ジュヴレ・シャンベルタンの名門ドメーヌであるジョセフ・ロティ(Joseph Roty)のグリオット・シャンベルタン 2008年です。まさにグリオット(さくらんぼ)の名前どおりの香りと味わいでした。
グリオット・ジャンベルタン(Griotte-Chambertin)は、ジュヴレ・シャンベルタン村の9つのグラン・クリュの中では、面積最小の畑です。所有しているのは9人ですが、最も有名なのはクロード・デュガでしょうか?他にポンソ、フーリエなどを目にしますが、いずれもその希少性も手伝い、非常に高価です。
ジョセフ・ロティが所有するジュヴレ・シャンベルタンのグラン・クリュでは、シャルム・シャンベルタンの方が有名で、評論家の評価も常にグリオットは、シャルムの後塵を排しており、なかなか食指が動きません。
ロティのシャルムは、何回か飲んでいますが、特に1995年ヴィンテージは、非常に印象に残っています。シャルムは、ジュヴレ・シャンベルタンのグランクリュの中では、女性的とも言われますが、ロティのシャルムについては、常に力強く、長熟なワインという印象を持っています。
2008年ヴィンテージですが、ブルゴーニュのこのヴィンテージについての印象は正直あまり良くはなく、多くのワインで酸が過多という経験をしています。意識的に避けてしまう傾向にあります。ということもあり、正直このワインをどこで、いつ買ったのか覚えていません。おそらく何らかのセットワインの中に入っていたものと思われます。現状の市販価格は4万円前後ですが、購入時は、2万円台だったと思います。
今回は、静岡県伊東市のホテルハーヴェスト伊東の炭火会席レストラン「竹のうち」に持ち込ませてもらいました。
若干滓がみられるため、デキャンタをお願いしました。
色調は明るいラズベリーレッド。香りは、まさにアメリカン(ビング)チェリーです。但しダークな感じではなく、甘い香りのチェリーにフランボワーズ的(化学的にはピノ・ノワールにイチゴの香りは含まれません)な果実にシナモン、リコリスの甘苦スパイスの香り。味わいに、2008年ヴィンテージにありがちな過剰な酸はそれほど感じません。タンニンは完全に溶け込んでおり非常にスムーズでやさしい味わいです。土っぽさや腐葉土的な熟成香はそれほど感じませんが、複雑性も兼ね備えながら、非常にチャーミングなワインだと思います。
(4.0)
メイン魚料理は富士鱒の炭火焼き。炭火焼きの香ばしさとカレーソースのスパイシーさが絶妙にマッチしています。
メインの肉料理は、静岡牛のサーロインです。蕩けるような感じではなく、やや弾力を感じる味わいですが、ソースの妙もありこのジュヴレとの相性は素晴らしいです。
サービス頂いたソムリエの田中さんは、ロブションやオークラを経て来られた方のようで、ここでのワインの充実化に力を入れたいようでした。最近、時々利用させてもらうお店なので、白のグラスワインの充実をお願いしておきました。
2008年のブルゴーニュには若干偏見をもっていましたが、このチャーミングでまさにグリオット(チェリー)を感じさせるこの香り豊かなワインは、非常に魅力的ななものでした。
<了>
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