10月の飲んだワインの備忘録です。デイリーからWAパーフェクトワインまで様々ですが、特に印象に残ったのが、半ばジャケ買いだったシャトー・デスクランのロックエンジェル ロゼです。ドメーヌ・ラ・スマドのラストーも素晴らしいワインでした。ブルゴーニュでは、高いポテンシャルを感じられたアンリー・フェレティグです。
グリューナー・ヴェルトリーナ・セレクション 2018年 / ランド・ハウス・ポール
オーストリアの主要ワイン産地であるブルゲンラント地方に本拠を置くランド・ハウス・ポール醸造所でグリューナ・ヴェルトリーナ種から造られるワインです。
信濃屋の直輸入ワインです。
緑がかった淡いレモンイエロ―(「グリューナ」は緑の意味)
青リンゴ、梨(洋梨よりも和梨に近い)、ハーブ、ミネラル、酸、グレープフルーツの皮、ホワイトペッパー。少し苦みを伴うアフターは中程度。グリューナー・ヴェルトリーナ種のワインは、和食に合うということで、最近ショップでもよく見かけます。確かにソーヴィニヨン・ブランほど酸や柑橘系が尖っておらず、主張し過ぎないところが和食との相性につながっているのかもしれません。 (2010/10/3)
(3.0)
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ロベール・シリュグ ヴォーヌ・ロマネ 2012年
ヴォーヌ・ロマネに本拠を置く小規模ドメーヌ。最近代替わりして、評価を落としているようですが、このワインは、評価の高かったジャン・ルイ・シュルグ氏とマリー・フランス女史によるものです。
中庸~やや濃いめラズベリーレッド。抜栓後、直ぐ飲んだこともあり、ミネラルとスパイスを感じるが、やや閉じた印象があり、少し硬さが感じられる。1時間半ほど経つと、少し香りが開いてきて、ブルーベリやラズベリの果実香や土やなめし皮の香りが出てきます。この2012年のヴォーヌ・ロマネは、何本か購入して飲んでいますが、過去に飲んだものは、もう少し華やかで甘露さもあった印象。
酸化が進んでいる感じはなく、もう少し経てば、ヴォーヌロマネっぽい華やかさが、今のスパイシーさに加わると思われます。(2014/10/4)
(3.2)
モンテリー・ドゥエレ・ポルシュレ モンテリー・1erCru・ル・メ・バタイユ 2013年
ドメーヌ・ドゥエレ・ポルシュレは、1990年代にドメーヌ・ルロワやオスピス・ド・ボーヌの醸造長を務めたアンドレ・ポルシェ氏がモンテリーの名門モンテリー・ドゥエレ家の養子になって興したドメーヌとして知られています。現在は孫娘のカタルディーナ・リポがドメーヌを継いでいます。
3年ほど前にあるインポータからアンドレ・ポルシェ氏の手によるバックヴィンテージが売り出されたことがあり、1990年代のポマール1級等を何本か購入したことがあります。伝説的な造り手であり、大いに期待したのですが、ややタニックで愛想のないワインで、古酒の良さはあまり感じなかったことを記憶しています。
結構濃いルビー~ガーネットに近い色調。香りがなかなか立たず、冷たく固い印象。
黒胡椒、ハーブ。閉じているのか、果実味はあまり感じられず、スパイシーさが強く出ている。かなり時間が経ってラズベリーやブラックべーリーといって赤&黒系果実の香りが僅かに感じられるようになりますが、愛想のなさは、あまり変わりません。
2013年のブルゴーニュは、多くが既に飲み頃になっていますが、このワインについては、もう少し時間がかかるようです。ただ、前述の1990年代のワインのこともあり、開いて華やかなワインになるかは、正直懐疑的です。(2019/10/8)
(2.6?)
