ヴォーヌ・ロマネの老舗ドメーヌ、アルメール・エ・ベルナール・リオンのクロ・ド・ヴジョ 2004 と ヴォーヌ・ロマネ・1erCru ショーム 2017です。ヴォーヌ・ロマネ村というロケーションに恵まれながら、あまりメディアにも取り上げられないドメーヌですが、ここは、2015年と2019年の2度訪れており、個人的には、思い入れのあるドメーヌのひとつです。
1896年より続くヴォーヌ・ロマネのリオン家、以前、ここのワインは、ドメーヌ・ベルナール・リオンの名前でリリースされていたようですが、2000年代頃から、夫人の名前を入れて、ドメーヌ・アルメール・エ・ベルナール・リオンになっています(ラベルデザインも変更されています)。現在は、3人の娘さんが中心になり、ベルナールと共にワイナリーを運営しています。
ドメーヌは、コート・ドールを貫く国道(D974)沿いにあります。2015年と2019年に泊まった Hotel Le Richebourg(モンジャール・ミュニュレが経営するヴォーヌ・ロマネのホテル)の国道を挟んだ向かいに位置しています。
ドメーヌ当主のベルナールさんです。最初に訪問した2015年は、熟成庫を案内してもらいました。
2015年に訪れた時に2013年のヴォーヌ・ロマネ・1er・ショームを、2019年に同じワインの2017年を購入しました。今回は、それとは別に日本で購入したクロ・ド・ヴージョ2004とドメーヌからハンドキャリーしたヴォーヌ・ロマネ・1er・ショーム2017を飲みました。
まず、クロ・ド・ヴージョ2004ですが、こちらは、最近購入したもので、並行輸入もの(JIS)です。
縁周辺は完全にレンガ色、中心近くも茶色の混ざるやや淡いガーネット。全体的に枯れた色合いです。香りは、ドライイチジク、桂皮にマッシュルームやタバコ、皮革といった熟成香が中心ですが、僅かにひね香が感じられます。
味わいのアタックには豊かな酸、タンニンは完全に溶け込んでおり円やか。果実味はやや衰えてを見せていますが、ドライフルーツにオークと少し土っぽいスパイスの混ざる複雑な味わい。最初の若干の酸化のニュアンスは、ぎりぎりセーフと感じられましたが、抜栓後2時間くらい経つと、酸が強まりバランスが崩れます。
(2.7)
2004年というブルゴーニュのオフヴィンテージであることを差し引いても、熟成が進みすぎている印象で、やや状態には問題があるようです。
ブルゴーニュのドメーヌものの古酒入手は、どうしても平行輸入に頼らざるを得ませんが、流通経路が見えないので、状態のリスクがつきものというのを痛感させられます。
リベンジを兼ねて、数日後にドメーヌで購入(55€)し、ハンドキャリーした2017年のヴォーヌ・ロマネ・1er・ショームを開けてみました。
あたりまえですが、色合いは健全そうで、少し紫も残るやや濃いめのラズベリーレッド。以前飲んだ2013年はやや淡かったのですが、こちらはヴィンテージの性格もあり、そこそこ濃い色調です。
抜栓してしばらくは、あまり開かず香りは控えめ。30分ほど経つとブルーベリーやダークチェリーのやや黒系の果実香。適度な樽香と少しミントっぽい冷涼な香りも顕れます。バラの花、リコリスやブラックペッパーのスパイス香、複雑ながら、化粧香はあまり感じられませんが、紅茶やほんのりタバコの熟成香も出始めています。
アタックに凝縮した果実の甘み、酸はやや控えめ、タンニンは円やか。さらに時間とともに、味わいも香りも甘みが感じられ、抜栓直後のちょっと気難しい顔から、2017年らしい親しみやすいワインに変貌しますが、そこそこしっかりとした骨格も残しており、腰砕けになる印象はありません。古樹からの深みのあるテーストも感じます。ただやや控えめの酸はあまり変わらず、長期に熟成させるより、今飲んで美味しいワインだと思います。
(3.2)
チキンのソテーやラタトゥイユが良く合います。
今回の平行輸入ものの2004年のクロ・ヴージョは、残念ながら状態がいまいちでしたが、基本的には、良い造り手だと思います。2度のドメーヌでの試飲でも印象的でした。
この地を訪れる機会があれば、寄ってみる価値のあるセラードアのひとつだと思います。ちなみに、当主はトリュフ採りの名人でもあるようで、瓶詰めのブルゴーニュ産トリュフもこのセラードアで販売しています。
了