Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

中華とバローロのペアリング in 斑尾

2月の連休は、長野の斑尾で、今年2回目のスキーを楽しみました。ディナーは、お気に入りの中華のフルコース。中華に合わせるワインは、毎回悩みますが、今回はイタリア、アルドコンテルノのバローロ2010年を選んでみました。

↓2月24日の斑尾高原スキー場です。前週の気温の上昇で雪が心配されましたが、前日に降雪があり、雲の多い天気だったものの、雪質はまずますでした。隣のタングラム斑尾のハーヴェストをベースにここ数年は毎年訪れていますが、コロナも収束したことでスキーヤーも戻ってきたようで、連休ということもあり、久々にリフトには長い行列ができていました。2週間前に訪れた志賀高原ほどではありませんが、ここもご多分に漏れず、外国からのスキーヤ―やスノーボーダーが結構見られました。

今回は、2泊3日の旅行でしたが、節約の為、到着日の夜は部屋で持ち込み料理を持参したワインと共に愉しみました。
アルベール・モロのボーヌ・1er・ブレッサンド2005年と(写真にはありませんが)ダニエル・バローのプイィ・フュイッセ・ラ・ロッシュ2017年です。

アルベール・モロのボーヌ・ブレッサンドは、やや濃いめの色調。ボーヌのなかでも力強いブレッサンドのグレートヴィンテージの2005年だけあって、凝縮した赤黒系の果実に骨格をつくっているしっかり目のタンニンを感じます。アニスやオリエンタルスパイスの香りも感じられ、翌日予約していた中華にも合わせられると思われるワインでした。
白はダニエル・バローのプイィ・フュッセ・ラ・ロッシュ。バローのプイィ・フュッセは、数多く飲んでいますが、熟成させて本領が発揮されるワインという印象を持っています。今回の2017年は、香りに熟成感が出始めていました。ただ味わいは、ちょっと冷やし過ぎたこともあり、いつものボリューム感にはちょっと欠ける印象でした。

翌日のディナーは、ホテルタングラム斑尾「Le Tangram」です。

ここは、東急ハーヴェストのレストランのなかで唯一中華料理のコースがあるようです。20年以上前から利用しているレストランですが、10年くらい前までのフレンチはパックツアーに付いてくるような料理でちょっと残念な思いをしましたが、ここ数年、レベルは格段に上がっています。ここの中華料理のコースは、スタッフの勧めで4年前に初めて体験しましたが、馴染のある中華料理とは全く異なるフレンチっぽい見た目のコースメニューにインパクトを受けました。

今回は2回目の利用になりますが、合わせるワインに悩みました。
中華とペアリングさせるワインとして定石なのは、以下のようなパタンかと思います。
・無難で比較的オールマイティなのがロゼ。爽やか系のロゼよりもやや濃厚なロゼがベター(セニエ法醸造によるローヌのタヴェル等)。
・魚や甲殻類の食材の中華は、アロマティックな白。ゲヴァルツ・トラミネールやヴィオニエ等。
四川料理等特に辛みの強い料理であれば、スパークリング。
・肉系で甘みのある濃いソースであれば、中重口以上のスパイシーで骨格のある赤。

ピノノワール好きなので、よくチョイスしますが、比較的濃厚で甘みのあるカリフォルニアのピノやジュヴレ・シャンベルタン等の力強いタイプに比較的幅広い相性を感じます。
今回は、1本の持ち込みという前提で、濃厚な白、ガングロフのコンドリューと悩んだあげく、メインの肉料理に合わせて、アルドコンテルノのバローロをチョイスしてみました。

