Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ハイコストパフォーマンスのNZピノノワール2選

デイリーワインとして楽しむには、高くなり過ぎたブルゴーニュピノの替わりとして、ブルゴーニュに類似した冷涼な気候を活かしたニュージーランドピノノワールに注目しています。最近よく見かける2千円台で気軽に飲める2本のピノノワールを比較してみました。

まず、北島の南端で、ニュージーランドピノ・ノワールの聖地とも言えるマーティンボロ―の安旨ピノノワールです。ワイン産地としてのマーティンボロ―とマールボーロの誕生の歴史は、以下の内容がソムリエ教本にも詳しく書かれています。
1970年台前半、ニュージーランド政府の研究機関所属のディレック・ミルネ博士が、フランスやドイツの銘醸地の条件を調べ、ニュージーランド国内各地の気候や土壌を分析・調査した結果、マーティンボロ―が気候的にブルゴーニュに似ていることからブドウ栽培に最適だと推奨したことが始まりになります。
これを受けて、クライヴ・ペイトンという青年が、この地にアタ・ランギ(空港で没収されたDRCの苗木からのクローンを生成した人物として知られています)を、ニーム・マッカラム氏が、ドライ・リバーというワイナリーを興しています。ほぼ同時期に、デレック・ミルネ氏が興したワイナリーが、このマーティンボロ―・ヴィンヤードになります。いわば、ニュージーランドピノノワールのパイオニアのワイナリーです。マーティンボロ―で最も有名なのが、Martinborough Terraceと呼ばれる600haほどの地区で、ここには、日本人の先駆者ワイナリー、Kusuda Winesも存在しています。


マーティンボロー・ヴィンヤード テ・テラ ピノ・ノワール 2021

[2021] Martinborough Vineyard Te Tera Pinot Noir

外観は、濃いめのラズベリーレッド。
香りは良く開いており、ダークチェリー、プラム、ブラックベリー等のやや黒系寄りの果実香。リコリスに革やオークのニュアンス。味わいは、適度な酸と滑らかなタンニン、凝縮した果実味は、わずかにジャミーな印象もあり、少し新世界的なピノを感じさせる。冷涼なブルゴーニュ的な味わいを期待するとやや肩透かしかも。とは言え、濃いけど、優しい甘みを伴う外交的な味わいは美味しく、これはこれで万人に受けそう。

(3.1)

楽天市場でマーティンボロー・ヴィンヤード テ・テラ ピノ・ノワールを探す


ブラック・エステーピノ・ノワール 2018

[2018] Black Estate Pinot Noir

ブラック・エステートは、二ュージーランド南島、ノース・カンタベリーのワイパラ・ヴァレーにワイナリーです。冷涼な気候と石灰岩質土壌ということで、ブルゴーニューのテロワールに近いということで、注目すべき造り手として、最近メディアでもよく取り上げられているようです。昨年の10月にこちらのダスティーブ・ピノノワールの2013年を飲んで、まさにクラシカルなブルゴーニュワインを彷彿させる味わいに虜になりました。→こちら
今回は、2千円台で購入可能なスタンダード・キュヴェのピノノワールを飲んでみました。

驚くほど淡いラズベリーレッドの外観。若い割に、意外に茶色が混ざっています。
アセロラクランベリーにサワーチェリーの酸を想起させる赤い果実の香り、アタックに強めの酸、タンニンは控えめで円やか。先日飲んだダスティーブ・ピノノワールとは、全く異なる軽い印象。飲み進めていくと、さらに酸は強まり、ややビネガーぽい味わいも。薄旨ワインというより、どうも、やや劣化しているような...

 (本来の状態でないと思うので評価なし)

最新のリアルワインガイドで旨安大賞を獲得しており、評価も高いようなので、あくまで保管状態の問題かと思います。ただ、先日飲んだダスティーブ・ピノノワールとは、全く違う特徴のワインだったので、戸惑ってしまいました。

若干もやもや感があったので、後日、ダスティーブ・ピノノワール2015年を開けてみました。↓

ブラック・エステート ダムスティーピノ・ノワール 2015年
[2015] Black Estate Damsteep Pinot Noir

やはり、先ほどのブラック・エステート・ピノノワールとは全く違います。
やや濃いめの色合い。外観やダークチェリーやブラックベリー等の黒系果実の香りは、ダスティーブ・ピノノワールにも似ています。薔薇、セージ、ドライハーブ、リコリス、シナモンの甘苦スパイス、バニラ、下草等の複雑な香りが混ざります。味わいは、豊かな酸ときめ細かいながらとしっかりとしたタンニン。良く熟した果実からの甘みを感じますが、決してジャミーではなく、熱量は適度に抑えられています。先に飲んだ2013年よりも骨格を感じます。やはり、外交的ながらも冷涼さも兼ね備えた美味しいワインです。

(3.5)

楽天市場でブラック・エステートのワインを探す

ブラック・エステートの ピノ・ノワール とダムスティーピノ・ノワール、前者は状態に問題があったのかもしれませんが、全く方向性が異なるのには驚きました。
いずれにせよ、ブル・ピノ ラヴァーにとって、ニュージーランドピノ・ノワールは、追いかける価値があると思います。