モレ・サン=ドニの名門、ドメーヌ・ポンソ。ドメーヌの顔である特級畑、クロ・ド・ラ・ロッシュVVの2006年ヴィンテージです。移動制限の解けた翌週、伊東のホテルのレストランで、和洋会席料理と愉しみました。
ドメーヌ・ポンソは、モレ・サン=ドニの地に1872年に設立された歴史のあるドメーヌです。1932年には、当時珍しかったドメーヌ元詰めをいち早く始めていますが、ドメーヌの名声を確固たるものにしたのが、3代目のジャン・マリー・ポンソ氏とその息子、ローラン・ポンソ氏です。そのローラン・ポンソ氏は、2017年に新たなネゴシアン「ローラン・ポンソ」を立ち上げドメーヌを去り、現在は、妹ロゼ・マリー女史によりドメーヌは運営されています。ブドウ栽培も醸造も人の介入を限りなく排除し、自然栽培、低収量、ブドウ畑での選果、新樽の排除、最小限の亜硫酸使用等、こだわりのあるワイン造りに徹しています。
(以上は、インポータの情報より)
同じモレ・サン=ドニを代表するドメーヌ、デュジャックとも比較されますが、特に米国の評論家の評価が高いデュジャックに比べると、ポンソは、しばしばヴィンテージによるばらつきが論じられます。
30年ほど前、ブルゴーニュのワインを覚えたてのころ、ポンソのワインは、熱狂的なファンが存在する一方で、評論家により、しばしば酷評されていたことも記憶しています。古樽への執着と酸化防止剤を極力抑えていることも原因しているという記事も見た覚えがあります。
マット・クレイマーの「ブルゴーニュワインがわかる」でも、「なんとも不可解なところのある造り手」と評されています。一方で、「わたしは、総じてポンソのワインには慎重だが、それでもさがし求めてしまう」と、年によっては素晴らしく魅力的なワインを産み出すことを認めています。
そんなこともあり、やや気難しいイメージを持っているポンソですが、自分自身では、(数少ない経験ではありますが、)それほど状態の悪いボトルにあたったことはありません。このドメーヌを知るには、やはり、クロ・ド・ラ・ロッシュVVですが、最近は物凄く高くなってしまい、なかなか手に入れることができませんが、評価の高かった2005年と今回の2006年を購入していました。
今回は、2006年を伊東のハーベストクラブの炭火会席レストラン、「竹のうち」に持ち込み、炭火和洋会席と愉しみました。
▼こんな洒落た形で前菜が登場します。
▼和と洋の竹籠り。馬鈴薯素麺、鯵小袖寿司、アスパラガス胡麻和え、ふじのくにポークのコンフィ、枝豆のブルテ。
▼伊豆半島沖のさかなのお造り。これは、4人前です。
▼1人前はこんな感じ。
お造りには、伊東の地酒を合わせました。
▼伊東市限定の特別純米生酒「池のさと」です。「池」は地名のようで、天城の湧水で育てられた酒米、誉富士を作った地酒とのこと。
辛口で、すっきりとした飲み口。余韻は長くありませんが、主張し過ぎず、淡白な刺身には、素晴らしく相性の良い純米酒です。
ここから、ポンソのクロ・ド・ラ・ロッシュです。
ドメーヌ・ポンソ クロ・ド・ラ・ロッシュ キュベV.V. 2006年
Domaine Ponsot [2006] Clos de La Roche Cuvee Villes Vignes
淡いが深みのある色調の鮮やかなラズベリーレッド。縁にはオレンジ色が入る。
素晴らしく華やかなラズベリー、チェリーの赤系果実と梅シソのうっとりする甘酸の香りは、嗅ぎ続けるとシナモン、甘草、バニラにスーボワや腐葉土の妖艶な香りに。タンニンは溶け込んでおりシルキーながら、僅かな苦みを伴うアフター。華やかな芳香と複雑な熟成アロマ。クロ・ド・ラ・ロッシュから期待する骨太さとはちょっと違いますが、これはこれで、素晴らしいワインです。
(4.0)
▼静岡の土壌で育った野菜三種。ヤングコーン、ブラウンマッシュルームとミニトマト。炭火の香ばしさが野菜の甘みを際立たせます。
▼目梶木(メカジキ)のバルサミコソース。
選んだ魚を炭火で調理してくれますが、赤ワインとの相性を考え、これを選択。
▼メインのサーロイン炭火焼き。
言わずもかな、これは、最高の相性です。
▼ラストのデザートです。ポイントは、ニューサマーオレンジのフロマージュ。
ニューサマーオレンジは、宮崎がオリジナルですが、伊豆半島のものも有名なようです。酸っぱ過ぎず、甘過ぎず、爽やかな甘さです。
今回は、素晴らしい料理に、素晴らしいワインを合わせることができました。
気難しいポンソのワインのイメージを払拭する綺麗に熟成した飲み頃のクロ・ド・ラ・ロッシュでした。
<了>