テッラ・ムンディ(Terra Mundi)アルバリーニョ 2018年
スペインのガルシア州のリアス・バイシャスDO(原産地呼称)のアルバリーニョ100%のワインです。アルバリーニョは、ポルトガルの一部の地方でも栽培されていますが、なんと言っても有名なのはこのガルシア地方のリアス・バイシャスのものです。リアス式海岸の名前の元となった複雑な海岸線のすぐ近くで栽培されており、「海のぶとう」とも呼ばれ、海の塩を連想させる味わいがあることから、魚介類との相性の良さが知られています。
淡いレモンイエロー。シトラス、グレープフルーツ、メロンといった、柑橘系と熟した果実の混じりある香り。溌溂としたキレのある酸、ミネラル香、確かに塩のイメージを感じます。オイル・サーディンとの相性もばっちりです。最近結構お気に入りのアルバリーニョです。信濃屋にて購入(2019/10/11)
(3.1)
プラ・ソアーヴェ・クラシコ オット 2017年
樹齢30~60年の古木から造られる評価の高いソアーヴェ・クラシコです。2013年が、ワイン・スペクテーターの世界の「バリューワイン100 2014」に選ばれています。プラは家族経営のワイナリーで、ソアーヴェ クラシコ地区の中心地、モンテフォルテ ダルポーネに位置しています。環境に配慮したオーガニック栽培を全面的に取り入れており、プアリティを基本に高品質のワインを産出します。
イタリアの白ワインの定番的なポジションにあるソアーヴェは、ヴェネト州ソアーヴェ村を中心に幅広く生産されていますが、キャンティと同様に玉石混交であることから、生産地を限定して、高品質のソアーヴェをソアーヴェ・クラシコとして区別しています。ソアーヴェのDOCGとしては、このほかに、最低アルコール度数を定めた「スぺリオーレ」と陰干しした糖度の高いブドウから生産した「レチョート・ディ・ソアーヴェ」があります。
色調はレモンイエロ―。ミネラルや酸は優しく丸い印象。柑橘家の香りもあるが、アプリコットやピーチっぽい甘い果実の香りも僅かに感じる。比較的ドライだが、果実味は十分に感じられ、この華やかでふくよかな果実味が、並みのソアーヴェとの違いを感じさせます。美味しいソアーヴェで、幅広い料理に合わせられそうです(2019/10/12)
(3.2)
シャトー・デスクラン ロックエンジェル ロゼ 2017年
シャトー・デスクランは、2006年にプロヴァンスに設立され、50haの自社畑を所有し、樹齢80年を超えるグルナッシュを中心に最良のブドウを使用したワイン造りを行っています。元バロン・フィリップ・ド・ロートシルトの最高醸造責任者のパトリック・レオンが醸造に係わっています。
「天使がささやくシャトーワイナリー」と呼ばれているシャトー・デスクランはフランス・プロヴァンス地方のエスクランの丘の上に位置しています。その丘には歴史あるシャトーがあり、豪華な内装の建物の中で、かわいらしいエンジェルがそっと微笑んでいます。この天使の微笑みこそが“Whispering Angel”(天使のささやき)で、ワインの名前にもなっています。
薄いピンク色。レモン、ライム、グレープフルーツの柑橘系果実、青リンゴ、ハーブ、意外にも結構辛口。適度な酸とフレッシュな苦みを感じ。それほど目立たないが、少しバニラっぽさも感じられる。調べてみると、半分に600Lのフレンチオークを使用して6か月の樽熟成を行っているらしく、これが複雑さの要因になっている。
かつて、プロヴァンスを旅行した際に、昼夜ともプロヴァンスのロゼを飲んでいましたが、その後もフランスを旅して、ランチに合わせるのは、決まってプロヴァンスのロゼです。手頃な値段ということもありますが、魚でも肉料理でも合わせられることが理由です。
コート・ド・プロヴァンスのロゼには、やや甘口に近いものも多いのですが、このロック・エンジェルは、完全に辛口です。しかも樽熟からくる複雑さもあり、料理との相性も非常に高いものがあります。
購入価格は4千円を超えており、ロゼの中では、高価なワインになります。さらに、シャトー・デスクラン・ガリュス」というキュヴェは、何と1.5万円を超えています。
高いですが、他のロゼワインを凌駕する「革新的なロゼ」と言われるのも理解できるような気がしました(2019/10/14)。
(3.5)
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フーリエ ジュヴレ・シャンベルタン 1erCru レ・グロ 2011年
