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ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

イタリア旅行2023年~チンクエレッテ編

2023年9月14日にイタリア北西部リグーリア州のチンクエ・テッレを訪れました。チンクエ・テッレはリグーリア海岸にある5つの台地(村)を指し、険しい海岸に色とりどりの家屋が並ぶ文化的景観によって知られており、ユネスコ世界遺産にも登録されています。ここを訪れたのは、観光名所としての興味もありましたが、ワイン産地としても知られており、海に面した急斜面のブドウ畑を見てみたいという動機によるものです。

チンクエ・テッレ(Cinque Terre)は、以下の5つの村を指します。

モンテロッソ・アル・マーレ(Monterosso al Mare)
ヴェルナッツァ(Vernazza)
コルニリア(Corniglia)
マナローラ(Manarola)
リオマッジョーレ(Riomaggiore)

今回は、モンテロッソ・アル・マーレとコルニリアを除く3つの村と世界遺産に含まれるポルトヴェーネレ(Port Venere)を訪れました。
↓こんなルートになります。

出発点は、ラ・スペツィア(La Spezia)です。ラ・スペツィアは、チンクエテッレの東に位置する港町で、イタリア海軍の軍港として知られているようです。ここを訪れていた期間は、隣のトスカーナ州のセルヴァテッレという村に宿泊していましたが、早朝に出発して、車で1時間半ほどかけてでラ・スペツィアに到着しました。

ラ・スペツィアの街並みです。観光地としては、ちょっとぱっとしませんが、比較的宿泊施設も多いようなので、チンクエテッレ観光の起点として選ばれるているようです。

↓イタリア統一の英雄、ジュゼッペ・ガリバルディの騎馬像です。最初の訪問地、ポルトヴェーネレへは、船で訪れます。
海上からみるラ・スペツィアの港です。カラフルな建物と軍艦が同居しており、ちょっと不思議な光景です。軍港として栄えたようですが、現在の主力の軍港は、イタリアの別の港(タラント?)に移ったようで、ここは、現在は、主にメンテナンス用に使われているようです。ラ・スペツィアの港から45分ほどでポルトヴェーネレに到着します。港には乗船を待つ大勢の観光客が。ポルトヴェーネレ(Portovenere)は、女神(ビーナス)の港と言う意味です。
港沿いにカラフルな家が隙間なく立ち並ぶ、美しい街です。チンクエテッレとともに世界遺産の街でもあります。
ポルトヴェネーレ、ベネチアジェノバ、ピサ、アマルフィーと並ぶ海洋都市として栄えた街です。その後、隣接した最大の海洋都市ジェノバに統合(戦いではなくお金を払って買い取った)されています。
↓街の中心部に入る城門です。城門のすぐ横に大理石の箱がいくつか並んでいます。これは、商人が商品(穀物やワイン等)を街の中に持ち込む際に計量するためのものとのこと。いわゆる税関です。大理石には、ジェノバの文字や紋章が見られます。↓400年代のフレスコです。中央に聖母マリアが描かれています。ポルトヴェーネレの街並みです。建物どおしは隙間なく隣接していますが、ポルトヴェレーネは要塞都市で、敵や海賊が容易に城壁内に侵入したい為の対策のようです。万が一責められたために、建物の2階や3階に背後の裏道への出口を備えていたようです。
↓何か所かに裏道から表に出れる通路がありますが、ここは、敵に責められた場合、塞いだり、閉じ込めたりしていたそうです。↓ジェノべーゼソースがこの地方の名物です。右側で売っている瓶入りのジェノベーゼペーストを購入しました。この地方のパスタに付けて食べるのが一般的なようです。↓フォッカチオもこの地の名物です。食べ歩きしました。いろいろなトッピングのフォカッチャが売られていますが、正統的なものは、上の中央の玉ねぎを乗せたもので、他はどちらかというと観光客向けのようです。↓断崖絶壁の先端に建つ石造りの建物は、サン・ピエトロと呼ばれる800年もの歴史を持つ教会です。↓この地区で産出されたポルトーロと呼ばれる黒大理石です。金や銀の模様が入っているきわめて貴重な大理石で、かつては対岸のパルマリア島で産出されたようですが、現在ではほとんど採れないようで、教会の祭壇等に使われています。ちなみにパリのカルティエ本社やホワイトハウスにも置いてあるそうです。ポルトヴェーネレから次の訪問地、ヴェルナッザ(Vernazza)へは、再び船を利用します。
海上から見るサン・ピエトロ教会は、こんな感じです。当日は結婚式が行われていたようで、ウェーディングメロディが派手に流れていました。バイロンの洞窟(中央下の海に面した洞窟です)。19世紀を代表するイギリスの詩人・バイロンがこの地を非常に気に入ったことから、この名がつけられたようです。海上からは、急斜面に張り付くように並んでいるブドウの段々畑の風景が見られます。↓こんなところにも住居があります。山の上から1000段もの階段があり、そこを行き来しているとのこと。ぱっと見、45度以上あるような気がします。間違っても酔っぱらって歩けません笑。現在は、トレッキングコースにもなっているようで、住居はバカンス用のコテージとかになっているようです。↓今回、訪問できなかったチンクエテッレの村のひとつ、コルニリア(Corniglia)です。
街(建物)が結構丘の上にあります。やや地味な印象で、観光地とは、他の村ほど注目はされないようです。こちらは、チンクエテッレで最も西に位置する村、モンテロッソ・アル・マーレ(Monterosso al Mare)です。こちらは、海岸近くに街が広がっているようですが、比較的近代的な建物も多く、他のチンクエテッレの村とは少し趣が違うようです。海水浴場として人気があるとのこと。↓ヴェルナッツァ(Vernazza)の船着き場です。船を横付けできないようなので、こんな感じで乗降船します。↓この港には小さな砂浜があり、住民?が海水浴を楽しんでいます。↓昼食はここ。ヴェルナッザの船着き場のすぐ横の塔にある「Belforte」というレストランです。後から知ったのですが、チンクエテッレで大人気のレストランのようです。
海の見えるテラスで海の幸とチンクエテッレワインを堪能しました。↓定番のムール貝です。イカスミを練り込んだパスタ。今回のイタリア旅行でしばしば見かけました。↓魚介類のフリッター、これは最高です。↓今回ガイドしていただいた吉田さんによると、チンクエ・テッレのワインの生産者としては、複数の生産者による協同組合のものと、個別のワイナリーのものの2種類があるようです。今回は、お奨めのペルシオ(Perció)という生産者の2022年のチンクエテッレです。ボスコ、ヴェルメンティーノ、ピカブンのブレンドのようです。ピカブン(Piccabun)は、この地域の珍しい古い品種です。通常は、ボスコ、アルバローラ、ヴェルメンティーノのブレンドのようです。ワインリストの最初には、チンクエテッレとヴェルメンティーノのワインが並んでいます。生産組合(Cooperetiva)のものが比較的安いようです。↓少し緑がかがった淡いクリーム色です。良く熟した柑橘果実に僅かにフレッシュハーブの香り。日本でもチンクエテッレのワインを飲んだことがありますが、軽い味わいのワインという印象でしたが、ここで飲むチンクエテッレは、フレッシュで活き活きとした酸とともに、そこそこ果実の厚みを感じます。デイリーワインとして、よくヴェルメンティーノのワインを飲みますが、ブレンドの妙か、複雑さも感じます。さらに後味に僅かに塩味も感じられます。スペイン・ポルトガルのアルバリーニョのワインも良く飲みますが、それに近いものがあります。チンクエテッレには、魚介類にあうこの辛口の白ワイン以外に、シャケトラ(Sciacchetrà)というパッシート(陰干し)により造られら有名な甘口白ワインが存在します。チンクエテッレの白ワインは一般的に、ボスコ、アルバローラ、ヴェルメンティーノの3つの土着品種のブレンドで造られますが、シャケトラは比較的皮が厚いボスコ主体になることが多いようです。赤ワインのように造られ、長期熟成にも耐える甘口ワインとして知られています。

