2月に飲んだワインいろいろ。久しぶりに飲んだトラピチェのイスカイ1997年。ストックした最後の1本でしたが、ここまで素晴らしく熟成したニューワールドのワインは、なかなか経験できないものでした。
ドミニク・ローラン ブルゴーニュ キュヴェ・ヌメロ・アン 2015年
Dominique Laurent Bourgogne Cuvée Numero 1 2015
マルサネ村の選別したブドウを中心に、コート・ド・ニュイのブドウを混醸したドミニク・ローランのスペシャル・キュベです。決して軽くはなく、どちらかと言えば比較的しっかりとした酒躯を持ちながら、3Kを切る価格で、ここ数年ほぼ毎年購入しています。良年の2015年ということで、2本購入しました。
やや黒みを帯びるラズベリーレッド。ラズベリー、ドライハーブ、甘草、黒胡椒、バニラ、ロースト香。やや酸味を感じるアタック。暑い年の2015年の甘露さを期待しましたが意外にスパイシーで酸を感じるブル赤でした。抜栓後は、少し硬くも感じましたが、時間を掛ければ香りが開いてきます。果実味豊かですが、例年に比べると、心持ち、酸とオークの強さが感じられます。
(3.0)
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マルス穂坂ワイナリー 甲州オランジュ・グリ 信濃屋セレクション 2018年
最近しばしば見かける甲州のオレンジワインです。名前のとおり、信濃屋向けのスペシャルキュベのようです。
淡い黄金色。オレンジ色と言われればそうかもしれませんが、黄色っぽさを残しています。
リンゴ、梨(洋ナシでなく、和梨)、オレンジピール、バニラ香、僅かにオイリーさもあり、リースリングっぽさも感じるが、酸は決定的に弱い。苦みもすくなく、穏やかで甲州らしい優しいオレンジワインです。当然和食との相性は抜群だと思います。
敢えてチーズと合わせてみます。
コンテ(18M、黄色い方)、ボーフォール、そして、ルブローション・デ・サヴォアです。コンテ18ヶ月とボーフォールは、濃厚なハードチーズで、穏やかな甲州はやや負けてしまいます。ルブローションは、やや癖のある納屋の香りがありますが、中身は柔らかく、穏やかな風味で、甲州ワインにも良く合います。
(3.0)
トラピチェ・イスカイ 1997年
Trapiche ISCAY 1997
アルゼンチンの名門ワイナリーであるトラピチェ社のスペシャルキュベですが、知名度は高くないと思います。
「イスカイ」は、インカ帝国の公用語だったケチュア語で‘2’を意味します。ワイン礼賛をもたらしたヨーロッパと母なる大地を尊んだインカの2つの文明への尊敬、マルベックとカベルネ・フランの2つのブドウ品種の出会い、そしてこのユニークなワインを生み出したトラピチェの醸造責任者ダニエル・ピと栽培責任者マルセロ・ベルモンテの2人の連帯の象徴として命名されました(輸入元HPより)
上記にはマルベックとカベルネ・フランとありますが、1997年・1998年のイスカイは、メルローとマルベックの混醸です。かつ、ラベルには、ボルドーの有名コンサルタントで、メルローの名手であるミシェル・ロラン氏とアルゼンチンを代表する名醸造家アンヘル・メンドーサの名前があり、どうも上記の説明とは異なります。2種類の「イスカイ」があるのか、途中で変わったのかは分かりません。
3年ほど前に近所の酒屋にあった1997年と1998年を合わせて10本購入しましたが、今回のボトルが最後の1本です。
購入時、セラーではなく、酒屋の地下室に保管されており、若干不安があったのですが、コルクが柔らかく脆くなっており、毎回慎重に開栓していました。今回も古酒用のコルクを挟み込むタイプのオープナーを使用して苦労して抜栓しました。
レンガ色の混ざる濃いガーネット。熟した黒系果実のアロマ、ゼラニウム、バニラ、なめし皮、タバコの熟成香。酸はやや強いものの果実味もそこそこに感じます。少しビターなタンニンは完全に溶け込んで滑らか。
購入前の保存状態に加えて、細長い変形瓶のため、セラーに入れにくく、廊下で通年保存しており、決してよい保存環境でなかった為、あまり期待していませんでしたが、未だ充分に美味しく飲めます。但し、大量の滓は少し厄介です。2日目は、若干酸化のニュアンスが感じられました。10本中最後の1本でしたが、保存状態から今回が限界だったかもしれません。