ジャン・マリー・フーリエが5代目としてドメーヌを引き継ぎ、2006年の醸造設備を刷新したことをきっかけに、評価が急上昇しています。日本でも、2007年のビンテージからリアルワインガイド誌が大絶賛したことから、入手が難しくなっています。特に2010年以降は、価格も高騰し、最近は、村名で15K円、1級で20K円半ば、クロ・サン・ジャックとグリオット・シャンベルタンは、70K円を超えています。ネットでは瞬売が続いていましたが、最近は流石に強気な価格設定が敬遠されているのか、結構、在庫を見かけます。2011年のヴィンテージは、(板橋の中堅スーパ「よしや」による)平行輸入ものが、クロ・サン・ジャックを含めて結構手に入りました。
フーリエのレ・グロは、ジュヴレ・シャンベルタンの1級畑の中でも、ジャン・マリー・フーリエのお気に入りのようですが、当時は、メインのインポータの豊通商事が扱っていなかった為(現在は分かりません)、なかなか入手できませんでした。
やや濃いめのラズベリーレッド。ラズベリー、ブラックチェリー、プラムの赤黒果実。酸はやや低く、甘みが強く、タンニンは溶け込んでいます。甘草、コーヒー、土、特に、好きな、腐葉土の香りが既に顕れています。いつものフーリエのように美味しいですが、インパクト的には、何かが欠けているようにも思います。やはり、酸のような気がします(2019/10/15)
(3.5)
ドメーヌ・ド・ラ・グランド・ク―ライ 2015年
カスティヨン・コート・ド・ボルドーのワイン。リアルワインガイド誌67号の表紙を飾ったワインということで買ってみました。ボルドーっぽくないラベルです。EUのビオロジックマークを表ラベルに印刷しているのも珍しいです。
ボルドー右岸のサンテミリオンの北方のサンテミリオン衛星AOCのうちのひとつ、ピュイスガン・サンテミリオンの「シャトー・ボーセジュール」のセカンドワイン(シャトー・ラングレイ)のカスティヨンAOCの区画で造られているワインのようです。独立したシャトーではなく、シャトー・ボーセジュールで醸造されているため、シャトーを名乗っていない?。シャトー・ボーセジュールは、過去に飲んだことがありますが、あまり、正直印象に残っていません。
赤みを帯びたガーネット、ブルーベリー、ラズベリー、カシスの香り。適度な酸があり、タンニンは丸く、フルーティなワインです。セパージュは、メルロー70%、カベルネ・フラン30%のようですが、カベルネ・フランの青っぽさは感じません。ボルドーワインの力強さを期待するとちょっと違いますが、デイリ―ボルドーとして、下手な金賞ワインより美味しいワインです。飲み会持ち込みワインですが、割と好評でした。(2019/10/17)
(3.2)
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シャトー・ブラネール・デュクリュ 2002年
サン・ジュリアンの格付け4級ワインですので、デイリーで飲むワインではありません。ダークチェリーレッドの色合いながら縁は明るく、やはり香りは格別です。赤スグリ、カシス、黒胡椒、シダー、なめし皮。酸・タンニンはこなれていますが、いずれもしっかり感じます。やや弱いヴィンテージということもあり、飲み頃のピークのようですが、まだ数年大丈夫そうです。
(3.5)
ドメーヌ・アンリー・フェレティグ ブルゴーニュ 2017年
1969年設立のシャンボール・ミュジニーに拠を構えるドメーヌです。現在、ドメーヌを引き継いでいるアンリ・フェレティグの息子のジルベール・フェレティグ氏は、ブルゴーニュの若手生産者のなかで注目されているひとりです。
ドメーヌの裏手には、評価の高い1級畑レ・フスロットの畑が広がっています。
少し紫がかった濃いラズベリーレッド。ブルーベリー、ラズベリー、アメリカンチェリー、1時間ほど経つと香りがどんどん開いてきます。綺麗な酸と甘いタンニン。アフターに少しキャンディぽさも感じますが、決してジャミーな味わいではありません。
非常に親しみやすく、熟成のポテンシャルも感じさせる良いワインだと思います。
2016年の1級クラスを何本か購入していますが、その中には、ヴォーヌ・ロマネのラ・ロマネの上に位置する希少の1級畑、オー・レニョなどもあります。何度も訪れた畑なので、見つけた時は、速攻で買いました。もう少し熟成を待って、飲んでみたいと思います。(2019/10/21)
(3.3)
ドメーヌ・ラ・スマド ラストー ”キュヴェ・コンフィアンス” 2016年
コート・デュ・ローヌの南に位置するラストー村のワインです。
