バッカスのささやき

ワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒との出会いと趣味のブルーベリー栽培を中心に日常を綴ります。

アメリカン・ピノ3種飲み比べ

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久しぶりにアメリカのピノ・ノワールが飲みたくなり、最近購入した3本を開けました。オレゴンのソータ・ミネラル・スプリング・ランチ・ピノ・ノワール2015、カリフォルニア・ソノマ・コーストのカッチ・マクドゥーガル・ランチ・ピノノワール2016、そして、同じソノマ・コーストのアントヒル・ファームズのピノノワール2017の3本です。

ブルゴニュー・フェチの自分にとっては、カリピノに代表されるアメリカン・ピノの甘めの味わいは、やや苦手ではあるのですが、若いビンテージから抵抗なく飲めるのは、魅力ではあります。長期熟成させたカリピノはあまり経験ないのですが、リリースから10年以内で殆どのワインは、ピークを味わえるような気がします。

最近は、ブルゴーニュピノと区別がつかない味わいのアメリカン・ピノノワールに遭遇することも多く、今回のそれを少し期待して飲んでみました。

1本目は、カリフォルニアではなく、オレゴンピノ・ノワールです。ブルに近い冷涼なイメージがあり、同じクラスでもカリフォルニアに比べるとやや割高に感じますが、時々安くても素晴らしいピノに出会うこともあります。

ソーター ミネラル・スプリング・ランチ・ヤムヒル・カールトンAVA 2015年
[2015] Soter Pinot Noir Minetral Springs Ranch Yamhill-CarltonAVA

トニー・ソータの名前は、特にカルフォルニアワインマニアという訳でもない自分でも良く知っています。カリフォルニアのカリスマ醸造家で、スタッグリスリーブスワインセラ―ズで1976年のあの「パリスの審判」でフランスの5大シャトーを打ち破って1位に輝いた伝説の1973年産のカベルネソーヴィニヨンのボトリングに関わった人物です。その後、スプリングマウンテン、スポッツウッド、ニバウム・コッポラワイナリー、シェーファー、アロウホ等々のカルフォルニア錚々たるワイナリーでコンサルタントとして活躍しています。1980年にカーネロスで自身のワイナリーEtudeを立ち上げますが、その後、Etudeを売却して、新天地オレゴンで設立したのがこの自身の名前を付けたのがこのワイナリーです。

2015年は30%全房で、13ケ月の樽熟成(新樽率45%)のようです。
(購入価格6,985円)

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艶のあるルビーカラー。ラズベリーアメリカンチェリーの赤系果実の甘い香り。スミレや薔薇の花、バニラ、甘草、ヨード。口当たりにやや甘さを感じ、酸はやや低く丸く柔らかい。タンニンは収斂性のあるものではないが、そこそこしっかりしている。
果実の甘さや少しオーキーなところにアメリカン・ピノの特徴を感じるが、完熟果実+ミネラル+オークのメリハリのある味わいで、これはこれで美味しい。

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カッチ・マクドゥーガル・ランチ・ピノノワール・ソノマ・コースト2016年
[2016] Kutch McDougall Ranch Sonoma Coast

このワイナリーは知りませんでした。当主ジェイミー・カッチは、金融業界(メリルリンチ)に勤めていた異色の生産者のようで、2005年が初ヴィンテージだったようです。2011年がWA誌95点を獲得し、インポータ情報によると、その後、2017年にはアメリカのピノノワール専門サイト”ピノ・ファイル”が毎年年末に1年間試飲して来た中で素晴らしい評価を下したワインを”All-American”として特集した中で、試飲本数はおよそ850本、最高得点98点をとった僅か3本。その3本の中の1本にカッチのマクドゥーガル・ランチが選出され、2017年最高のピノノワールの栄誉を獲得したとのこと。このワインもそんな謳い文句に惹かれて購入したものです。(購入価格:6,336円)