↓このレストランには、とても陽気でユニークなウェイターがいます。左のAndrea Tronciさんという方で、登場する度に帽子を変えてきます。歌も歌ってくれるようです。アメリカからの旅行客には、こんな感じ。次の訪問地、マナローラ(Manarola)には、電車で向かいます。↓日立製の車両です。フィレンツェのトラムにも日立の車両が使われていました。イタリアの国鉄トレニタリアが運営しているようです。
マナローラの街並みです。少し離れた丘から撮影しています。
崖の上にカラフルな家が密集しています。まさにチンクエテッレらしい光景です。街中の風景ですが、船が見えます。港の係留場所は、スペースが限られているので、陸上げしたうえ、このような場所に運んで保管しているようです。今回、ガイドさんには、できれば現地のワイナリを訪問したい旨希望していましたが、この時期、この辺りの小規模なワイナリーの訪問は難しいとのことでした。確かにここへ来てみると観光客でごった返しており、この時期のワイナリー訪問、無理だということが判りました。替わりに、ブドウ畑を見たいとお願いしており、案内していただいたのが、このマナローラのブドウ畑です。マナローナの街から30分ほど坂を上ったところです。急斜面に段々畑状にブドウ畑が広がっています。仕立ては、強い日差しからブドウを守るためにぺルゴラ(棚仕立て)が主に採用されているようですが、日本の棚仕立てに比べると結構低めです。
左上の方の畑は、垣根仕立てのようにも見えます。トスカーナピエモンテのように綺麗に手入れが行き届いている畑ではありませんが、この傾斜では、丁寧な剪定は難しいだろうと容易に想像がつきます。
ボスコ、アルバローラ、ヴェルメンティーノのどれかと思いますが、区別がつきません。
↓収穫は終わっていますが、ところどころ房が残っています。最後の訪問地は、リオマッジョーレ(Riomaggiore)です。こちらもコンパクトながら美しい村で、観光客に大人気のようです。駆け足でのチンクエテッレ(正確には3つの村とポルトヴェーネレ)訪問でしたが、真っ青な海とカラフルな街並みは、想像通りの素晴らしいものでした。ただ、有名観光地ゆえ、竹下通り並みとは言いませんが、人混の多さには驚きました(観光客のピークは、7~8月だそうです)
美しい風景も素晴らしかったですが、美味しい食事とチンクエテッレの素晴らしいワインを味わえたことが、何よりもの収穫でした。

最後に、計画段階から親身に相談に乗っていただいたうえ、素晴らしいレストランを予約いただき、また、当日も予定に無かったリオマッジョーレの案内を加えて、遅くまで付き合っていただいた現地ガイドの吉田美香さんに深く感謝いたします。

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