1979年にアンドレ・ロネロが設立し、現在は、息子のフレデリック・ロメロが引き継いでいます。ボルドーのカノン・ラ・がフィリエールやモンドットのコンサルタントを行うステファン・ドゥルノンクールをコンサルタントに招く等、品質向上に積極的なドメーヌです。このヴィンテージは、WA誌で96点を獲得しています。しかも4K円で購入できるということで、速攻で購入しました。
まだ早いと思いながら、賞味期限と過ぎた強烈な熟成エポワスと合うワインを探していたところ目について、開けてみました。
グルナッシュ80%、シラー20%のセパージュのようです。
期待通りの、黒っぽいダークチェリーレッド、グラスの底が全く見えません。カシス、ブラックベリーにプラムの黒系果実。ハーブ、コーヒー、なめし皮、土の香り。グルナッシュに合わないとされるバリック(小樽)は使用せず、大樽で熟成させているようで、樽香はそれほど感じず、果実味で前面に出てグイグイと押してくるタイプです。タンニンは、完全に溶け込んでいる印象です。濃いながらもするする飲めてしまいます。
エポワスは、同郷のブルゴーニュ赤ワインに合うと言われていますが、このエポワスは、オレンジ色の表皮が所々茶色っぽくなるほど熟成が進んでいるチーズで、ブル赤では、チーズにワインが圧倒されてしまいます。と言うことで、最後に残ったエポワスにあわせるワインとして選んだもので、まさに、正解でした。エポワスの癖のあるコクと塩味と濃厚で甘みを感じるラストーのワインの相性はなかなかなものでした。(2019/5/25)
(3.5)
ドメーヌ・ベルナール・モレ ブルゴーニュ・シャルドネ 2017年
シャサーニュ・モンラッシェ村に13haの自社畑を持つドメーヌです。若木から造られるワイン。
レモンイエロー。リンゴ、梨、ミネラル。2017年の特徴なのか、酸度はかなり低い。甘みを感じる優しいワインであるが、酸が少なさ故、少々インパクトに欠ける感じ。アフターに少し苦み(2019/10/27)
(3.0)
ドメーヌ・シルヴァン・パタイユ クロ・デュ・ロワ 2012年
醸造コンサルタントとしても有名であったシルヴァン・パタイユ氏が2001年にマルサネで興したドメーヌです。コート・ドールの北端にあり、1級畑を持たないマルサネの評価を高めた生産者でもあります。日本でも2011年ヴィンテージぐらいから雑誌等で取り上げられ、人気が出てきました。2015年にブルゴーニュを訪れた際にボーヌのミシュラン星付きレストラン「ロワゾー デ ヴィーニュ」でワイングラスとして飲んだ記憶があります。現地での人気も非常に高いようですが、マルサネのドメーヌとしては、最近は、ジャン・フルニエの人気に少し隠れてしまったような気がします。クロ・デュ・ロワは「王の畑」の意味。シュノーヴ村の上部に位置する評価の高いクリマです。
やや濃いめのラズベリーレッド。イチゴ、ラズベリー、ドライハーブ、ローズヒップ、ミネラル。抜栓後暫くは感じなかった土っぽい香りがしばらく経つと出てきます。未だ若い為か、腐葉土的なニュアンスはありません。甘・酸、タンニ、突出するものはなく、バランス取れています。一瞬キャンディっぽいアフターも感じますが、決して安っぽい風味ではありませんが、余韻は特別に長い訳でもありません。(2019/10/29)
(3.3)
シャトー・カロン・セギュール 2000年
シャプティエ エルミタージュ・レルミット 2000年
10月最後は、豪華なワインで。
恵比寿の某創作料理・鉄板焼きの店に持ち込みです。
久々のカロン・セギュールです。19年熟成のサンテステフは素晴らしい香りです。赤みを帯びたガーネット。ラズベリーやアメリカン(ブラック)チェリーの香り。過去飲んだカロンセギュールは、ラベルイメージとは異なり、かなりタニックでしたが、これは、流石にタンニンはこなれて丸くなっています。長めの余韻。綺麗に熟成しています。
(3.8)
シャプティエのエルミタージュですが、シラーっぽい濃厚さを全く感じないエレガントなワインでしたが、少々酔いが回っていたせいか、正直あまり覚えていません。WAのパーフェクトワインですが、残念。もう1本あるので、別な機会にゆっくり味わいたいと思います。(2019/10/30)
ちなみに当日の料理です。
▼殆どネギしか見れませんが、ふぐ刺しです。
▼素晴らしく大きな伊勢エビです。
白ワインは、イスラエルの白ワイン、ヤルデン・シャルドネです。名前は知っていましたが、飲むのは初めてです。華やか果実味に少し強めのオーク香があります。アメリカやオーストラリアのシャルドネっぽいワインです。
▼メインの鉄板焼きのステーキです。
10月最後は、素晴らしい料理と、素晴らしいワインで締めくくれました。
<了>