造りは、ブルゴーニュワインを目標にしているようで、DRCを見習って全房発酵を取り入れ、さらに同じ発酵槽を使用しているようです。

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やや紫も入ったガーネットカラー(下の写真の右側)
ブルーベリー、ブラックベリーの黒系果実とややアーシーな香り。ソーターとは全く異なる冷涼な印象。牡丹、ドライハーブ、シナモン、オレガノ、黒胡椒のスパイスやマッシュルーム等複雑な香りが顕れる。酸も比較的豊富で、骨格を感じさせしっかりとしたタンニン。オークはそれほど強く感じない。

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これは、ちょっとびっくりなカリピノ。ブラインドで飲めば、ニュイ=サンジョルジュの2016年とかと感じてしまう。甘さはほとんど感じず、複雑さと骨格を感じる。ただ、香りは未だ開ききっておらず、少し閉じている印象。

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▼2本のワインには、アメリカンのアルチザン(手造り)チーズを合わせました。
シアトルの「ビーチャーズ・フラッグシップ」を加熱し、マカロニに絡めました。実はこのメニュー、シアトルのパイクプレイスマーケットというところにあるビーチャーズの店舗の看板メニュー(MAC&CHEESE)を真似たものです。(こちらにも書きましたが)結構濃厚なハードチーズですが、牛乳を加えて加熱したら少しマイルドになりました。

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 ▼メインは、牛肉とキノコのソテーで。

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最後のアメリカン・ピノは、上記二本の1週間ほど後に飲みました。

アントヒル・ファームズ ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2017年
[2017] Anthill Farms Sonoma Coast Pinot Noir

カルフォルニアのカルトワインで有名なウィリアム・セリエム出身の3人の若手敏腕醸造家がカリ・ピノの頂点を目指して、共同で立ち上げたカリフォルニア・ノースコーストのワイナリー。初ビンテージは2004年と歴史は浅いものの、アメリカでの評価は相当高いようです。

このワイン、購入してラベルを見て気になったので、調べてみたら、経営者のひとりであるアンソニー・フィリベルティは、昔、ケイネズ(Knez、現在はクローズ)というワイナリーの醸造責任者で、このケイネズは、以前3本ほど飲んだことがありました。ケイネズのラベルにも似たような植物のイラストが描かれていることから気づきました。

このワインは、ソノマ・コーストの中でも最も冷涼で最も海岸寄りのハースト・ヴィンヤードとハーモニー・レーン・ヴィンヤードをブレンドしたもののようです。40%全房発酵、自然酵母100%、新樽未使用。
(購入価格:5,038円)

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 淡いルビーカラー。 上記2本と比べてもかなり淡い色調。若いワインなので滓があるとは思えないが若干曇った印象。ストロベリー、イチジクの甘い果実や赤い花のチャーミングな香り。僅かにフレッシュハーブ(ミント)を感じるが、冷涼な感じではない。弱いバニラ香は感じるが、オーキーというほどではない。甘みが印象的なアタック。酸は中庸で、タンニンはシルキーで柔らかい。

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んー、甘みが特徴な典型的な新世界のピノのようで、個人的にはあまり好みではありませんが、一緒に飲んだ妻は美味しいという印象だったようです。要は、好みがわかれるワインだと思います。

印象としては、前述のケイネズのワインとほぼ同じです。正直、購入前に同じ作り手であることに気づいていれば、買わなかったと思います。

▼鴨は別として、苦みの強いゴーヤには、このようなワインが合うようです。

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▼邪道かもしれませんが、スープカレーに合わせました。

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 今回は、カルフォルニアが2本とオレゴンが1本でしたが、トニー・ソータは、カリフォルニアワインの名手なので、ノースコーストのワインに近い印象でした。
特に同じソノマ・コーストでありながら、カッチとアントヒルズは、真逆とも言えるワインであったのは驚きでした。アントヒルズは、(良い意味でも悪い意味でも)典型的なカリピノだと思います。一方、カッチは、正直、ブルゴーニュワインと殆ど区別がつきません。ブルゴーニュワインの持つ複雑性と骨格を兼ね備えていますが、反面、飲み頃までには、時間がかかる印象です。カッチは、レアなこともあり、幸いにも、今回2本購入していました。もう一本は、何年か寝かしてみたいと思います。

(了)