スペインの土着品種で、主にカスティーリャ・レオン州のDOビエルソで栽培されているメンシアのワイン２種です。の2018年の「ルナ・ベベリデ」と「ベロニカ・オルテガ」の ロック（ROC）2014年ヴィンテージです。
メンシアという品種を知ったきっかけとなったのが、ラウル・ぺレス の「ウルトレイア・サン・ジャック」というワインです。スペインの赤と言えば、テンプラニーリョ、ガルナッチャ、ボバル、モナストレルといったどちらかというと濃厚なガッツン系ワインの品種をイメージしますが、その中でも異例なのがこのメンシアという品種かと思います。メンシアから造られるワインの酒質はピノ・ノワールを思わせるエレガントさを持ち合わせており、ピノ好きにとっては、気にかけているワインです。
今回は、1K円ちょっとで購入できるルナ・べべリデのメンシア格安ワインと、注目の女性醸造家ベロニカ・オルテガの造るやや高級な部類に入る？ROCというワインを飲み比べました。
ルナ・ベベリデ メンシア18 ビエルソD.O.
[2018] Luna Beberide Mencía ,Bierzo D.O.
1987年に設立された家族経営のワイナリーですが、カスティーリャ・レオン州のビエソルを中心に70haの畑を所有しています。
標高725～775ｍｍに位置する、石灰質粘土の畑から。
黒みがかった濃いルビーカラー。僅かにベリーや熟したプルーンの果実を感じますが、果実香は意外に控えめで、どちらかと言えばスミレや牡丹、ゼラニウム等のフローラルな香り。なめし皮、スパイス。酸は弱く、やや収斂性を伴うタンニン。2日目は、少し甘味が顕れるが、ややジャミーな印象となり、ピノノワールというよりガメイに近い印象。余韻は少し短め。
（2.9）
ベロニカ・オルテガ ロック メンシア 2014年
[2014] Veronica Ortega ROC Mensia
アンダルシア出身の女性醸造家ベロニカ・オルテガによるメンシア100％のワインです。ニュージーランドを皮切りにブルゴーニュでパンジャマン・ルル―と共にDRC等で研鑽を積んだ後、スペインに戻り、前述の天才醸造家ラウル・ぺレスとの出会いが、メンシアに興味をもった契機になったようです。ROCとは、ワインの完成1年前に亡くなったベロニカの兄、Rafael Ortega Camachoの頭文字をとっているとのこと。
バルトゥイエ・デ・アバホ村にある片岩質の畑の樹齢80年のブドウから。
価格は、5K円弱です。
濃い紫蘇色がかった深みのあるガーネット。
抜栓直後は、ルナ・ベベルデ同様、果実香は控えめで、どちらかと言えば紫系のフローラルな香りが支配的ですが、徐々にブラックベリーやカシスの黒系果実の香りも。黒胡椒やアジアンスパイス、なめし皮やマッシュルーム、リコリス等の複雑な香りも顕れてくる。さらに時間とともに下草や腐葉土の香も。酸はやはり弱めですが、こちらはジャミーっぽさは感じられず、時間が経つと甘味も出てきて美味しい。タンニンは柔らかいながらもしっかりと感じられます。余韻は中程度。
（3.3）
▼左がルナ・ベベリデ。右がROC。ROCの方が圧倒的に深みのある色合い。
▼チキンの塩麴焼きと。
フローラルでエレガントという性格がメンシアのワインの特徴とも言えと思いますが、比較的しっかりとしたタンニンに対して、弱めの酸が、好き嫌いを分けるような気がします。ただし、結構テロワールにより結構味わいが変わってくる品種のようです。過去に飲んだラウル・ペレスは、酸もしっかりと感じられるワインでした。
ルナ・ベベルデのスタンダードワインは、ラベルに堂々と描かれているように、ParkerPointが91点と高評価のようですが、個人的には、正直、価格相応かな？という印象です。
ベロニカ・オルテガのROCは、エレガントながら、香や味わいの複雑さが気に入りました。
久しぶりにラウル・ぺレスのメンシアを飲んでみたくなりました。
＜了＞
