Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ジョージアのサペラヴィワインORGO

ジョージアの代表的産地であるカへティ(Kakheti)のサペラヴィ種からのクヴェヴリによる伝統的製法のワイン「ORGO Saperavi」です。濃厚でタニックなイメージのあるサペラヴィですが、このワイン、確かに色は濃いのですが、飲んでみると意外にも柔らかく、エレガントさを感じさせる赤ワインでした。

8000年以上の歴史をもつジョージアのワイン造りで特徴的な製法が、素焼きの壺「クヴェヴリを土中に埋め込んで、その中でブドウ果汁とともに破砕後の果肉・果皮種や茎を入れて、発酵・熟成させるクヴェヴリ醸造です。
この伝統的製法で作られたのが、今回のテレダというワイナリのORGOというワインです。クヴェヴリ醸造のワインとしては、白ブドウ品種(主にルカツィテリ種)で造られるオレンジワイン(ジョージアでは、より色が濃いことからアンバーワインと呼ばれています)が有名ですが、今回のワインは、黒ブドウの代表品種であるサペラヴィSaperavi種によるクヴェヴリ醸造ワインです。
下の写真は、テレダのHPに載っているクヴェヴリです。

レダのHP(http://teleda.ge/)より

HPによると、テレダはカヘティ地方の主要都市テラヴィの古代の名前で、銘柄のオルゴは、ジョージア州で古代にクヴェヴリの留め具として使用されていた石を意味するようです。年産5万本ほどで、この辺りでは、比較的小規模なワイナリーのようです。裏ラベルには、「ボトルの中で生きている永遠の太陽」とあり、これが、表ラベルのデザインになっているようです。

今回のORGO Saperavi 2016です。

樹齢50年以上の古樹からのワインです。
ジョージアは、歴史のあるワイン生産国ですが、1980年代の旧ソ連時代の禁酒キャンペーンの影響で、多くの土着品種が引き抜かれており、樹齢50年以上の古樹は珍しいようです。

▼あいかわらず無神経なインポーターラベルの貼り方です。ただ、割と簡単に剝がせました。

▼重厚瓶で、蝋キャップです。

▼色合いは、黒に近いダークチェリーレッド。この品種の語源は、「色を付ける」という意味で、辛口だけでなく甘口にも仕立てることができる、熟成能力のある品種です。

ブラックカラント(カシス)やブラックベリー、プラム、ダークチェリーの黒系果実の香り、カカオ、ジュニパーベリーやリコリスの甘苦スパイス香に少し土っぽさも。
色合いや香りからは、濃密・重厚なワインを想像しますが、味わいのアタックは、意外にも柔らかく、酸も円やか、タンニンも滑らかです。中盤から余韻まで心地よい熟した果実味が広がります。色合いはアルコール度数の高さを連想させますが、意外にもアルコール度数は13.5度と普通です。
適度な熟成感も感じられる飲み心地のよいエレガントなサペラヴィーです。
その製法から酸化のニュアンスが感じられるクヴェヴリワインも多いのですが、このワイは、全くそのニュアンスは感じません。果実味を活かす嫌気的な造りをしているようです。

  3.3

▼当然ながら、旨味のある肉料理と良く合います。

このワイン1ヶ月くらい前に初めて飲みましたが、その時のボトルは、ネットのセール品として購入し、セラーにも入れずに放っておいたら、夏の暑さで(蝋キャップながら)噴いていました。ということで、全く期待していなかったのですが、エレガントな味わいに驚き、別なショップで数本リピート購入しました。

余談になりますが、ジョージア産でないサペラヴィのワインを9ヶ月ほど前に、横浜の肉バルで飲みました。

このワインはウクライナ産のサペラヴィで、STAKHOVSKIというウクライナのプロ・テニスプレーヤがプロデュースしたワインのようで、同じ横浜のインポーターさんが輸入しているようです。
こちらは、濃厚かつタニックなサペラヴィワインでした。
産地も違うサペラヴィですが、樽熟成の味わいが強く出ている印象でした。

今回のORGOは、オークが殆ど感じられず、その分、複雑さよりも、柔らかな果実味が際立って感じられます。クヴェヴリ醸造のワインは、熟成に樽を使うこともあるようですが、このワイン、樽熟成しているのか不明ですが、味わいからは、ステンレスタンクか別のクヴェヴリに移して熟成させているのではないかと思われます(あくまで想像ですが...)

このワイナリー、ルカツィテリからのアンバーワインも造っているので、機会があれば飲んでみたいと思います。