Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ドメーヌ・トロ・ボー コルトンGC 2010年

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ドメーヌ・トロ・ボーのコルトンGC、2010年ヴィンテージです。ヴァン・ド・ガルド(長熟ワイン)のイメージがあるコルトンで、飲むのは未だ早いと思いつつも、誘惑には勝てず、開けてみました。

トロ・ボーは、ショレイ・レ・ボーヌに本拠を置くドメーヌです。所有する畑の面積は、24haになりますので、家族経営のドメーヌとしては、まあまあの大きい作り手かと思います。140年ほどの歴史をもつ一家で、現当主は、ナタリー女史ですが、彼女の曽祖父にあたるアレクサンドル・トロ氏の姓と妻の姓「ボー」を合わせたのが、ドメーヌの名称の由来になっています。

トロ・ボーの日本での人気は、リアルワインガイド誌が特に高い評価を付け始めた2009年ヴィンテージ頃から高まったと記憶しています。特にここ数年のヴィンテージは、平均して高い評価を得ているようです。ここのワインの特徴は、薄旨というわけでありませんが、特に濃厚というわけでもなく、樽香も適度に抑えられており、果実味が強調され、タンニンも比較的柔らかいという、一言でいえばバランスのとれたワインという印象を持っています。特にレジョナルの美味しさは安定しており、コストパフォーマンスも高いため、毎年数本購入して、デイリーやウイークエンドワインとして楽しんでいます。

トロ・ボーが所有している特級銘柄は、今回のコルトンに加え、コルトン・ブレッサンド、それに白のコルトン・シャルルマーニュの3種類になります。

▼コルトンの丘。アロース・コルトン、ラドワ・セリニィ、ペルナン・ヴェルジュレスの3つの村に跨っています。主に丘の上部の石灰質の多い部分がコルトン・シャルルマーニュ(ここのブドウから造られる赤ワインは、「コルトン」を名乗っています)、中腹部が、コルトンの畑になります。

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コルトンAOCは、160haを超える広大な面積を持ち、生産されるワインも玉石混交と言われています。評価の高いリューディ(小区画)は、ル・コルトン(Le Corton)、レ・ブレッサンド(Les Bressandes)、レ・クロ・デュ・ロワ(Le Clos du Roi)、レ・グレーヴ(Les Greves)、そして、ドメーヌ・アンブロワーズで有名なロニェ(Le Rognet et Corton)等でしょうか?

これらの評価の高いリューディのブドウのみから生産されたワインは、その名をラベルに入れるのが通常のようですが、今回の「コルトン」とのみ表記されたワインも多く存在します。これは、コルトンGCを名乗れる複数のリューディのブドウからのワインをブレンドしたものか、あるいは、あまり名前が知られていないリューディの為、あえて表記していないかのどちらかです。

トロ・ボーのコルトンについては、後者のケースで、レ・コンブ(Le Combes)というアロース・コルトン村の街に近いリューディで、トロ・ボーは、1.7haの畑の4分の3近くを所有しているようです。
トロ・ボーのもうひとつのコルトンであるコルトン・ブレッサンドとこのコルトンを同じ条件で比較したことが無いので何とも言えませんが、過去2回訪問したアロース・コルトン村にあるドメーヌ・コント・スナール(→こちら)で色々なコルトンを飲み比べたことがあります。その時の印象としては、クロ・デュ・ロワやブレッサンドは、比較的果実味が豊かで柔らかい印象、若干標高の低い場所あるレ・メア(Les Meix)やレ・ポーラン(Le Paulandes)といったマイナーなリューディのワインは、比較的収斂性が強く熟成には相応の期間が必要という印象を持ちました。先日飲んだドメーヌ・ド・モンティーユのコルトン・クロ・デュ・ロワの2010年(→こちら)も意外にも外交的で柔らかい印象でした。

トロ・ボーのレ・コンブとコント・スナールのレ・メアは隣接したリューディなので、同様な傾向であれば、ブレッサンドに比べると内向的な特徴とも考えられます。

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ドメーヌ・トロ・ボー コルトン・グラン・クリュ 2010年
[2010] Domaine Tollot-Beaut Corton Grand Cru

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以下ワインの感想です。

中庸~やや淡めの色調。透明感がありながら艶もあるラズベリーレッド。縁には少しオレンジ色が見られる。
抜栓後まもなく香りは開き出し、ラズベリーブラックベリーアメリカンチェリーの赤黒系果実のアロマ、シナモン、ドライハーブや森林、少しミントっぽい(2010年ヴィンテージによく感じられる)冷涼感。適度なロースト香。熟成のブーケはそれほど強くなく、未だ若さを感じさせる。アタックには、綺麗な酸を感じ、豊かな果実味が口中に広がる。タンニンは中程度だが、収斂性はあまり感じずこなれた印象。最初は冷涼な印象であったが、終盤には甘味も。骨格をもちながらも果実味や酸、タンニン、甘みのバランスがとれている印象。やはり、少し開けるのが早い印象だが、今でも十分楽しめるコルトン。

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▼あわせた料理は、アメリカのワイルドライスとチキンのマスタードソースがけ。中口のブルゴーニュとの相性は悪くありません。

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今飲むのには、ややタニックかと思われましたが、スパーシーさと果実味とのバランスの取れた美味しいコルトンでした。同年のブレッサンドも購入しており、いずれ比較してみたいと思います。ちなみに、この2010年のコルトンとブレッサンドのリリース時の価格は、9300円ほどでした。現在は、倍近くになっていますが、他の有名生産者の値上がり具合に比べると、まだ良心的な価格設定のように思われます。このような点もこのワインの人気の理由のひとつかと思います。
<了>

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