが早い感じ。
(3.0)
▼ステーキ&ラタティーユと。
ドメーヌ・アルロー モレ・サンドニ 1級 オー・シェゾー 2015年
[2015] Domaine Arlaud Morey-Saints-Denis 1erCru Aux Cheseaux
こちらもレッグがやや長め。アルコール度数は14度。デュブレールより明らかに濃いガーネットがかったラズベリーレッド。ダークチェリー、ブルーベリー、ブラックベリーの黒系寄りの果実の香り。ぎっしりとした濃縮を感じる果実の香りが凄い。黒胡椒や甘草のスパイス香、樽からのロースト香、なめし皮。エレガントよりもやはりモレ・サンドニらしい土っぽさや鉄っぽさを感じる。酸のアタックは比較的柔らかで、少しアルコールを感じさせる甘みが口中に広がる。タンニンも滑らかで甘く溶け込んでいる印象。まだ早いと思ったが、香りは全開。ただし、こちらは、熟成のブーケはあまり感じられない。
(3.3)
▼焼き鳥・焼き豚と。ブルゴーニュ赤にはぴったり。
▼チーズはこちら。フランスの白カビチーズ、馬蹄形が特徴なバラカです。このチーズ、無殺菌乳ではないと思いますが、熟成とともに、結構シャープな味わいになり、無殺菌のカマンベールのように、アンモニア臭が出てきます。若い時は、白ワインや軽い赤が合いますが、熟成が進んだものは、濃い赤ワインと合うようになります。
新世界のピノ・ノワールでは、しばしばアルコール度数14度を超えるワインを目にしますが、冷涼なブルゴーニュで、14.5度というのは、あまり出会いません。それだけ、気温が高くブドウの熟度が高かったということだと思います。初めてブルゴーニュを訪れたのがこの2015年の夏ですが、比較的冷涼と想像していたブルゴーニュの夏がこんなに暑いのかと驚いた記憶があります。外交的で早くから楽しめそうですが、2003年のような少し違和感を感じる過度に甘いブル赤にはならないのを願いたいと思います。
<了>