Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

最近飲んだブルゴーニュから(2024年1月)

最近(2024年1月)家飲みしたブルゴーニュです。
注目している新進気鋭の生産者リップ・ポワロ―、久々のショーヴネ・ショパン、二コラ・ポテル、ヴェルジェ、初めてのコカール・ロワゾン・フルーロ、そして、シュヴィヨン・シェゾーのニュイ・サン・ジョルジュの古酒です。

まず、リップ・ポワローです。
今回のワインは、昨年9月にも飲んでおり、その時の印象が良かったのでリピートしたものです。

リップ・ポワローについてですが、インポータ情報によると、リップ家はブロション村に1620年より続くぶどう栽培家の家系で、ジュヴレ・シャンベルタンのトラペ家の親戚筋に当たるとのこと。当主のジュリアン・ポワローは、もともとは、樽職人で、ブルーノ・クレールやフランソワ・ラマルシュ、ルー・デュモンなどに特注樽を納めていたようです。当然のことながら、熟成樽にはこだわりをもつ生産者と想像つきます。

リップ・ポワロー コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ 2019年
[2019] Lippe Boileau Côtes de Nuits-Villages Rouge

やや濃いめの深みのあるラズベリーレッド。
抜栓直後はやや閉じ気味で、30分ほどで開いてくる。ダークチェリーやブルーベリー等のやや黒寄り系の果実香。ローズやリコリス、アニスにやや甘やかなオークのニュアンスが柔らかく混ざるが、樽香が強すぎる訳ではない。味わいは、やや高めの酸と熟度が感じられる凝縮した果実味。タンニンはきめ細かく滑らかで、オークが良い感じに複雑性を与えているが、香り同様、主張し過ぎている訳ではない。2日目は、酸とタンニンがより落ち着き、旨味が感じられるように。

(3.4)

樽作りのスペシャリストの手によるという先入観もあるのかもしれませんが、樽が果実味と絶妙なバランスを保っているという印象です。ヴィラージュクラスとは思えない美味しさです。現在、2021ヴィンテージが市場に出ていますが、2018~2020年に比べるとかなり価格が上がってしまっています。まだ残っている2019年は狙い目かもしれません。

楽天市場でリップ・ポワローのワインを探す

↓自家製のロースト・ポークと合わせました。2日目は椎茸のソテーと合わせましたが、椎茸の旨味との相性がGoodでした。

二コラ・ポテル サヴィニー レ ボーヌ プルミエ クリュ レ マルコネ 2011年
[2011] Nicolas Potel Savigny-les-Beaune 1er Cru Les Marconnets 

サヴィニー レ ボーヌの"Les Marconnets"ですが、シモン・ビーズの所有畑としても知られた村の南側に位置する1級畑です。

やや茶色の入ったラズベリーレッド。
香りは、良く開いている。ラズベリー、チェリーやベリー系のドライフルーツの果実香にリコリスやシナモン、ドライハーブに紅茶やスーボアの熟成ブーケが混ざる心地よい香り。
味わいは、しっかりとした酸とややざらつきの残るタンニン。甘みは殆ど感じられず、ドライ。2011年のヴィンテージの特徴を反映しているような感じもするが、近年3ヴィンテージ(2018~2020年)の熱量の高いワインに慣れていると、この種の冷涼なブルゴーニュを飲むとなんとなくほっとする。味わい的には、好き嫌いが出るかもしれませんが、こと香りに関しては、綺麗な熟成を感じさせるなかなか素晴らしいものでした。

(3.2)

楽天市場でサヴィニー・レ・ボーヌ・レ・マルコネのワインを探す

次に、コカール・ロワゾン・フルーロのヴォーヌ・ロマネ村名です。

ドメーヌ・コカール・ロワゾン・フルーロは、フラジェ・エシェゾー村で5世代続く家族経営のドメーヌのようです。所有畑面積は9haほどで、比較的小規模ドメーヌのようですが、ジュヴレィ・シャンベルタン村からヴォーヌ・ロマネ村にかけて、6つもの特級畑をもつ生産者です。
もともとネゴシアンへの販売やヨーロッパの個人客向けの販売が主だったため、あまり見かけることはありませんでしたが、専門誌の高い評価を背景に輸出にも力をいれるようになったようで、最近日本でも見かけるようになりました。
2016、2017年ヴィンテージは、数年前に20K円程度でグラン・クリュが入手できたことから、エシェゾーやクロ・ド・ラ・ロッシュを買い込みました。グラン・クリュは、まだセラーに眠っていますが、今回は、当時購入したヴォーヌ・ロマネ村名を開けてみました。

