Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

フラヴィニー・シュル・オズランの白ワイン

ブルゴーニュ地方に位置し、フランスで最も美しい村の1つにも選ばれているフラヴィニー・シュル・オズランの珍しい白ワインです。昨年秋にこの地を訪れた際にワイナリーで購入したワインです。

フラヴィニー・シュル・オズラン(Flavigny-sur-Ozerain)は、ボーヌから車で1時間ほどの距離にある中世の雰囲気が漂う人口273人(2021年)ほどの小さな村です。この村は、昨年9月にボーヌからパリの空港に向かう帰路の途中に立ち寄り宿泊しました。

ここは、2001年に公開された映画「ショコラ」の舞台になった村としても知られていますが、何よりも、フランス各地で見られるアニスキャンディの生産地として有名です。

アニスキャンディの工場は、修道院の跡地にありますが、ここを訪れた際に売店で販売されていたフラヴィニー・シュル・オズラン産のワイン(写真中央左)が気になっていました。

Domaine de Flavigny Alésiaというワイナリーで、おそらくフラヴィニー・シュル・オズランで唯一のワイナリーかと思います。
Flavigny Alésiaは、丘の上にある街中ではなく、麓にありました。ワイナリーは、フラヴィニー修道院に属する 13 世紀の旧修道院の建物で、設立は1994年、畑の面積は14haとのことですが、この地域は、フィロキセラ前からブドウ畑が存在し、更に13世紀にはブドウ栽培の地であった記録があるようで、この地のブドウ畑再生の意味を込めてワイナリーが設立されたと思われます。

ワイナリーの裏手にブドウ畑が広がっています。HPによると、海抜250~350mの幅200mの丘の中腹に水平に広がっている畑で、土壌は粘土石灰岩ジュラ紀石灰岩とのこと。

さて、ワイナリーで購入した今回のフラヴィニー・シュル・オズランのワイン、Flavigny Alésia Petit Flavigny 2021年です。
この白ワイン、シャルドネ、アリゴテとオーセロワ(Auxerrois)というブレンドです。
ブルゴーニュ北部にオーセロワという地方がありますが、こちらはブドウ品種です。
また、マルベックのシノニムとしてオーセロワという品種名が使われていますが、そちらは黒ブドウ品種です(非常に紛らわしい!)
白ブドウのオーセロワは、中世から存在しているフランス原産のブルグンダー系品種の一つで、フランスでは、主にアルザス・ロレーヌ地方で栽培されており、ブルゴーニュでは初めて目にしました。熟度があがると、酸が落ちるため、単体では使用されることは少なく、主にブレンド用の品種になっています。ネットで探してみたところ、2021年はアルザスでも冷涼な気候で酸度が保たれたことから、数少ないながらオーセロワ単体からのワインも生産したワイナリーもあるようです。 

外観は、輝きのある僅かにグリーンがかったクリームイエロー。爽やかな柑橘系果実、青リンゴ、レモンバームスイカズラ等の白い花のノート。
味わいのアタックは、まず溌溂とした酸を感じ、そして厚みは感じないがも、クリーミーで柔らかな果実味が広がり、余韻にかけて酸と僅かな苦みが味を引き締めている印象。

(3.0)

高めの酸の骨格は主にアリゴテから、シャルドネはミネラル感、ブレンド種のオーセロワは香り付けに使用されていると思われます。主張が強くない分、繊細な和食にも合わせられそうなワインだと思います。

ここのピノノワールを試したかったのですが、ワイナリーでは、訪問当日は販売されていませんでした。ピノ・ブーロ(ピノ・グリ)やセザールといったブルゴーニュではレアな品種からのワインも造られているようです。
いずれも日本には輸入されていないようですが、フランスで見つける機会があれば、是非またトライしてみたいと思います。