プィイ・フュイッセ・レ・ビルベットの2013年と2016年の飲み比べです。造り手は、シャトー・デ・ロンテ。初めて飲みますが、フランスの著名なワインガイド「ベタンヌ・ドゥソーヴ」では4ツ星を獲得している実力派のようです。
シャトー・デ・ロンテはイタリアで建築関係の仕事をしていたクレールとファビオ夫婦が1990年代に始めたワイナリーで、 プイィ・フュイッセに3つのキュベ計6haとボジョレーのサン・タムールには0.5haのブドウ畑を所有しています。プイィ・フッイセの高台にある畑のブドウは樹齢80年を超えるものも含まれており、古樹から素晴らしいワインを造り出しているようです。
シャトー・デ・ロンテの位置を確認すると、プイィ・フュイッセの中心にあるフュイッセ村を見下ろす高台にあります。すぐ南西側は、ボジョレーになります。
ブルゴーニュの土質と言えば、粘土石灰質ですが、南部ボジョレーは、花崗岩の土壌になります。このロンテの丘は、2つの土壌がぶつかる場所のようです。
ビオディナミを導入しており、野生酵母使用、補糖・補酸なし、ノンフィルターで18~24日熟成とあります。EUのオーガニック認証マーク「ユーロリーフ」のマークがついています。今やブルゴーニュもビオディナミは珍しくありませんが、敢えてラベルにユーロリーフを入れているところはあまり見ません。真偽は分かりませんが、「ダサイから入れない」という話を聞いたことがあります。
シャトー・デ・ロンテ プィイ・フュイッセ・レ・ビルベット 2013年
Chateau des Rontets Pouilly Fuisse Les Birbettes 2013年
濃い黄金色。ノワゼット、アーモンド、ビワ、蜂蜜、トースト、火打ち石、バニラ、ホワイトペッパー。ミネラル香はやや弱くなっており、熟成香が支配的ですが、果実味もしっかり感じられます。酸は丸く落ち着いています。
2013年にしては、やや熟成が進んでいる印象。やや強めのノワゼット香については、好みが分かれるかもしれませんが、決して果実味が落ちているわけではなく、樽香とともに香りに複雑性を与えています。
(3.5)
▼フランス産の馬蹄形をしたふわふわの白カビが美しいチーズ「バカラ」です。熟成が進むと結構アンモニア臭が出てきますが、これは未だその前の状態で、マイルドでクリーミな味わいです。僅かにナッティな感じもあり、この手の熟成白ワインにも良く合います。
シャトー・デ・ロンテ プィイ・フュイッセ・レ・ビルベット 2016年
Chateau des Rontets Pouilly Fuisse Les Birbettes 2016年
やはり黄金色ですが、2013年に比べるとやや淡い色あいです。
まずミネラル香が溢れます。蜂蜜、黄リンゴ、マンゴ、黄色い花、レモングラス、バニラの樽香もそれなりに感じます。弱いノワゼットの熟成香、僅かに苦みを感じるフィニッシュ。果実香、蜜の甘い香り、ミネラルが支配的で。当たり前ですが、2013年に比べると若く感じられますが、フレッシュ・溌溂というよりも、酸が柔らかくふくよかな印象です。
(3.5)
▼数日後の、比較してみたくなり、我が家の定番、ダニエル・バローのプイィ・フュイッセを飲みました。2014年のLes Craysです。ビンテージ的には、シャトー・デ・ロンテの2013年と1年違いですが、熟成香はそれほど強くなく、未だ若々しい感じです。2013年のダニエル・バローも最近飲んでいますが、それに比べると、シャトー・デ・ロンテの方が明らかに熟成が進んでいるように感じます。畑も造りも違いますが、オーガニックも多少関係しているのかもしれません。
同じブルゴーニュのシャルドネでもコート・ドールのワインとは結構性格が異なります。割と早くから飲め、ミネラルとともに、ふくよかな果実味が感じられ、かつコストパフォーマンスが高いプイィ・フュイッセは、我が家のお気に入りのブルゴーニュ白ワインですが、今回のシャトー・デ・ロンテのプィイ・フュイッセは初めて飲みました。ヴィンテージは異なりますが、特にどちらも、より酸が柔らかく感じられます。このあたりは、ボジョレーに隣接している花崗岩の混ざる土壌の影響も表れているような気がします。
<了>