ドメーヌ・コカール・ロワゾン・フルーロ ヴォーヌ・ロマネ 2017年
[2017] Coquard Loison Fleurot Vosne Romanée

熟成の色合いが混ざる中程度の濃さのラズベリーレッド。
香りは、抜栓後30分程度経つと開き出す。
ラズベリーやチェリーの赤系果実に、薔薇やセージ、スーボアの香り。僅かに紅茶やタバコのニュアンスも感じるが、妖艶な熟成香には至らない。味わいのアタックにやや強めの酸を感じ、柔らかい果実味ときめ細かいが、しっかりとしたタンニンが余韻まで続く。ヴォーヌ・ロマネの華やかさや、2017年ヴィンテージに期待される外交的な特徴よりもやや冷涼寄りで落ち着いた感じだが、幅広い料理にあわせられそうなワイン。

(3.2)

ややしっかり目のタンニンから、グラン・クリュは、もう少し熟成させてから愉しんだ方がよさそうです。

楽天市場でコカール・ロワゾン・フルーロのワインを探す

ちなみに、上の写真左は、ヴェルジェの2020年のサン・ヴェランです。ヴェルジェのワイン、久しぶりにのみましたが、2020年らしい豊かな果実味とミネラルのバランスが取れた美味しいワインでした。

楽天市場でヴェルジェのサン・ヴェランを探す

次は、ショーヴァネ・ショパンの2013年のニュイ・サンジョルジュ1級です。
比較的地味な生産者でしたが、2015年ヴィンテージ頃から評価が上がりだし、薄旨系が好みのリアルワインガイド誌で2017年ヴィンテージが高く評価さえたのがピークだったようです。残念ながら、後継者に恵まれなかったドメーヌは、その翌年の2018年ヴィンテージを最後に廃業してしまいました。

ショーヴネ・ショパン ニュイ・サン・ジョルジュ 1er オー・トレイ 2013年
[2013] Chauvenet Chopin Nuits Saint Georges 1er Cru Aux Thorey

オー・トレイは、ニュイ・サン・ジョルジュの北側(ヴォーヌ・ロマネ側)南東向きの斜面に広がる1級畑です。シルヴァン・カティアール、ド・モンティーユ等が所有しています。

熟成感の入ったやや淡めのラズベリーレッド。
ラズベリーアメリカンチェリーやブルーベリーの赤黒系果実、冷涼な印象のドライハーブやミント、リコリスに柔らかいオークのニュアンス。アタックにやや強めの酸と力強さが残るタンニン。バランス的には、果実味が酸とタンニンにやや負けている印象。2013ヴィンテージの限界か?

(3.1)

今回の2013年は、やや低めの評価になってしまいましたが、ここの2017年や2018年はエレガントで魅力的なワインでした。特にブルゴーニュ・レジョナルやコート・ド・ニュイ・ヴィラージュは良く飲んでいました。フラッグシップのクロ・ヴージョも1万円前半で購入できました。
幸いにも、最後の2ヴィンテージのワインは今でも入手可能なようです。

楽天市場でショーヴァネ・ショパンのワインを探す

最後は、シュヴィヨン・シェゾーのニュイサンジョルジュ古酒です。

シュヴィヨン・シェゾー ニュイ・サンジョルジュ オー・シャン・ペルドリ 1988年
[1988] Chevillon Chezeaux Nuit Saint Georges 1er Cru Aux Champs Perdrix

1887年創業のニュイ・サンジョルジュの中堅ドメーヌです。最近人気のロベール シュヴィヨンとは従兄弟の関係にあります。
オー・シャン・ぺルドリという名の畑ですが、ヴォーヌ・ロマネにも村名畑として存在します。ラ・ターシュの上部に位置するそちらの方が有名かと思います。ニュイ・サン・ジョルジュのオー・シャン・ぺルドリは、0.7haほどの小さな1級畑です。
どちらも、西部の標高の高いところに存在しており、このあたりは小石の多い石灰質土壌になります。

外観は滓のせいか、少し濁りのあるレンガ色。
最初に、木質の香り。一瞬ブショネかと思いましたが、ちょっと違うようです。
暫くするとこの香りは少し弱まり、ドライフルーツや紅茶、タバコ、マッシュルームの複雑な香りも。ただ、酸は健全ながらも、果実味は落ちており、オークが優勢。

(2.9)

地味ながら良い造り手のようですが、このワインに関しては、10年くらい前に飲むべきだったかもしれません。

楽天市場で、シュヴィヨン シェゾー のワインを探す

↑番外ですが左のワイン、ランジュ・グリ(L'Ange Gris Vallée du Paradis)という南仏のワインです。千円台のワインですが、海老の塩焼きと合うなかなか美味しいデイリーワインでした。こちらは信濃屋で購入可能です。