Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

アメリカのナチュラルチーズ

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アメリカは、世界の3分の1のチーズ生産量を誇る世界一のチーズ大国ですが、日本ではナチュラルチーズとして販売されているアメリカ産チーズをあまり見かけません。その中で最近人気が高いのが、見た目も楽しめるコルビー・ジャックチーズです。このチーズを中心にアメリカのナチュラルチーズについて触れてみたいと思います。

 日本のチーズ輸入国の中でアメリカは、オーストラリア、ニュージーランドに次いで3番目です。しかし、チーズ売り場で見かけるナチュラルチーズの殆どが、イタリア、フランス、デンマーク、オランダ、イギリスといったヨーロッパのチーズです。その理由は、ほとんどがハンバーガーとかピザ等に使われる業務用またはプロセスチーズの原料とし使用されるためです。プロセスチーズの原材料表記中には、「ナチュラルチーズ」と記されていますが、輸入国の表示義務はありません。

アメリカ産のチーズは、フレッシュタイプから白カビタイプのソフトチーズ、ブルー、セミハード、ハードなど400種類にも及びます。日本のショップで比較的見かけるのは、大きなブロック状の(料理用)クリームチーズや真空包装されたセミハードチーズだと思います。

その中で最近日本で人気があるのが、2大産地のウィスコン州生まれのコルビーとカルフォルニアモントレー生まれのモントレー・ジャックを加熱・混合・圧搾したコルビー・ジャックチーズではないでしょうか?モントレー・ジャックのアイボリー・ホワイト色とコルビーのオレンジ色(チェダーチーズと同じアトナー色素によるものです)が混ざり合ったマーブル調の模様は、目も楽しませてくれます。

これらのチーズを含めアメリカ産チーズは工場で大規模生産されるものが殆どですが、ごくわずかですが、職人が手作りするチーズも作られています。アルチザン(Artisan)チーズと呼ばれるものです。アルチザン・チーズについては、後ほど触れるとして、まずは、コルビー・ジャックです。スーパでも200g程度のパックされたものを見かけることもありますが、日本でこのチーズを有名にしたのは、「コストコ」とも言えるかも知れません。コストコでは、907gと大きなコルビー・ジャックを688円(写真のマイルドタイプは、100円高)という驚くほどの低価格で販売しています。

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コストコのコルビー・ジャック(マイルドタイプ)

日本のチーズへの関税率は、29.8%(商品コストに輸送コスト等と加えたものへの課税率)にもなりますので、それを考えるとかなり驚異的な価格設定だと思います。ちなみに下の写真のコルビー・ジャックは、ハワイのスーパで購入したものですが、8OZ.(227g)で2ドル台だったと思います。8OZ.か16OZ.くらいブロックかスライスされたものを良く見かけます。

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コルビー・ジャックの風味ですが、チェダーチーズに似ています。チェダリングという製法で作られるチェダーチーズとは違いますが、風味は比較的似ています。上記のコストコの商品はマイルドタイプですが、塩味はそれなりにしっかりしており濃厚です。わずかな酸味と甘みがアクセントになっています。2つの異なるチーズのブレンドが、複雑味を出しているのかもしれません。

合わせるお酒ですが、白が定番と思いますが、濃厚な味わいなので、赤、但し軽口か中口のものも相性が良いと思います。右は、コストコで同時に購入したムートン・カデです。ボルドーのカジュアルワインですが、それほど重口ではないので十分に合わせられます。日本酒もOKですが、繊細な吟醸タイプはチーズの濃厚さに負けてしまうかもしれません。純米の濃厚タイプが良いと思います。写真の阿部勘は純米大吟醸ですが、無濾過原酒なので比較的力強く、この手の濃厚チーズでも大丈夫でした。ワインでも日本酒でも比較的合わせられる幅は広いチーズだと思います。

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次に、コルビー・ジャックのような工場製アメリカンチーズの対極にあるアルチザン(職人手作り)チーズを紹介したいと思います。

これは、「ローグリバー・ブルー」というオレゴン州産のアルチザンチーズです。

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 このチーズは、季節限定で冬季のみリリースされます。毎年、何回か新宿伊勢丹のヒサダさんで購入していますが、昨年冬は入荷タイミングと合わず1回しか入手できませんでした。

写真では青かびは見られませんが、れっきとしたブルーチーズです。周りがブドウの葉で覆われており、カードを洋ナシのブランデーに漬け込んで熟成させているようで、芳醇なブラ.ンデーの香りをダイレクトに感じることができる濃厚なチーズです。

同じように、お酒に漬け込んでいるチーズとして、イタリアのオッチェッリ アル・バローロバローロの搾りかすに漬けています)が有名ですが、これも好みのチーズです。ローグリバーのネックは、冬季しか食べられないことと非常に高価である点です。

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100gあたり1723円と高級和牛並みです!(笑)

アメリカのアルチザンチーズには、これ以外にも特徴的なものがあります。例えば、このチーズ。ベラヴィターノ エスプレッソというウィスコンシン州産のアルチザンチーズです。コーヒーが周りにまぶされており、カード自体にもコーヒの風味が滲み込んでいます。ちなみに、このチーズの価格は、100gあたり1,973円!です。このチーズに関しては、ヒサダさんの店頭試食のみで、購入したことはありません。

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アメリカンのアルチザンチーズにはこのように特徴のあるものがみられますが、レアさも手伝い、比較的高価なのが難点です。人件費の関係もあるのでしょうか?

以上、コストパフォーマンスが素晴らしいコルビージャックとその対極にある、高級チーズをご紹介しましたが、もう少し安いアメリカン・アルチザンチーズが見つかればありがたいのですが....

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