↓前菜三種盛り。定番の中華クラゲ、いくらとサーモン、ゴマ油で味付けした紅茶鴨です。私はビール、妻はライチのサワーで乾杯です。

ここからバローロを開けました。

ポデーリ・アルド・コンテルノ バローロ・ブッシア 2010年
[2010] Poderi Aldo Conterno Barolo Bussia

特にバローロ好きでなくても、良く知られたバローロ最高峰の生産者ジャコモ・コンテルノの5代目にあたりますが、1969年に独立してアルド・コンテルノを設立しています。安いとはいえませんが、ジャコモ・コンテルノのバローロと比較すると比較的購入のハードルは低いかと思います。どちらのコンテルノも伝統派バローロの造り手で、バリックは一切使用せず、スロヴォニアオークの大樽で熟成させています。
ブッシア(Bussia)は南部のモンフォルテ・ダルバ村というよりバローロを代表するクリュです。更にヴィンテージもグレートヴィンテージである2010年ということで、期待大です。

明るい鮮やかなルビーカラー。抜栓直後から、ラズベリー、チェリーやドライクランベリーの赤系果実の香りが漂います。ローズヒップリコリス、アニス、シナモン等のハーブやスパイス香に軽いオークのニュアンスと紅茶やスーボアのブーケ。上質のブルゴーニュ古酒にも通じる華やかで心地よい素晴らしい香りです。
味わいのアタックは柔らかく綺麗な酸。良年ならではの優しい甘みも伴う熟した果実味が口中に広がり、中盤から滑らかでシルキーながらもバローロらしいスパイシーで骨格のあるタンニンが味を引き締めます。味わいには熟成からの旨味も感じられ、素晴らしいの一言に尽きます。

(4.2)
まだ始まったばかりですが、今年一番のワインでした。

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以下、バローロとの相性を感じながら料理を楽しみます。
↓まず、中華風茶碗蒸しフカヒレあんかけです。
スープからの旨味と茶碗蒸しの柔らかい食感が特徴です。フカヒレということで魚系の料理ではありますが、このスープに溌溂とした酸をもつ白ワインは、絶対合わないと思います。バローロとの相性については、熟成から感じられるワインの旨味、しっかりとした骨格がありながらも酸や(大樽熟成により)オーク香が突出していない柔らかさが料理と同調しており、なかなか良好です。

↓信州豚チャーシューと蕎麦の実の中華パイ包み
蕎麦がらの上に敷かれたシートに乗せられています。

こちらも豚肉の柔らかな甘みとゴマの香ばしさ、程よい油感が、今回のワインと好相性を感じさせます。

↓寒鰤と天使の海老の“煎(ジェン)” 四川風豆鼓(トウチ)ソース

脂ののった寒ブリと一時期話題になったニューカレドニア産の天使の海老を四川風豆鼓(トウチ)ソースで和えた料理です。煎(ジェン)というのは、知りませんでしたが、野菜等を細かく刻んで炒めたもののようです。豆鼓は麻婆豆腐に使用される調味料で、辛さが特徴ですが、煎によるものか分かりませんが、ややマイルドに感じます。この料理も何よりも素材とソース両方の旨味が感じられます。魚介類ではありますが、この旨味の強いソースにより、熟成バローロとの相性は悪くはありません、このワインのタンニンからの骨格感も、このソースに負けていません。

↓国産牛フィレ肉“煎(ジェン)” 自家製XO醤ソース
厚みのある切り株と小石を散りばめた飾り付けのインパクトが凄い!

XO醤ソースが主張し過ぎず、肉の旨味が引き立っています。ワインとの相性は、文句なしです。山葵や岩塩、オニオンソースのコンディメントも楽しめました。

↓信州ハーブ鶏と小布施栗の蓮の葉ちまき
地元の素材を何気に使用しています。

↓デザートの杏仁凍豆腐、本日のフルーツと胡麻団子

見た目を含めて、とても愉しめる中華ディナーコースでした。
ワインとの相性については、濃厚なイメージの中華ソースとの相性がポイントかと思いましたが、甘さや辛さよりも素材も含めて旨味が際立った味付けは、ソースに負けない骨格を持ち、熟成により感じられる旨味をもつ今回のバローロとの相性は予想以上に好印象でした。
海老チリや麻婆豆腐といったトラディショナルな?中華料理であれば、また合わせるワインも違ってくると思います。中華に合わせるワイン、なかなか奥深いものがありそうです。