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ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ラトリシエール・シャンベルタン~ルイ・レミー&シモン・ビーズの飲み頃VT

シャンベルタンの南に接するグランクリュ、ラトリシエール・シャンベルタンの隣り合う区画の2つの生産者、ルイ・レミーとシモン・ビーズの飲み頃ヴィンテージ、1999年と2009年です。ラトリシエールらしい柔らかさとエレガントさを兼ね備えた素晴らしい熟成グラン・クリュでした。

錚々たるジュヴレ・シャンベルタンのグランクリュの中で、ラトリシエール・シャンベルタンは、比較的軽やかで繊細、早くから飲めるという印象があります。
マット・クレイマーの「ブルゴーニュワインがわかる」のなかでは、「ラトリシエールは、きまって軽く、熟成がすみやかで、シャンベルタンやクロ・ド・べーズ、マジほどの充実感がとぼしい」と評されています。一方で、ジャスパー・モリスは、「若いラトリシエールは豊かで純粋な果実味があり、シャンベルタン系の多くのものよりもタンニンが少ないですが、年月とともに土、トリュフ、腐植の香りが出てくるはずです」と評しています。

ラトリシエール・シャンベルタンは、総面積7.31ha(ジュヴレ・ジャンベルタンのグランクリュ9つ中、5番目)のグランクリュ畑ですが、1ha以上の畑を所有するのは、CamusとFaiveleyのみで、他は、全て1ha以下になります。今回のルイ・レミー(現在のシャンタル・レミー)は、0.28haを所有しています。シモン・ビズは、畑の所有者ではなく、1995年からメタヤージュ契約で栽培しています。ちなみに、この畑も元々はレミー家の所有畑でしたが、投資会社に売却しており、1994年までは、ポンソが畑の手入れをしていました。

↓ルイ・レミー(シャンタル・レミー)の畑のグランクリュ街道に面する所にこの門があります。門といっても畑が、石垣等で覆われているわけではありませんが、ラトリシエール・シャンベルタンのアイコン的な存在です。

ドメーヌ・ルイ・レミー ラトリシエール・シャンベルタン グラン・クリュ 1999
[1999] Domaine Louis Remy Latrisieres-Chambertin Grand Cru

ルイ・レミーは、1821年創設の歴史のあるドメーヌで、現当主は、6代目のシャンタル・レミー女史です。もともとレミー家は、ブルゴーニュの大地主でモレ・サンドニとジュヴレ・シャンベルタンに二つのドメーヌを構えて、ルイ・レミーと弟のフィリップ・レミーが管理していましたが、ジュヴレ・シャンベルタンの畑は、1989年にルロワに売却されジュヴレ・シャンベルタンのドメーヌは閉鎖されています。モレ・サン・ドニのドメーヌも相続問題から畑の大部分が売却され、現在は、1.27haのみを所有していますが、その大部分が、シャンベルタン、クロ・ド・ロッシュと今回のラトリシエールという錚々たるグランクリュ畑になります。
私がワインに興味持ち始めた1990年台には、まだ結構な数のワインが出回っていたと記憶していましたが、正直、あまり印象には残らず、何となく、カミュ―と同じ位置づけにある造り手のイメージでした。
ちなみに3年前に2012年のシャンタル・レミーのラトリシエール・シャンベルタンを飲んでいます。印象としては、グランクリュにしては、やや厚みに欠ける印象で、高い酸がバランスを崩している印象でした。
ルイ・レミーは、もともと飲み頃のワインをリリースするというのがドメーヌの方針であったこともあり、今回の1999年も最近入手したワインになります。

中程度の濃さのルビー色。深みのある色調で、縁にかけて僅かに熟成の色合いが見られますが、全体的に枯れた感じは殆ど無く、25年経ったピノノワールとは思えないような外観は驚きです。
レッドプラム、ブラックチェリー、ドライローズ、セージ、リコリス、ドライフィグ、プラム、ミルクティーに古酒らしいマッシュルーム、タバコ、林床に腐葉土の香りが加わります。1990年台の古酒で暫く当たりが無かったので、ちょっと感動ものです。
アタックに中程度の酸、熟度の高い赤黒系果実味にドライハーブ、甘苦スパイス、タンニンはきめ細かく滑らか。アーシーで、鉄っぽいテーストも。長い余韻。味わい的にも枯れた印象もなく、2日目には、更に旨味も増し、美味しい。

(4.2)

2012年ヴィンテージの印象もあり、正直あまり期待はしていなかったのですが、今回のボトルは、状態の良さもあり、良い意味で期待を裏切られたワインでした。

シャンタル・レミーの最近のヴィンテージは飲んでいませんが、最近の品質は向上しているとのことで、再度トライしたい気になりましたが、同時にルイ・レミー時代のオールドヴィンテージにも断然興味が湧きました。

次に、シモン・ビーズのラトリシエール・シャンベルタンです。

サヴィニー・レ・ボーヌに拠を置くドメーヌで、畑もサヴィニー・レ・ボーヌを中心にコート・ド・ボーヌの畑が殆どですが、唯一生産しているコート・ド・ニュイのワインがこのラトリシエール・シャンベルタンです。前述のとおりこの畑は、ドメーヌの所有畑ではなく、フェルマージュと呼ばれる賃借耕作によるものです。

シモン・ビーズは、個人的に大好きな造り手で、(最近は、御多分に漏れず、価格高騰の影響もあり、頻度は減っていますが、)2000年代からサヴィニー・レ・ボーヌを中心にかなりの本数を飲んでいます。
ただ、ラトリシエール・シャンベルタンは今回が初めてになります。

ドメーヌ・シモン・ビーズ ラトリシエール・シャンベルタン・グラン・クリュ 2009
[2009] Domaine Simon Bize Latricières-Chambertin Grand Cru

中程度の濃さのルビー色。ルイ・レミーとは、10年の熟成期間の違いがありますが、濃さは、殆ど同じです。ただし、流石に縁の色合いからは少し若いと感じられます。
抜栓直後の香りはやや控えめで、香りが全開になるまでには小一時間かかりました。
ラズベリー、レッドプラムの赤系果実にブルーベリーやダーク(ブラック)チェリーの青黒系の果実の香りが混ざります。ドライローズ、セージ、ミントの冷涼感にシナモン、オーク香は主張せずクローブやココナッツ、熟成からの紅茶、林床、スーボア、土の香り。
アタックに柔らかな酸、中盤に旨味をともなう果実味が口中に広がり、きめ細かいタンニンとともに余韻を形成しています。流石にサヴィニー・レ・ボーヌに比べると骨格を感じますが、やはり、このドメーヌならではの柔らかさも感じられます。
こちらも2日かけて飲みましたが、2日目は、華やかな香りも強まり、味わいにもより奥行きが感じられます。飲み頃ではありますが、熟成のポテンシャルは高そう。

(4.1)

ローストポークシャンピリオンソースといただきました。肉の旨味とタマネギの甘さとの相性が抜群でした。

ルイ・レミーとシモン・ビーズ、隣接する畑ですが、10年近い熟成期間がありますので、比較は無意味ですが、やはり、畑の特徴か、力強い骨格感よりも女性的な柔らかさや繊細さを感じるグランクリュだと思います。特に25年熟成のルイ・レミーは、まさに、前述のジャスパー・モリスの「年月とともに土、トリュフ、腐植の香りが出てくる」という評価があてはまるワインでした。シモン・ビーズに関しても素晴らしいですが、妖艶さを感じる熟成感という点では、開けるのが未だ少し早かったような気がします。唯一セラーある2016年ヴィンテージの飲み頃は悩みます。