Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ソクレ バルバレスコ・ロンカリエ 2011年

バルバレスコの小規模な家族経営ワイナリー、ソクレ(Socré)のバルバレスコ・ロンカリエ 2011年です。昨年の9月にバルバレスコを訪れた際にこの生産者のことを知りました。ワイナリーでの試飲が非常に印象的であったことから、今回は、家で料理と共にじっくりと味わいました。

ソクレは、バルバレスコ村で1869年に設立された家族経営のワイナリーで、Socréは、ピエモンテ語で「下駄」を意味するようです。
このワイナリーへは、2023年9月18日に訪問する機会がありました。
現オーナーのマルコ・ピアチェティーノさんは、元建築士だったようで、非常に穏やかな方でした。
(ワイナリーの訪問記は、こちら)

ロンカリエ(Roncaglie)はバルバレスコ村のクリュのひとつですが、正直、バルバレスコのクリュについては、あまり詳しくないのでピンときませんでした。後から調べてみると、銘醸畑のアジリ(Asili)やリオ・ソルド(Rio Sordo)に劣らない素晴らしいテロワールを有する畑のようです。

2016年11月のヴィノテーク誌に「真のグラン・クリュからつかむバローロバルバレスコの最・深部、最・魔性」という記事を見つけました。
この中で「バルバレスコのグラン・クリュについて」という副題で「ガイヤ帝国の心臓部とその双璧 ロンカリエとロンカリエッタ」という章があり、ロンカリエの偉大さとソクレについて触れています。
記事では、アジリ(Asili)をグラン・クリュ相当と評価していますが、アジリの標高(210~290m)とほぼ同じ標高(200~300m)に位置し、タナロ川からも同じように離れているロンカリエを高く評価しています。
このクリュの先駆者ポデーリ・コッラ(Poderi Colla)という生産者ですが、それを追い、ソクレが2003年からシングル・クリュとしてリリースしています。記事では、マルコ・ピアチェティーノさんの以下のコメントが紹介されています。
「この畑は、バルバレスコ全域の中でも特にアルカリ性が強い。500万年前は海だった土地で、青灰色の粘土がちな泥灰岩が鮮やかな香りと奥行きを生む。果実味にシルキーなタンニンも、この畑の大いなる魅力だと思う。さらに、僕たちの畑はロンカリエの丘の最長上部分の急斜面で、寒暖差も大きい。ポデーリ・コッラの畑は全部うちより低い場所だよ」(ヴィノテークNo.444より)
ソクレのロンカリエの裏ラベルにも誇らしげに「バルバレスコの最良のクリュのひとつ」と記されています。

ちなみにロンカリエとタナロ川の間には、ロンカリッエッテとロッカリーニという紛らわしい名前のクリュが並んでいますが、前者は、アンジェロ・ガヤが所有しています。

上述の記事が掲載された2016年当時は、未だ日本に正規代理店がなかったようですが、現在は、西麻布の株式会社オー・トロワ・ソレイユさんが輸入販売しています。
↓こちらで購入可能です。

実は、今回飲んだBarbaresco Loncalie2011は、ワイナリーでも購入したのですが、先日エクセレンスのワイン会に持ち込んで飲んでしまった為、改めて、この日本の代理店で購入しました。

縁に僅かにオレンジが入るが、未だ中心には黒みを残す艶のあるルビーレッド。レッグは長め。香りはよく開いており、チェリー、ワイルドベリー、プラムの赤系果実に薔薇やリコリスにオークからの心地よいロースト香。ペッパーとミントっぽい冷涼感と熟成からの紅茶のニュアンスも。
味わいには、滑らかで上品な酸を感じ、中盤から少し粉っぽさも残るきめ細かなタンニンが口中に広がるが、熟した果実とアルコールからの柔らかな甘みやストーンからのミネラルを感じ、余韻も長い。香りや味わいに奥行きを感じるバルバレスコで、今でも美味しく飲めますが、5年後くらいが最高の飲み頃かな?
(3.6)

こんなワインには、牛肉の煮込みが最高の相性です。
信濃屋の牛すじの赤ワイン煮込みです。2日かけて飲みましたが、2日目は、低温調理した自家製のローストポークと味わいました。初日に比べ、タンニンが少し円やかになっており、しっとりとしたローストポークと良く合います。現在前述の代理店でオンライン購入できるのは、バルバレスコ・ロンカリエの2011年と2014年(税込8,580円)と下の写真中央のロンカリエ・レゼルバの2015年(税込10,780円)のみのようです。右端のボルドー瓶のロンカリエ2008は、ワイナリーで購入したものです。今回のロンカリエのシングル・クリュも魅力的ですが、ワイナリーで飲んで印象的だったバルベーラ・ダスティの再入荷や今後新たにリリースされると思われるトレイゾ村のクリュ、パイレオ(Pajoé)の輸入もぜひ期待したいと思います。