ヴォーヌ・ロマネの名門、とは言え、日本での知名度はいまいちのドメーヌ・ミシェル・ノエラのブルゴーニュ・ピノ・ノワール2018年です。このヴィンテージの良さもあるかと思いますが、レジョナルとしては、良くできた今飲んで美味しいワインのひとつだと思います。
19世紀設立で、ノエラの名前から想像つくとおり、シャンボール・ミュジニーのノエラ家の系譜を継ぐドメーヌで、アンリ・ジャイエと並び評されるブルゴーニュの伝説的な造り手「シャルル・ノエラ」の畑の一部を相続しています。血縁関係から、同様に畑を譲り受けたアラン・ユドロ・ノエラやジャン・ジャック・コンフュロンに比べると、知名度がいまいち低いのが、ジョルジュ・ノエラと今回のミシェル・ノエラかと思います。2015年に初めてブルゴーニュを訪れ、ヴォーヌ・ロマネ村に宿泊した際に、この2つのノエラを初めて意識しました。
ヴォーヌ・ロマネ村には、ロマネ・コンティやルロワ、メオ・カミュゼ、フランソワ・ラマルシュ、ミシェル・グロ、アンヌ・グロ、モンジャール・ミュニュレ、シルヴァン・カティアールといった錚々たるドメーヌが拠を構えていますが、ドメーヌの建物は意外にも地味です。基本的には家族経営なので当然ではありますが...
その中で、ちょと目に留まったのが、この2つのノエラです。
▼村の中心部から目立つ、畑の中に建つドメーヌジョルジュ・ノエラ。
▼そして、今回のひときわ洒落た外観を持つドメーヌ・ミシェル・ノエラです。
現在は5世代目の「アラン」と「ジャン・マルク」兄弟と、アランの娘のソフィーとジャン・マルクの息子のセバスチャンによって運営されています。知名度の低さには、英語が話せるスタッフがいなかった為、輸出に力を入れていなかったことが理由にもあるようですが、ソフィーが、MBAを取得し、世界市場を視野に入れたマーケッティングに力をいれたことで、日本を含め海外に販路が広がったようです。家族で力を合わせ、ワインの質を向上させ、販路を世界に拡大するという、まさに家族経営の理想を実現しているようなドメーヌではないかと思います。
ドメーヌ・ミシェル・ノエラ ブルゴーニュ・ピノ・ノワール 2018年
[2018] Domaine Michel Noëllat Bourgogne Pinot Noir
樹齢40年、100%除梗、オーク樽(新樽比率20%)で15カ月熟成。年産約7.500本。
紫色を残す艶のある中程度~やや濃いめの色調をもつラズベリーレッド。若々しさを感じるラズベリー、アメリカンチェリーの赤系果実、スミレやローズの香り。甘草やナツメグのスパイスに少し冷涼さも感じるミントやドライハーブも。やや甘みのあるアタック、高い熟度を感じさせる凝縮した果実味。酸は柔らかく、タンニンは円やかで滑らか。アフターは中庸で、僅かに苦みを伴う。流石に若いワインなので複雑さはないが、2018年らしい熱量をもつ外交的な味わいで、スルスルと飲めてしまいあっと言う間に空に。最後に酒石酸の滓が残る。
(3.3)
▼季節ものの芽キャベツとソーセージ炒めと。
実は、このワインは、3本目になりますが、これまで飲んだ2018年のブルゴーニュ・レジョナルの中では、今飲んで最高に美味しいという観点でいえば、ドメーヌ・ペルドリに次ぐものと評価しています。このレジョナルを飲んで、俄然興味が湧き、その後、ヴォーヌ・ロマネのプルミエ・クリュのスショとボーモンを入手しています。流石に飲み頃は未だ先だと思うので、じっくり寝かしたうえで、楽しみたいと思います。
あまり、人気はないようですが、お奨めです。
<了>