通常6Kを超えるこの地域としてはやや高価ながら、熟成させると結構面白いワインでした。
(3.5)
ファミーリャ・カステラーニ サンジョヴェーゼ・トスカーナ I.G.T. 2016年
Famiglia Castellani Sangiovese Toscana I.G.T 2016
イタリア・トスカーナ地方の名門ワイナリー「カステラーニ」のサンジョヴェーゼのスタンダードラインです。ラベルに魅かれて購入しましたが、地元トスカーナ出身の画家(コレサーノ氏)による特別ラベルだったようです。
ダークチェリーレッドの色調。ブラックベリー、カシス、完熟プラムの黒系果実の香り。コーヒー、バニラ、ロースト香が結構強い。サンジョヴェーゼらしい強めの酸。やや苦手な品種とオークの強さです。
(2.9)
ひと月ほど前にバルバレスコと合わせた、ピエモンテ州のベッピーノ・オッチェリの「クルティン」です。チーズ自体濃厚なうえ、黒トリュフが入っており、この手のコクのある赤ワインには良く合います。
ダヴィド・デュバン ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ・ルイ・オーギュスト 2017年
David Duband Bourgogne Hautes Cotes de Nuits Louis Auguste 2017
ブルゴーニュの標高400メートルのオート・ コート地区のシェヴァンヌに本拠を置くドメーヌです。すなわち、ドメーヌお膝元のキュベということになります。
やや淡く、紫の入ったラズベリーレッド。抜栓直後は、香りは控えめ。徐々にラズベリー、アメリカンチェリーの赤系果実、薔薇やスミレ、ドライハーブ、甘草の香り。思ったほど果実味のインパクトは強くなくスパイシー感も。アフターにやや苦み。ヴィンテージを考えると、もう少し開いているかと思いましたが、やや期待外れの感はあります。
(2.8)
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ブルエット クレマン・ド・ボルドー ブリュット
Brouette Crémant de Bordeaux Brut
セミヨン100%のボルドーのクレマン。
ブルエット社は、元々、シャンパーニュ出身の系譜を持つブルエット家が移住先のボルドーで創設した小規模な生産者のようです。
メモが残っていませんが、1000円台の低価格クレマンとしては、悪くなかったと記憶しています。もちろん複雑性はありませんが、セミヨンの甘さは抑えられ、どちらかと言えばドライでシャープながらも果実味豊かな印象のスパークリングワインでした。
これは、リピートもありかもしれません。
(3.0)
エスカルゴ。本来は、ブルゴーニュのシャルドネでしょうが、このクレマンとの相性もまずますです。
最後は、昨年訪れたエペルネ近くのアイ村のRM、マーク・エブラールで購入したシャンパンです。
マーク・エブラール リヴ・ゴーシュ リヴ・ドロワット グラン・クリュ エクストラ・ブリュット 2011年
Marc Herbart Rive-Gauche-Rive-Droite Grand Cru xtra Brut 2011
アイ(Ay)特級畑のピノ・ノワール50%とアヴィズ(Avize) シュイイ(Chouilly) 特級畑のシャルドネ50%の混醸です。ドサージュは4.5g/lとExtra Brutになります。
https://www.wine-and-cheese.net/entry/2019/09/18/005840
上記の記事に書きましたが、メゾンで唯一、マロラクティック発酵後に氷点下に冷却して酒石を取り除くPassage au froidと呼ばれる工程を経ていないキュベのとのこと。
クリームイエロー。細かい泡。ドサージュの少なさの割には甘みを感じます。青リンゴや柑橘の溌溂とした酸に蜂蜜の甘さ、瓶内二次発酵におるブリオッシュ、トースト香。メゾンで飲んだ印象とおり、複雑さもありながら、酸と果実味主体の印象です。
(3.2)
魚介類はもちろん、揚げ物にも良く合います。
<了>