Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ヴォルネィ1erCru飲み頃&古酒

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ヴォルネイの名門ブス・ドールのヴォルネイ1級モノポール「クロ・デ・ソワサント・ウーヴレ」飲み頃2005年とメゾン・ロッシュ・ド・ベレーヌのヴォルネイ1級「レ・シャンパン」古酒1990年です。先日グラン・クリュを飲んだ二コラ・ポテル氏絡みのドメーヌ&ネゴシアンになります。

先日飲んだ二コラ・ポテル氏のネゴシアンもののジュヴレ・シャンベルタンのグラン・クリュについて、以下に書きましたが、ちょっと早かったのか、やや期待外れに終わってしまった感があります。
https://www.wine-and-cheese.net/entry/2019/12/09/232553

リベンジを兼ねて、ポテル家絡みのドメーヌである、ラ・プス・ドールのヴォルネイ1級と二コラ・ポテル氏が興したドメーヌ、メゾン・ロッシュ・ド・ベレーヌのヴォルネイ1級を開けてみました。二コラ・ポテル氏のネゴシアンについては、上記の記事で書きましたが、ラ・プス・ドールは、その昔、ブルゴーニュ公とフランス王家が所有していた由緒あるドメーヌで、二コラ・ポテル氏の父ジェラール・ポテルが醸造長として名声を高めました。1997年にジェラール・ポテル氏急死に伴い二コラは、株式を売却し、これを現オーナであるパトリック・ランダンジェ氏が購入しています。同氏は、その後、コルトンに畑を広げ、更に2008年にドメーヌ・モワンヌ・ユドロが所有していたレ・ザムールを筆頭とするシャンボール・ミュジニーの畑、さらにボンヌ・マールまで入手しています。従って、今回の2005年ヴィンテージには二コラ・ポテルは実質絡んでいません。
一方、2008年に二コラ・ポテルが興したメゾン・ロッシュ・ド・ベレーヌは、基本は、信頼できるから生産者からブドウを購入して醸造するネゴシアンですが、それに加えて、熟成古酒を他の造り手からワインで購入し、「コレクション・ベレーヌ」の名前でリリースしています。ワインは自ら試飲して、納得したものを買い付けているようです。

▼左から二コラ・ポテル、ドメーヌ・ラ・プス・ドール、メゾン・ロッシュ・ド・ベレーヌ、ドメーヌ・ド・ベレーヌ

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ヴォルネイのワインについて

ボーヌの南に位置するヴォルネイ村は、北をポマール村、南をムルソー村に隣接しています。よく隣接するポマールのワインと比較されます。力強く男性的なポマールのワインに対して、ヴォルネイのワインは柔らかく、繊細で女性的と評されるのが一般的な評価です。

プス・ドール以外にヴォルネイに本拠を置くドメーヌとしては、何といっても、下の「ミシェル・ラファルジュ」と「マルキ・ダンジェルヴィル」ですが、ミシェル・ラファルジュのワインは、物凄く長熟タイプ(ヴァン・ド・ガルド)です。

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造り手の特徴もありますが、女性的というのがあてはまるのは、下の地図の南東部(右が北です)にあたる区画、すなわち今回の1級畑のカイユレ(11.64ha)とシャンパン(9.81ha)が含まれる区画になります。より標高が高い東部ほど石灰質分が多い土壌で、骨格のしっかりとした力強い長熟のワインが産まれるようです。上記のミシェル・ラファルジュのクロ・デ・シェナスなどは、その代表格です。

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プス・ドールのクロ・デ・ソワサント・ウーヴレ(Clos des 60 Ouvrées)は、カイユレの中の斜面上部に位置する小区画でプス・ドールの単独畑(モノポール)です。ちなみにウーヴレ(ouvrées)というのは昔の面積を測る単位で、ブドウ栽培者が1日で耕せる畑の面積を指しており、4.28アール(428m²)になります。すなわち60ウーヴレは、1日で60日分の労働力という意味のようです。

ラ・プス・ドール ヴォルネイ 1級クロ・デ・ソワサント・ウーヴレ
/La Pousse d’Or  Volnay 1erCru Clos des 60 Ouvrées

カイユレの中でも斜面上部に位置する60ウーヴレは、石灰混じりの泥灰土に一部、石灰粘土質が混ざった土壌です。斜面上部で表土が浅く、地層まで根が届きやすいことから、非常にデリケートでエレガントなピノ・ノワールを実らせると言われています。
ヴィンテージは、良年の2005年。最近になって飲み頃を迎え、非常に美味しいブルゴーニュにしばしば出会います。

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以下、テースティングコメントです。

縁に僅かにレンガ色が混じる艶のあるラズベリーレッド。2005年らしい熟度の高いラズベリーアメリカンチェリーにブルーベリーの赤青系果実の香り、薔薇の花、甘酸を感じさせるシナモンや甘草等のスパイス等、非常に魅力的な華やか香りが、抜栓直後から感じられる。口に含むと、味わいのアタックにやや強めの酸。凝縮した果実味が口中に広がる。タンニンに収斂性はないが、ややスパイシーで力強さを感じる。アフターには、酸と共に僅かに苦みが感じられる。1時間ほど経って、下草や腐葉土の香り。
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2005年の特徴を具現化した果実味溢れ、艶のある色調、香り豊かながらも骨格を感じさせるワインです。欲を言えば、酸がもう少し抑えられ、甘露さが現れれば、更に素晴らしいワインになると思われます。 

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メゾン・ロッシュ・ド・ラ・ベレーヌ(ベレーヌ・コレクション)ヴォルネイ1級レ・シャンパン1990年/Maison Roche de la Bellene Volnay 1erCru Les Champans

ブルゴーニュにとって素晴らしいビンテージですが、流石にドメーヌものは、もはや出回っていません。このワインは、最近ベレーヌ・コレクションとしてリリースされたものです。もちろん畑の所有者は不明ですが、1万円で購入できました。美味しければめっけモノです。ちなみにシャンパンという名前は、あの発泡酒シャンパンではなく、「畑が斜めになっている」という意味のようです。

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全体的にレンガがかったやや淡いラズベリーレッド。ラズベリーアメリカンチェリーの赤系果実。ドライハーブ、ポプリ、土、下草の香り。複雑性はあまり感じませんが、時間の経過ともに、少し古酒特有の少し妖艶な香りが出てきます。

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 過大な期待は禁物ですが、これはこれで悪くはありません。とにかく状態の良さを感じさせるワインで、長い間、良い環境で熟成されたものと想像できます。

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インターネットで探すと、コレクション・ベレーヌのワインは、1970年代後半を含め、色々な古酒が見つかります。手頃な価格なものが見つかれば、リピートしてみたいと思いますが、基本的に樽買いのクルティエ・セレクションなので、ばらつきは覚悟です。

ポテル関連のワインとして、プス・ドールや二コラ・ポテル、コレクション・ベレーヌを飲んできましたが、二コラ・ポテルの本当の実力が発揮されているのは、2008年に立ち上げた(買いブドウの)メゾン・ロッシュ・ド・ベレーヌとドメーヌ・ド・ベレーヌかと思います。特にドメーヌ・ド・ベレーヌは、裾ものしか飲んでいませんが、2012年のレジョナルのブルゴーニュは、なかなか素晴らしいものでした。その後、1級も購入しているので、そのうち開けてみたいと思います。

<了>

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