シャブリで最大のグランクリュ畑を所有する名門ドメーヌで、「最もピュアで最もエレガントな白ワインを造る生産者の1つ」と称されるウィリアム・フェーブルのグラン・クリュ、ブーグロです。
1850年に設立されたドメーヌ・ウィリアム・フェーブルは、積極的に畑を買い増し、47haもの畑を所有するに至ります。そのうち、15.2haがグランクリュの畑で、これは、シャブリ最大のグランクリュ所有者(7つのグラン・クリュのうち6つを所有)ということになります。
▼ジャブリの街中にある、ウィリアム・フェーヴルのドメーヌ。
跡継ぎに恵まれなかったウィリアム・フェーブル氏は、ドメーヌを、シャンパンで有名なアンリオ家に売却します。アンリオ家が登用したのが、若手醸造家の ディディエ セギエ氏で、ゼギエ氏は、手積みの収穫の導入(シャブリでは殆どが機械による収穫)、新樽の廃止等の改革を行い、その結果、「最もピュアで最もエレガントな白ワインを造る生産者の1つ」(ル・クラスマン誌)と称されるようになりました。
所有する畑には、平均樹齢は30年から50年のブドウが植えられており、2010年からは、グランクリュのすべての畑で、ビオディナミ農法を実践しています。
▼ブーグロは、一連のグラン・クリュ畑の最も西に存在しています。
(下の写真の畑は、レ・クロです)
▼ブーグロの畑です。畑の向きは、南西になります。粘土質が濃く深く広がる、保湿性に優れた土壌で、ウィリアム・フェ―ヴルは、この畑の約半分を所有しています。
ちなみに上部(右上)は、レ・プリューズの畑になります。
ドメーヌ・ウィリアム・フェ―ブル シャブリ・グラン・クリュ・ブーグロ 2015年
Domaine William Fevre [2015] Chablis Grand Cru BOUGROS
手摘みで収穫したブドウを、空圧式圧搾機で優しく圧搾、アルコール発酵とマロラクティック発酵を行った後に、50~60%をフレンチオークの古樽で約5~6ヵ月間澱とともに熟成し、ステンレスタンクで約9ヵ月間、合計14~15ヵ月間熟成させて瓶詰めを行っています。
輝きのある、少しグリーンがかったクリームイエロー。まず、香りに火打石のようなミネラルを強く感じます。すぐに白い花、青リンゴ、レモン、ライム、グレープフルーツ、洋梨、ホワイトペッパー。グランクリュにしては、オーク香は比較的控えめで、僅かにバニラを感じる程度。上品で綺麗な酸は、それほど刺激的でなく意外に円やか。余韻は中程度。
(3.5)
猛暑だった2015年の白ということで、やや甘めで、ダルな酒躯も予想しましたが、流石にきちんとコントロールされているようで、シャブリらしい酸もちゃんとあります。加えて、この年の特徴?とも言える厚い果実味も感じられます。
▼このワインには、エスカルゴを合わせました。やはりエシャレットバターとブルゴーニュのシャルドネとの相性は最高です。
▼チーズは、本来は、白カビ系としたいところですが、生憎、無かったので、タレッジョとコンテ24Mです。予想通り、チーズが濃厚過ぎて、相性的には少し違うように感じました。
▼昨年ブルゴーニュを訪れた際に、シャブリには1泊だけしました。その際、夕食は、ウィリアム・フェーブルのショップの隣にあるレストランでとりました。おそらくドメーヌの経営店かと思います。
▼注文したワインは、もちろん、ウィリアム・フェ―ブル。プルミエ・クリュのモンマンです。ここで、前菜にオーダーしたのが、やはりエスカルゴでした。
ラヴノー、ド―ヴィサと並んで、シャブリ最高峰のドメーヌ(最近は、ドロワンとも言われていますが)と称されていますが、知名度の割には、あまり人気がないのか、入手し易さでは、群を抜いています。日本でも比較的安くプルミエ・クリュやグラン・クリュが手に入ります。特級畑の中では、特に、ブーグロは、何故か時々、5~6千円台で売り出されることがあります。
何といっても手頃な価格で、いつ飲んでも、外れがなく、安心して飲めるのが、このドメーヌの最大の魅力かと思います。
<了>