以前飲んだ2009年が好印象でリピート買したアラン・ビュルゲのジュヴレ・シャンベルタン・メ・ファヴォリットV.V.です。2010年が、同時に販売されていたため、合わせて購入し、飲み比べてみました。
知名度が高いとは言えないアラン・ビュルゲですが、ロバート・パーカーから「もしグラン・クリュを持っていたら5つ星だ」と評されており、実力は折り紙付きのジュヴレ・シャンベルタンの造り手です。最近になって、シャンベルタン・クロ・ド・べーズを手に入れたようですが、この造り手を代表する銘柄が、このジュヴレ・シャンベルタン・メ・ファヴォリットV.V.という村名ワインのようです。
2009年ヴィンテージのこのワインは、5か月ほど前に飲んでいますが、非常に印象的なジュヴレ・シャンベルタンでした(→こちら)
購入したショップに在庫があったため、再度リピート買いするとともに、2010年も在ったので同時に購入しました。2009年の方が僅かに高かったですが、11K円前後でした。ちなみにどちらも並行ものです。最近のヴィテージの正規もので7K円台ですが、まあ、最近はなかなか手に入らないヴィンテージなので妥当な価格かもしれません。
村名ながら、同じ銘柄の2009年と2010年という2つの良年を飲み比べる機会はなかなか多くないので興味があります。
アラン・ビュルゲ ジュヴレ・シャンベルタン メ ファヴォリットV.V. 2009年/2010年
[2009/2010] Domaine Alain Buruet Gevery-Chambertin Mes Favorites V.V
「メ・ファヴォリット」とは、私のお気に入りという意味で、氏のお気に入りの畑にある18もの区画で栽培される樹齢70年以上の古樹がブレンドされたキュヴェです。
まず、色調です。どちらもガーネットがかったルビーですが、明らかに2009年の方が濃いめです。同じ程度の量ですが、2009年がグラスの底が殆ど見えない深みのある色調に対して、2010年は明らかに明るい色調で、縁にかけてオレンジのグラデーションも見えます。
2009年から。
抜栓直後から、ブルーベリー、ブラックベリー、ダークチェリー等のやや黒系の果実香や、牡丹の赤紫の花の華やかな香り。ドライハーブ、ナツメヤシ、甘草、ヨードっぽいミネラル感、シナモン、コーヒーやロースト香。時間が経つと、腐葉土香も。アタックに豊かな酸と少し甘味を感じる。タンニンは滑らかで、ジュヴレらしい鉄っぽさも。前回も感じたとおり、凝縮した果実味と適度な熟成感を感じさせる魅力的なブルゴーニュです。
(3.6)
続けて、2010年です。
2009年よりやや赤系果実の香りが出ている、スミレや薔薇等の赤い花、比較的若い印象。味わいは、酸がやや強く感じられ、甘みは2009年に比べると控えめ。どちらかと言えば冷涼で、スパイシーな印象。果実の凝縮味はやや劣り、その分ややオーク香が目立つ。時間が経つと徐々に柔らかくなっていくが、最後まで2009年のような外向的な印象には至らず。
(3.2)
挽肉と豆のトマト煮と牛肉と野菜の炒め物。適度に熟成したブルゴーニュ赤ワインによく合います。
チーズは、フランスのバスク地方を代表する羊乳チーズ、オッソー・イラティとスイスのグリュイエール・エテ。前者は、ミルキーな優しい風味、後者は比較的濃厚な旨味と異なる個性が楽しめます。どちらも中重口の赤ワインと合います。
1年違いで、いずれもグッドヴィンテージなので、それほど差は無いと予想していましたが、意外にも色調、香り、味わい、いずれもはっきりとして違いが感じられました。2009年は、天候に恵まれた年でもあり、凝縮した果実味が感じられる芳醇なワインが多く、2010年は、気象条件では2009年には劣り、収量が抑えられたものの、生産されたワインはバランスに優れ、総じて質が高いと評価されています。ちなみにワインアドヴォケート誌のコート・ド・ニュイ赤のヴィンテージ評価は、2009年が95pt、2010年が96ptです。
アラン・ビュルゲの2010年のこのワインは、スパイスと果実感のバランスが取れたクラシカルなブル赤という印象で悪くはないのですが、やはり前回飲んだ印象とおり、2009年のこのワインはジュヴレ・シャンベルタンの村名ワインとしては突出していると改めて感じました。
<了>