Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ローグ・リヴァー・ブルーとお酒のペアリング

季節限定のアメリカ・オレゴンのアルチザンチーズ、ローグ・リヴァー・ブルーです。牛乳製のブルーチーズですが、洋梨のブランデーを染み込ませシラー種のブドウの葉で覆い、洞窟で1年熟成させた手の込んだ結構高価なチーズです。この濃厚なブルーチーズとワインを中心に色々なお酒との相性を試してみました。

ローグ・リヴァー・ブルーは、カリフォルニア州との州境に近い、オレゴン州南部のRogue Creameryというチーズ会社が作るアルチザン(職人による手造り)チーズで、世界で最も権威のある国際チーズコンテスト「World Cheese Awards」の2019/2020年のグランドチャンピオンを獲得しています。このチーズ米国では毎年秋分の日にリリースされるようですが、日本では11月に入手可能です。
↓全体(ホール)はこんな感じです。※Rogue CreameryのHPから引用しています。

このチーズ、日本で輸入・販売しているのは、知る範囲では、チーズ王国(HISADA)のみのようです。ここ数年11月に購入していますが、昨年は、ブドウの葉の状態があまり良くなかったとのことで、輸入されなかったとのことで、2年ぶりのリリースとなったようです。
今年のこのチーズの価格ですが、100gあたり、3,519円(税抜)!です。

前回購入した2年前の価格は、1,723円(税抜)/100gでしたので、何と2倍以上になっています!ちなみに米国での価格は、1/4ホール(約510g)で80$(約12,000円)となっているので、100gあたりの価格は2,351円となります。従って日本の価格は、本国の1.5倍になります。チーズ王国のこのチーズは、一度パリに輸入され、そこから日本へ輸送されるようですが、29.8%あった日本-EU間の関税は、徐々に下がっているものの、世界チャンピオンとなったこのチーズの人気、米国のこの2年間の人件費の高騰、さらに円安から理解できないこともありませんが、この価格はちょっと厳しいです。とは言え、おそらく11月中に完売になると思われます。
ちなみに、葉っぱで包んだチーズは結構高価な傾向があり、フランスのAOPチーズ、「バノン」も100g程度で3,700円程度(フェルミエ)と凄い値段なっています。

洋梨ブランデーからの濃厚で甘い香り、イチジク、ヘーゼルナッツ。ねっとりとしたクリーミーなテクスチャーにじゃりっとした小さな結晶を感じる(熟成により生じる乳酸カルシウムの結晶とのこと)。甘みと塩味が共存する不思議なテーストです。

このチーズとお酒の相性を探りました。

基本的にはブルーチーズなので、ワインに関しては白甘口、赤であれば、チーズの個性に負けない濃厚なタイプと想像でしますが、洋梨ブランデーからのフルーティーな甘みが加わりますので、多少、相性が異なるかと思います。

↓まずは、イタリアのヴェネトのナターレ・ヴェルガ イ・バルジ ヴェネト 2020。
陰干ししたコルヴィーナ100%のブドウから。いわゆる、アッパーシメントなので、濃厚ですが、やや甘さを感じます。

このアッパーシメントからの甘さと相性が想像しましたが、甘口と言えるほどのものではないので、ローグ・リヴァーの濃厚さに甘さが消され、ややバランスが崩れ、タンニンが目立つようになります(相性:△)

続いてもイタリアの濃厚タイプの赤ワインです。
↓イタリアアブルッツォ州のテッラ・ダリージ モンテプルチアーノ ダブルッツォです。

完熟した黒系果実とリコリス等のやや甘めのスパイスを感じます。上記のヴェネトに比べるとタンニンが円やかで、ローグ・リヴァーとの相性はまずますです(相性:〇)

↓ジェイコブス・クリーク ダブル・バレル シラーズ
ワイン樽のあとスコッチウイスキー樽で熟成させた変わり種のシラーズワイン。カシス、完熟プラムの凝縮果実にオークからのシダーやバニラ、ブラックペッパーが香る。確かに樽香は強めですが、それに負けない果実味で意外にバランスがとれています。

オーストラリアのシラーズらしい熟度の高い果実からの甘みとソフトなタンニン、余韻のスパイスが、この甘みとシャープさを兼ね備えたブルーチーズと良く合います。
シラー種の葉っぱを使用しているという点も相性の良さに現れているのかもしれません。今回の赤ワインの中では、相性はベストと感じました。(相性:〇)

ニュージーランドマールボロのオーバーストーン ソーヴィニヨン ブラン 2022。
ソーヴィニヨン・ブランらしい柑橘果実と典型的なマールボロの強めのグリーンノート。味わいとしては、ドライでリニアな酸が際立っています。
アロマチックな香りについては良いのですが、シャープな酸との相性がいまいちに感じられました。
(相性:△)

↓続いて、チリのコノスル  ゲヴァルツ・トラミネール・レゼルヴです。
品種特有のライチやパッションフルーツ、白い花のアロマチックな香り。酸は円やかで柔らかな甘みが感じられるワインです。
このチーズとの相性は、良好です。お互いのアロマチックな要素が調和しており、ほんのりの甘みとチーズの塩味がマッチします(相性:〇)

↓ソーテルヌの甘口、シャトー・ジャノニエ2018です。

ドライアプリコット、アカシア、蜜の香り。粘性を感じるコクのある甘みと調和のとれた酸。塩味の強いブルーチーズとの相性については、教科書どおりですが、ブランデーからの甘みとも良く調和しています(相性:◎)

デザート感覚で、甘い柿と合わせて味わうのが最高です。

ワイン以外のお酒も試してみました。
↓三重の「作 奏乃智 純米吟醸」です。

華やかな果実と上品な炊きたての米、味わいは、透明感のある、すっきりとした甘さ。
やや甘口寄りなので相性は良好です。このチーズに限らず、幅広くチーズとの相性は良さそうです(相性:〇)

↓次にカサドレス(テキーラ)のアネホです。メキシコのテキーラの2大産地は、バジェス地方とロスアルトス地方ですが、前者は比較的辛口でスパイシー、後者は甘口でスムーズな口当たりです。有名なサウザやクエルボはバジェス産ですが、このカサドレスは、ロスアルトスのもので、甘やかな香りにアメリカンオークの香りが加わり、まろやかな味わいが特徴のプレミアムテキーラです。

このテキーラの香りには、洋ナシが感じられます。それも手伝い、この洋ナシのブランデーの香りが染み混んだチーズとの相性の良さが感じられました。当然ながらテキーラと塩との相性は良く知られており、ブルーチーズの塩味と合わない訳がありません。
(相性:〇)
相性のヘーゼルナッツとの相性もGoodです。

余談になりますが、6年程前に、不二家から「ワインと愉しむルック・カレ」というホワイトチョコレートが発売されていました。このチョコレート、濃厚なチーズとフルーズドライのチーズ粒が練り込まれたもので、抑えられた甘み、ほんのりと感じられる塩味、フリーズドライの粒チーズの食感が、テキーラと抜群の相性を示していました。
残念ながら、このチョコレート、2年ほどで廃番になってしまいました。
不二家さんには是非とも復活していたきたい逸品です。

以上ですが、このローグリヴァー・ブルーと相性の良いお酒としては、

・熟度が高く、甘みのある凝縮した果実味をもち、かつタンニンが強すぎない赤ワイン
・アロマチックで酸がシャープ過ぎない白ワイン
・極甘口ワイン(ブルーチーズとのペアリングの定番)
・フルーティな甘さをもつ洋酒

といった感じでしょうか?