シャンボール・ミュジニーに拠を構えるドメーヌ・ブルソーです。日本では、あまり知られていませんが、現地では、結構人気のあるドメーヌのようです。シャンボール・ミュジニー・1er・レ・シャロッツの良年2015年を味わいました。
ドメーヌ・ブルソーは、16世紀からぶどう造りをしていた歴史のある家族経営のドメーヌです。先代(Remy Boursot)までは輸出を行っておらず、彼らのワインはドメーヌを訪問するごく限られた個人客等が中心でしたが、2014年に息子(RomaricとRomuald)の代になり、より多くの人達に自身のワインを楽しんで欲しいという考えから先代を説得して、輸出にも力を入れ、日本にも輸入されるようになりました。
このドメーヌ、シャンボール・ミュジニーでは珍しくセラー・ドアを備えています。
2019年の9月にこのドメーヌを訪れました(当時のドメーヌの看板は先代名のRemy Boursotになっていました)
夕方に訪れましたが、地元のお客さんで結構賑わっており、ケース買いをしている姿を見かけました。
ここのワインは、日本では埼玉の松澤屋さんで輸入されており、訪問前にシャンボール・ミュジニー(2009年、2012年)を飲み比べていました(→こちら)。決して華やかな感じではなく、どちらかと言えばクラシカルなブルゴーニュという印象でした。
その数か月後に奇しくもドメーヌを訪れることになりました。セラードアで幾つかのワインを試飲しましたが、やはり同じような印象で、正直、それほど記憶には残っていませんでした。
ちなみに、下が当時ドメーヌで直販していた時のリストになります。村名のレ・ナゾワールが37ユーロとありますが、ほぼ近い時期にヴィンテージは異なるものの4.5K円ほどで購入しているので、それほど安い訳ではありません(このドメーヌに限らず、大体こんな感じで、日本での価格とあまり変わりません)
以下、テクニカル情報です。
栽培は有機農法(認証未申請)で収穫は全て手摘みで行います。厳しい選別を行い100%除梗されます。
発酵前に5-6度で4-5日間浸漬させ、発酵は天然酵母で行っています。
発酵中はワインに負担をかけないようにポンプではなく重力を利用したルモンタージュを実施しています。新樽比は20%~100%とキュヴェ毎に比率を替え、赤の樽熟期間は約16ヵ月です。
前置きが長くなりましたが、久しぶりに入手したシャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ・レ・シャトロ2015年を飲んでみました。ドメーヌが所有している僅かに0.13haほとの畑になります。
シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ・レ・シャトロ 2015年
[2015]Chambolle Musigny 1er cru les Chatelots
艶のある濃いめのラズベリーレッド。抜栓直後からよく開いており、ダークチェリー、ブラックベリーのどちらかといえば黒系果実の香りに、牡丹の花、ゼラニウム、シナモンや甘草の甘いスパイスの香り。最初の印象は、ロースト、カカオ等の樽からの香りがやや強く感じられたが、華やかな果実やドライハーブの香りに隠れ直ぐに目立たなくなる。端正で深みのある素晴らしい香り。味わいに完熟した果実からの甘露さ。豊かな酸は決して突出していないが、このワインに厚みを与えている。タンニンはしっかりしているが滑らかで液体に溶け込んでいる。余韻も長め。
(3.9)
2015年というビンテージの恩恵もあるのかもしれませんが、過去に飲んだクラシカルなブルゴーニュを感じさせるブルソーのワインとはちょっと違いました。熱量が特別に高い訳ではありませんが、厚みのある果実味とバランスの取れた酸とタンニン。濃いながらエレガントなシャンボール・ミュジニーでした。
↓裏ラベルです。depuis 1550(1550年から)とあります。
↓素晴らしい常陸牛のステーキと愉しみました。
シャンボール・ミュジニーのワイン、繊細で女性的というイメージがありますが、最近、シャンボール・ミュジニーらしいワインの造り手と評されるドメーヌのワインで結構、濃いワインを経験することがしばしばあります。ディジオイア・ロワイエなどですが、このシャンボール・ミュジニーのワインもディジオイア・ロワイエほどではありませんが、濃さや力強さを感じます。モレ・サンドニの造り手ですが、オリヴィエ・ジュアンのジャンボール・ミュジニーも同様です。
いずれにせよ、人気が出て、価格が高騰する前に押さえておきたいワインだと感じました。
了