Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ProWineで見つけたお宝ワイン

4月10日~12日に開催されたProWine Tokyoの会場にて、とあるブースで目に留まったワインです。スペイン・プリオラートの「テロワール・アル・リミット(Terroir Al Limit)」。過去、パーカ100点を獲得したこともある「Les Manyes」も試飲することができました。

このワインが展示されていたのが、Nimbility Limitedという香港に拠点を置くアジアパシフィック地域の顧客向けに飲料市場開拓を担っている、いわばワイナリーとインポータを繋ぐ役割を果たしている会社のようです。

出展の目的は、新たな市場開拓ですから、出展しているワインは、日本ですでに流通しているものではなく、取り扱っている正規インポータが不在のものが中心になります。

テロワール・アル・リミットのワインは、実は数年前まで、スペインワインの輸入で有名な和泉屋さん(東京・板橋)で扱っていました。ここから過去購入した記憶もあり、今回訪れたブースでラベルを見てピンときました。

ブースにてフラッグシップのLes Manyesを試飲させていただきましたが、グルナッシュ亜種100%からのシルキーでエレガントな味わいが非常に印象的なワインでした。

このワイン、再度味わいという気持ちから、最終日の閉会間際にブースを再訪したところ、もう店じまいということで、最後に少し残ったワインを瓶ごと頂けるということで、トスカーナの1本と共に持ち帰り自宅で再試飲しました。

ということで、以下は、自宅での再試飲について書きたいと思います。

テロワール・アル・リミットは、2001年にプリオラート地域のトロハで、有名な南アフリカのワインメーカー、サディ・ファミリーのイーベン・サディ氏と若いドイツ人ドミニク・A・フーバー氏との出会いから生まれた「ワインプロジェクト」です。
当初は重厚なボルドースタイルのワインを造りだしたものの、やがて、プリオラートのワインがどうあるべきかを考え、試行錯誤のうえ、この地のテロワールを活かしたエレガントなスタイルのワイン造りに舵を切ったようです。

D.O.Ca.プリオラートのグルナッシュやカリニャンから造られるワインは、高い評価を得て、特にトップキュヴェのレ・マニェス(Les Manyes)は、2016ヴィンテージがパーカ100点を獲得しています。

Terra de Cuques 2021

樹齢25~40年のカリニャン50%、ガルナッチャ50%から。野生酵母を使用し全房発酵。セメントタンクとイノックス(ステンレス)タンクで8ヶ月熟成。

やや淡い色調、ラズベリーレッドの外観。ラズベリーワイルドストロベリーやサワーチェリーの赤系果実の香り。フレッシュハーブ、リコリス、グローブに少し土っぽい香りも。味わいに比較的(後2者に比べ)フレッシュで高めの酸のアタック、タンニンは優しく円やか。一見ドライで軽く感じるが、酸・果実味・タンニンのバランスがとれた印象。

(3.1)

Arbossar 2001

スレート/花崗岩の土壌から樹齢90年超えのカリニャン100%。野生酵母使用、全房発酵。8ヶ月セメント熟成(昔は樽を使っていたようです)

前銘柄に比べるとグッと深みの増す濃いダークチェリーレッドの外観。
プラム、ダークチェリー、ブルーベリーの赤黒果実。セージ、ドライハーブ、ホワイトペッパー。味わいは、中程度の酸、凝縮した果実味とミネラル感にきめ細かいがしっかりとしたタンニン。なめらかな味わいで、余韻も長め。

(3.4)

Les Manyes 2021

プリオラートを囲むように位置しているモンサン山脈の西向き斜面の畑。樹齢60年のガルナッチャ100%のワインですが、このガルナッチャ、ガルナッチャペルダ(へアリー・ガルナッチャ)という亜種で、葉の裏側には細かい毛があり、灼熱の中で水分を蓄えるため、暑くて厳しい気候でも成長することができるという特徴を持っているとのこと。手摘み、全房発酵。セメントタンクで8ヶ月熟成。
テロワール・アル・リミットのフラッグシップワインで、Wine-searcherでの平均価格は3万円を超えていいるようです。この2021年ヴィンテージの評価は、Tim Atkin 99点、Robert Parker 97点です。ちなみに、2016年ヴィンテージでパーカーポイント100点を獲得しています。

前銘柄のArbossarに比べ僅かに明るいラズベリーレッドの外観。
ラズベリー、ザクロ、ダークチェリーの赤黒果実、ドライローズ、セージ、ドライハーブにリコリスやグローブの少し甘いスパイスの香りも。石からのミネラル感。味わいは、前銘柄より伸びを感じる中程度の酸、冷涼ながら凝縮感のあるフルーツときめ細かなタンニン、心地よい苦みを伴うタンニンは長い。
矛盾するようだが、骨格感と繊細さの両方を兼ね備えたエレガントなワイン。

(3.7)

テロワールを活かすために過度な抽出を避け、オークに頼らず、ミネラル感のあるエレガントで素晴らしいピュアな果実味を引き出すというこのワイナリーこだわりが感じられる印象的なワインでした。

最後に同じブースで試飲して印象的だったイタリア・トスカーナのワインについて触れたいと思います。

Bertingaというトスカーナのガイオーレ・イン・キャンティにあるワイナリーです。本来、キャンティ・クラシコD.O.C.Gを名乗れる地区ですが、何故か敢えてトスカーナIGP(地理的表示保護)を名乗っています。

Bertinga Punta di ADINE Toscana IGP 2017

ガイオーレ・イン・キャンティの標高550mの南向きの急斜面の畑から。サンジョベーゼ100%。2400Lのオーストリア産オークで18ヶ月熟成。

艶、深みのあるダークチェリーレッドの外観。
カシス、ブラックベリー、ダークチェリー、プルーンのコンポート、牡丹の花、セージ、ローズマリーのハーブとメントールやバルサミコの香りに、コーヒー、レザー、タバコのブーケが加わる非常に複雑な香り。アタックに感じられるサンジョベーゼらしい豊かな酸、ミッドパレットの熟度の高い果実からの甘みとアルコールのボリューム、滑らかながら力強いタンニンがこのワインの味わいの骨格をつくっている印象で、余韻も長い。

(3.6)

トスカーナIGPという分類に惑わされますが、下手なキャンティ・クラシコリゼルバ・セレジオーネをも上回るようなインパクトのある凄いサンジョベーゼワインです。
日本未発売ですが、海外の価格を調べると1万2千円(wine-searcher)とのことで、納得です。

今回ProWineにて、プリオラートのテロワール・アル・リミット、トスカーナのベルティンガの素晴らしいワインを味わせていただいたNimbility Limitedさんに深く感謝をするとともに、日本でのインポータが見つかり、日本市場で手に入ることを期待したいと思います。

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